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研究によると、1日分の睡眠が失われただけでアルツハイマー病の危険因子が増大する

とある予備研究では1晩睡眠がとれなかった健康的な若い男性は、1晩ぐっすりと眠った人と比較して、血中のタウタンパク質値が上昇することがわかりました。

研究では、血中のタウタンパク質値が高いと、アルツハイマー病の発症率が増加することが示されています。

「私たちが行った探査的研究では、たとえ若く健康的な人であっても、1晩眠れないと、血中のタウ濃度が上昇し、このような睡眠不足は時間の経過と共に有害な影響を及ぼす可能性が示されました。」と、研究著者のジョナサン・セデルネス氏は述べています。
彼は、スウェーデンにあるウプサラ大学の神経学者です。
この研究は水曜日、米国神経学会の医学誌であるNeurologyに掲載されました。


<タウタンパク質とは?>
アルツハイマー病協会によると、タウタンパク質は脳神経細胞の内部構造安定化に役立つといいます。
アルツハイマー病患者に診られる異常な形態のタウの蓄積が、細胞内部の崩壊を招きます。
この異常なタウタンパク質が蓄積すると「もつれ」が形成され、これはアルツハイマー病、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症のの重要な兆候です。

健康な人において、タウタンパク質や脳内のその他毒素は、一種のゴミ捨てのように睡眠中に一掃されます。
睡眠が不足したり、睡眠障害があると、睡眠サイクルが乱れ、脳の清掃能力に支障をきたす可能性があります。

「より深い睡眠をとり、正常な量のレム睡眠をとることで、異常タンパク質の除去が改善し、これは良いことであると考えられています。」と、メイヨークリニックの神経科医であるドン・デクスター医師は言います。
彼はこの研究には関与していません。
デクスター氏は、米国神経学会の会員です。

加えて、研究では睡眠不足によりタウタンパク質の成長や蓄積が促進されることが示されおり、これは睡眠の質が悪いと認知障害の発症を早める可能性を示唆しています。

2017年に発表されたとある研究では、健康的な中年成人の睡眠の質が1晩低下しただけで、アルツハイマー病の特徴であるプラークを引き起こすβアミロイドタンパク質が多量に産生されたことがわかりました。

この研究で、研究者らは、眠ることができなかった男性は、血中のタウタンパク質が平均17%増加した一方、良く眠れた男性の血中タウタンパク質は平均2%しか増加しなかったことを発見しました。

研究者らはこの研究は小規模かつ決定的ではないと警告しており、タウタンパク質の増加が意味するものを特定できていないことを認識しています。

「血中濃度が高いことは、タウタンパク質が脳内から除去されている、もしくは脳内のタウタンパク質濃度が高いことを反映している可能性があります。今後の研究では、これをさらに調査する必要があります。」と、セデルネス氏は述べています。

「この研究では、解明したものよりも多くの疑問が生まれました。」と、デクスター氏は同意しています。
「研究が示しているのは、より深い調査が必要であるということです。人生の3分の1を占めるにもかかわらず、睡眠について分かっていることはわずかであり、特に睡眠と認知症に関しては、日々学んでいる所です。」

出典 2020年1月9日更新 CNN health『Losing one night's sleep may increase risk factor for Alzheimer's, study says』(2020年1月15日に利用)
https://edition.cnn.com/2020/01/08/health/one-night-sleep-loss-alzheimers-wellness/index.html