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目の分子年齢が決めるもの

研究者チームは、手術中に日常的に除去される眼液の小さな滴を分析することにより、眼内のさまざまな種類の細胞から約6,000種類のタンパク質をマッピングしました。

10月19日にCell誌で報告された内容によると、研究者らはAIモデルを使用して、タンパク質プロファイルに基づいて健康な人の年齢を予測できる「プロテオーム時計」をこのデータから作成しました。

この時計は、糖尿病性網膜症やぶどう膜炎などの病気が、特定の種類の細胞内で老化の促進を引き起こすことを明らかにしました。

驚くべきことに、研究者らは眼液内からパーキンソン病に関連するタンパク質も検出しており、これがパーキンソン病の早期診断へ繋がる可能性があるとしています。

「目のすごいところは、私たちが内側を覗くとリアルタイムで病気の発生を確認できることです。」

と、スタンフォード大学の外科医兼眼科教授でこの研究の上級著者であるヴィニット・マハジャン博士は言います。

「私たちが主に焦点を当てたのは、こうした解剖学的変化を、患者の目の中で分子レベルで起きていることと結びつけることでした。」

目は、脳と同様に再生不可能であり、組織生検を行うと回復不能な損傷を引き起こす可能性があるため、生きた患者からサンプルを採取するのが困難な臓器です。

別の方法は、対象の細胞または組織の近くから採取した体液のサンプルであるリキッドバイオプシーを使用することです。

リキッドバイオプシーは、対象領域にどのようなタンパク質が存在するかのスナップショットを提供できますが、これまでのところ、少量の体液内での多数のタンパク質を測定する能力には限界があり、また、どのタンパク質が存在するかについての情報も提供できません。 これは病気の診断と治療にとっては重要なのです。

眼内のさまざまな種類の細胞によるタンパク質産生をマッピングするために、マハジャン博士のチームは高解像度の方法を使用して、目の手術を受ける患者の房水または硝子体から採取した 120 個のリキッドバイオプシー中に存在するタンパク質の特徴を明らかにしました。

彼らは、合計で、同様の研究で以前に特徴付けられたタンパク質の数の10 倍に当たる 5,953 個のタンパク質を特定しました。

研究者らは、彼らが作成したTEMPOと呼ばれるソフトウェアツールを使用して、各タンパク質を特定の細胞型まで追跡することができました。

病気と分子老化の関係を調査するために、研究者らは、26 種類のタンパク質のサブセットに基づいて目の分子年齢を予測できる AI 機械学習モデルを構築しました。

このモデルは健康な目の年齢を正確に予測できましたが、病気が重大な分子老化と関連していることを示しました。

糖尿病性網膜症の場合、病気の進行とともに老化が進み、重度(増殖性)糖尿病性網膜症の人では老化が30 年も加速しました。

これらの老化の兆候は、患者が基礎疾患の臨床症状を示す前に観察できることがあり、治療が成功した患者にも持続することがありました。

研究者らは、パーキンソン病に関連するいくつかのタンパク質も検出しました。

これらのタンパク質は通常、死後に特定されますが、現在の診断方法では、それらを検査することができません。

これが、パーキンソン病の診断が非常に難しい理由の 1 つです。

眼液中のこれらのマーカーをスクリーニングすることで、パーキンソン病の早期診断とその後の経過観察ができるようなる可能性があります。

著者らは、これらの結果は老化が臓器、さらには細胞に特異的である可能性を示しており、それが精密医療や臨床試験デザインに進歩をもたらす可能性があると述べています。

「これらの発見は、私たちの臓器がさまざまな速度で老化していることを示しています。」

と、スタンフォード大学の筆頭著者で眼科医のジュリアン・ウルフ氏は述べています。

「標的を絞った老化防止薬を使用すれば、予防的精密医療の次のステップとなる可能性があります。」

「分子療法を利用するつもりなら、患者の分子の特徴を明らかにする必要があります。」

とマハジャン博士は言います。

「患者の分子パターンと、どの細胞が影響を受けているかに基づいて患者を再分類することで、臨床試験、薬剤の選択、薬剤の転帰を実際に改善できると考えます。」

次のステップとして、研究者らは、より多くの患者、およびより広範囲の眼疾患から採取したサンプルの特徴を明らかにすることを計画しています。

彼らはまた、独自の方法を使用して、サンプリングが困難な他の組織を特徴付けることができるとも述べています。

たとえば、脳脊髄液のリキッドバイオプシーは脳の研究や診断に使用でき、滑液は関節の研究、また、尿は腎臓の研究に使用することが可能なのです。



【以下のリンクより引用】

Molecular age of the eye determined

Sciencedaily

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