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慢性ストレスは疾患や過体重を引き起こす

長時間労働や継続的なスマートフォンの使用により、ジャンクフードやアルコール摂取でストレスを発散する人が溢れています。

ランガン・チャタジー医師の元には少し前まで、厳しい食事療法や運動プログラムを行っていたにも関わらず、血糖値の低下に苦労する2型糖尿病患者がいました。

チャタジー氏は、疾患の根本原因である慢性ストレスに焦点を当てるように勧めました。
53歳のビジネスマンであるこの患者は、会社に長時間留まり、夜遅くまで働いて、睡眠を犠牲にしていました。
チャタジー氏は、絶え間ないストレスが血糖値に大打撃を与える可能性があることを彼に告げ、毎晩90分間はパソコンを停止させ、ヨガと瞑想を行うよう促しました。
6か月後、患者の血糖値は劇的に改善し、正常値に近づきました。

著者であり、テレビの司会者であり、英国の有力医師であるチャタジー氏は、慢性疾患におけるストレスの役割が見過ごされることが非常に多いと考えています。
彼が目にする問題(高血圧、不眠症、うつ病、代謝性疾患、体重増加など)の80%が、何らかの形でストレスに関連していると推定しています。

「多くの人がストレスの影響を無視しています」とチャタジーは言います。
 もちろん、ストレスは人生の避けられない要素であり、少量では有益となる場合があります。
しかし近年、高い社会的および感情的ストレス(プレッシャーの多い労働環境、離婚、経済的不安、人間関係の緊張状態等によってもたらされるもの)が、免疫システムを弱め、炎症や心臓病、早期老化を促進することを示す研究がますます増加しています。

チャタジー氏の最新の著書「The Stress Solution(ストレスの解決策)」では、持続的なストレスがあらゆる方法で病気を引き起こす例や、ストレスによる害から身を守る方法について探っています。
これには、簡単な呼吸法や心を落ち着かせる毎朝の習慣など、簡単に取り入ることができるテクニックも含まれています。
また、睡眠と食事の最適化、スマートフォンやソーシャルメディアの使用削減、回復力を構築するための友人関係や目的意識の育成など、大幅なライフスタイルの変更を要するものもあります。
「私がこの本を執筆した理由の一つは、ストレスに相応しい放送枠を与えることでした。」と、茶太ジー氏は述べています。
「人々はストレスがいかに蔓延し、損害を与えているかを意識する必要があり、また医師はこうした人々を救う簡単な方法があることを認識する必要があります。」

チャタジー氏は長らく、慢性疾患への対抗におけるライフスタイルの変更による効果を提唱してきました。
彼が司会を務めるBBCの人気テレビ番組「Doctor in the House(医師の家庭訪問)」では、彼自身が過体重および慢性疾患のある人々の自宅を訪れ、彼らの食事や運動、人間関係を変化させていく様子を特集しています。

彼は英国の医師向けに認定されたライフスタイル医学コースを作り、「Feel Better、Live More(健康を改善し、長生きする)」という健康にまつわるポットキャストの配信を始め、iTunesのチャートで1位を取りました。
彼の著書「The 4 Pillar Plan(4段階の計画)」では、睡眠や運動、リラクゼーション、食事を介した健康改善方法に関するガイダンスを掲載しています。
彼は、患者にジャンクフードの摂取や過度の飲酒といった悪い習慣を止めるよう指示しても、こうした行動の背景にある根本的な原因に対処しない限り、多くの場合失敗してしまうことに早期に気が付きました。

「1~2週間はモチベーションが続くものの、彼らにとって砂糖やアルコールの消費は、人生のストレスに対処する方法であることがわかりました。」と、チャタジー氏は言います。
「ストレスに対処しない限り、必ず元の生活習慣に戻ってしまうのです」

彼がショックを受けたもう一つの事実は、テクノロジーによって強力なストレス源が新たに作られているということでした。
多くの人は起床後直ぐにスマートフォンを手に取り、メールやソーシャルメディアを確認します。
その後も1日中、食事中からデスクに座っている時間、社交中や夜ベッドに横になっている間まで、
彼らのスマートフォンに貼り付きっぱなしになります。

チャタジー氏は、不安や精神的な健康障害を訴える患者の数が増えており、彼らの多くはスマートフォンに多くの時間をつぎ込んでいることに気付きました。
彼の著書の中でチャタジー氏は、研究では、特に青年や若年成人において、ソーシャルメディアの持続的な使用がうつ病と関連していることが示されていると説明しています。

「今まで以上に、私たちはスイッチを切ることのできない生活を送っていることを認識し始めています。」と、チャタジー氏は言います。
「常にやるべきことがあります。私はテクノロジーに賛成でも反対でもありませんが、多くの人は害を及ぼすような使い方をしていると感じます。」

また、ほとんどの人にとって、日々のストレスレベルを緩和するためにできることがあります。
研究によると、特定の呼吸法によってストレスを軽減し、注意力を高め、免疫システムを強化できることが示されています。
チャタジー氏が推奨するエクササイズの一つに、「3-4-5呼吸法」というものがあります。
これは、3秒間息を吸い込み、4秒間とめ、5秒間かけてゆっくりと吐き出す方法です。
「息を吸い込むよりも長い時間をかけて息を吐き出すことで、体のストレス反応を止め、リラックスさせることができます。」と彼は言います。

スクリーンを一日中眺めている人は、テクノロジーから離れたランチ休憩を取ってみましょう。
携帯電話を15分間置き、散歩に出かけるのです。
研究では、外の公園にいることで不安を軽減することが示されています。
外に出られない日は、心が落ち着く写真を眺めてみましょう。
とある研究では、自然の写真を見ることで心拍の緩和に役立つことがわかっています。

心を落ち着かせる毎朝の習慣により、良い雰囲気で一日を開始しましょう。
ベッドから転がり落ちてスマートフォンを眺めるのではなく、三つのMマインドフルネス、ムーブメント、マインドセットを試みてみましょう。
最低15分かけて、1杯の紅茶を飲んだり、好きな本を数ページ読むなど、気分を向上させる物事に取り組みましょう。

最後に、楽しい気持ちになることを最低1日1回は行いましょう。
「これは、帰ってから散歩に出かけたり、子供と遊んだり、仕事後好きな芸人のYouTube動画を5分見るなどで良いのです。」と、チャテジー氏は言います。
「多忙でストレスの多い仕事に就いている人もいます。その人の仕事のストレスを減らすことはできませんが、回復力を上げることはできます。人生に少しの楽しみがあることで、回復力を高めることができるのです。」

出典: 2019年10月21更新 The Independent『Chronic stress is making us sick and overweight』(2019年11月25日に利用)
https://www.independent.co.uk/news/health/chronic-stress-health-diabetes-social-media-working-hours-...