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JapanRx / 新しい研究で子供の脳炎症が自閉症や統合失調症などの神経障害を引き起こす可能性があることが示される

新しい研究で子供の脳炎症が自閉症や統合失調症などの神経障害を引き起こす可能性があることが示される

幼児期の重度の炎症は、自閉症や統合失調症を発症する危険因子として臨床的に知られています。

今回、メリーランド大学医学部(UMSOM)の科学者らは、炎症により脆弱な脳細胞の発達が変化し、これが神経発達障害と機構的に関連している可能性があることを初めて発見しました。

この発見は、さまざまな小児期発症の神経発達障害の治療へつながる可能性があります。

単細胞ゲノミクスを利用して、細菌やウイルス感染症、喘息などの炎症性疾患で死亡した子どもたちと、突然の事故で亡くなった子どもたちの脳を研究し、UMSOMの研究者らは、幼児期の炎症は、小脳の特定のニューロンが完全に成熟することを妨げることを研究により発見しました。

小脳は、運動制御と、言語、社会的スキル、および感情の制御に使用される高次の認知機能を担当する脳領域です。

UMSOMのゲノム科学研究所(IGS)薬理学部門、およびメリーランド大学神経科学発見医学研究所(UM-MIND)の研究員がこの研究に携わりました。

この研究は、Science Translational Medicine誌の10 月号に掲載されています。

これは、人間の脳における細胞型の発達と多様性について説明した 30 本近い論文集の一部です。

これらの研究はすべて、マルチサイトコンソーシアムである Brain Research Through Advancing Innovative Neurotechnologies (BRAIN) Initiative Cell Census Network によって調整されました。

これまでの研究では、小脳の異常を持って生まれた赤ちゃんにはしばし神経発達障害が見られ、出生前に炎症にさらされた動物モデルもこれらの症状を発症することが示されています。

「私たちが小脳に注目したのは、小脳が最初に発達を始める脳領域の一つであり、成熟するのは最後になる領域の一つであるためですが、依然としてその研究は不足しています。」

マーガレット・マッカーシー博士と共に共同研究を主導したIGSの科学者でUMSOM精神科准教授であるセス・アメント博士は述べています。

「単核 RNA 配列決定というかなり新しい技術を使えば、細胞レベルで調べて脳の変化を観察できるようになります。」

マッカーシー博士はこう付け加えました。

「この年齢層と炎症の状況において、このようなことはこれまでに行われたことがありません。炎症のある小児の小脳における遺伝子発現は、驚くほど一貫していました。」

研究者らは、1歳から5歳までに死亡した17人の子供たちより提供された死後脳組織を検査しました。そのうちの8人は炎症を伴う症状で亡くなり、9人は事故で亡くなっていました。

ドナーの中に、死亡前に神経障害と診断された子供はいませんでした。

2 つのグループは、年齢、性別、人種/民族、死亡からの経過時間が類似していました。

これらのユニークな脳組織標本は、メリーランド大学脳組織バンク、メリーランド精神医学研究センターのメリーランド脳コレクション、メリーランド州ベセスダのNIHニューロバイオバンクのUMSOM研究者によって長年にわたって収集されたものです。

この研究では、「ゴルジ神経細胞(ゴルジニューロン)」と「プルキンエ神経細胞(プルキンエニューロン)」という 2 つの特異的であるものの、まれなタイプの小脳ニューロンが、脳の炎症に対して最も脆弱であることが判明しました。

単細胞レベルでは、これら 2 種類のニューロンは成熟段階での時期尚早な破壊が見られました。

「稀ではありますが、プルキンエ神経細胞とゴルジ神経細胞には重要な機能があります。」

アメント博士は言いました。

「発達中、プルキンエ神経細胞は小脳を認知や感情制御に関与する他の脳領域に接続するシナプスを形成し、一方、ゴルジ神経細胞 は小脳内の細胞間のコミュニケーションを調整します。

これらの発達過程のいずれかの障害は、炎症が自閉症スペクトラム障害や統合失調症などの症状にどのように寄与するかを説明できる可能性があります。」

多くの病気と同様、遺伝と環境 (この場合は炎症) の両方が、これらの疾患の発症リスクに寄与している可能性があります。

だからこそ、ASDや統合失調症などの脳疾患だけでなく、認知症、パーキンソン病、物質使用障害などの脳疾患の治療法を見つけること、脳領域内の特定の細胞の役割とそしてそれらがどのように遺伝子と相互作用して脳機能に影響を与えるのかといった、脳領域内の特定の細胞の役割を理解することが重要です。

「この研究は、炎症中の遺伝子発現の変化が、シナプス接続の低下やエネルギー代謝の変化など、その後の細胞機能不全のきっかけとなる可能性があることを示した最初の研究の1つです。」

「いつか神経発達障害の治療法を開発するためには、脳の発達におけるこれらのメカニズムと変化を細胞レベルで理解することが重要です。」

この研究のデータは、BRAIN Initiative のすべての論文とともに、UMSOM のゲノム科学研究所にあり、厳選されたゲノムデータリポジトリの『Neuroscience Multi-Omic Archive (NeMO Archive)』 に保管されています。



【以下のリンクより引用】

New research shows how brain inflammation in children may cause neurological disorders such as autism or schizophrenia

Medical Xpress

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