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熟睡不足とアルツハイマー病の発症

最近の研究では、アルツハイマー病の症状が現れる前の兆候(警告サイン)について示唆されています。
『熟睡できない大人はこの病気の発達段階であるかもしれません。』 

ミズーリ州セントルイスにあるワシントン大学医学部の研究者らは、徐波睡眠が少ない(熟睡が少ない)高齢者はタウと呼ばれる高レベルの脳タンパク質を持っていることを発見しました。
医療誌『Translational Medicine』に発表されたこの調査結果は、高レベルのタウがアルツハイマー病の徴候であることを指摘しています。
以前の研究から、タウの高レベルは、脳損傷と認知機能低下の両方に関連していることがわかっています。

徐波睡眠と脳タンパク質
徐波睡眠は記憶と経験を統合するのを助けます。そしてこのタイプの睡眠を十分に得ることで脳がリフレッシュし活気づけられすっきりとした目覚めを助けます。
熟睡不足とアルツハイマー病の発症との間に関連性があるかどうかを調べるために、著者らは60歳以上の119人で行った研究をまとめました。
参加者の80%には認知障害はなく、残りの参加者は軽度の認知障害を抱えていました。
研究を実施するために、研究者たちは1週間に渡り自宅での睡眠状態を監視しました。各参加者には、脳波の沈みを測定するため携帯型脳波計(EEG)が渡されました。
参加者はまた、就寝中の身体の動きを追跡するために腕時計のようなセンサーを身に付けました。
さらに、参加者たちが夜間にどれだけ眠っていたか、そして彼らが日中に昼寝したかどうかを含む睡眠記録をつけました。

研究者らはまた、脳内および脳と脊髄の周りに見られる脳脊髄液中のアミロイドベータとタウの量を測定しました。
これを行うため2つの測定方法を使用しました。
その方法により 38人がPET脳スキャンを受け、104人が脊椎穿刺を受け、27人がその両方を行いました。
収集したデータを確認し、研究者らは徐波睡眠が少ない成人の脳内タウ量が多く、脳脊髄液中のタウ対アミロイド比も高いことを見出しました。
ワシントン大学の睡眠医学センターの理事を務めるブレンダン・ルセイ博士は、
「重要なのはタウに関連した睡眠の総量ではなく、睡眠の質を反映する徐波睡眠だったことです。」
と述べました。
「タウ病理が増加した人々は、実際には夜間により多く眠り、日中により多く昼寝をしていましたが、彼らはそれほど質の良い睡眠をとることはできていませんでした。」
と博士は説明しました。  

アルツハイマー病
アルツハイマー病協会によると、アルツハイマー病は、認知症の最も一般的な形態です。
認知症という用語は、日常生活に支障をきたすほど深刻な、記憶喪失やその他の認識上の問題を表します。 アルツハイマー病は老化プロセスの正常な部分ではないということに注意することが重要です。
この病気を持つ大部分が65歳以上ではあるものの、この病気は若い人々にも発症する可能性があります。

アルツハイマー病は進行性の疾患です。つまり、時間が経つにつれて悪化します。米国では6番目に多い死因です。
死亡率はさまざまで、診断された後平均的な人でおよそ4~8年は生きることができますが、人によってはアルツハイマー病と診断されてから20年も生きる場合もあります。
現在この病気の治療法はありませんが、症状に対処する治療法がいくつかあります。これらの治療は病気の進行を遅らせるというものが多く、早期診断が非常に重要になります。
そのため、最新の研究が非常に重要になります。  

今後の展望
もちろん、アルツハイマー病の研究は進行中です。そして、ルセイ博士は、アルツハイマー病の初期の徴候を特定することに関して、睡眠のモニタリングは伝統的に行われている脳スキャンや脳脊髄液分析に取って代われることはないと認めています。
しかし、この研究結果は、たとえまだ病気の徴候を示していなくても、年をとるにつれてその人の介護者や医師が心に留めておくことができることです。
「それは時間の経過とともに容易に追跡できることであり、患者の睡眠習慣が変化し始めたら医師は脳の中で何が起こっているのかを詳しく調べるための兆候ととらえることができるかもしれません。」

【以下のウェブサイトより引用】
https://www.medicalnewstoday.com/articles/324161.php