電話: (050) 5534-5772

平日09:30~18:30(日本時間)

JapanRx / 妊娠におけるエストロゲンの役割

妊娠におけるエストロゲンの役割

妊娠中の特定のホルモンの産生の増加は、母親と胎児の両方の健康を維持するためには不可欠です。

その中でも、ヒト絨毛性ゴナドトロピンホルモン(hCG)、ヒト胎盤ラクトゲン(hPL)、プロゲステロン、およびエストロゲンは、妊娠に関係する最も注目すべきホルモンです。



プラセンタとエストロゲン

妊娠初期の10 週間の間に、エストロゲンとプロゲステロンの両方が黄体で生成されます。

着床後に胎盤が形成されると、この器官はこれら2 つのステロイドホルモンの生成を始め、それらの濃度は妊娠後期にピークに達するまで徐々に増加します。

そして、分娩後すぐに、エストロゲンとプロゲステロンの両方のレベルが大幅に低下します。

胎盤に加えて、妊娠中にエストロゲンを分泌する他の臓器には、卵巣と、それほどではないものの、肝臓、筋肉、骨、脳があります。

 

心血管系への影響

血流に放出されると、エストロゲンはエストロゲン受容体を発現するさまざまな種類の細胞を標的とし、その一部は内皮、上皮、筋肉、骨、軟骨、造血細胞、ニューロン、グリアなどで見られます。

心血管系内ではエストロゲンは多面的な効果を発揮し、それは妊娠の非常に早い段階で始まります。

 

血管系

エストロゲンは、妊娠中の血管系にさまざまな影響を及ぼします。

より具体的には、このステロイドホルモンは、迅速なシグナル伝達経路とゲノム機構の両方に関与することにより、内皮と血管平滑筋に直接作用します。

そして、これらの作用により妊娠中の子宮を含む母体臓器の血液灌流が増加します。

妊娠中のエストロゲンによって影響を受ける更なる血管適応には、体血管抵抗の25%~30% の減少、および心拍出量は40% の上昇があります。

 

心肥大

妊娠中の血管系への関与に加えて、エストロゲンは心臓の肥大促進効果と抗肥大効果の両方にも関係しています。

その抗肥大効果に関して、エストロゲンは、カルシニューリン分解、リン酸化 p38 マイトジェン活性化キナーゼ (MAPK) 経路の制御、および心筋細胞ヒストン脱アセチル化酵素の調節への関与を通じて、妊娠中の心肥大の発症を減少させることが示されています。

特に、これらの効果の多くは、エストロゲン濃度がより高い場合にインビトロで観察されています。

比較すると、妊娠中のエストロゲンの肥大促進効果のいくつかは、低濃度でしばしば観察されています。

エストロゲンのエストラジオール (E2) 型の 1 つの観察されたプロ肥大効果は、細胞外シグナル関連キナーゼ (ERK) 活性化の上昇と関連しています。

 

子癇前症

定義上、子癇前症は、妊娠中の人に高血圧と尿中の高レベルのタンパク質を引き起こす血圧の状態です。

妊娠の最も一般的な合併症の 1 つである子癇前症は、母体と胎児の両方の死亡率と罹患率の主な原因でもあります。

子癇前症は胎盤疾患と見なされますが、この状態の原因となる正確な病態生理学的メカニズムに関しては、かなりの議論の余地があります。

妊娠中のエストロゲンレベルの調節不全、および、このステロイドホルモンの生合成に関与した酵素の調整不全が子癇前症の人々で報告されています。

たとえば、いくつかの研究では、重度および軽度の子癇前症患者、およびこの状態の妊娠中の母親から分離された胎盤組織にE2 の血漿レベルが低いことが観察されています。

さらに、ある研究では、子癇前症の妊婦は、健康な妊婦と比較して E2 のレベルが低いことがわかっています。

E2 に加えて、重度の子癇前症におけるエストロン (E1) 型のエストロゲン、および軽度および重度の子癇前症患者におけるエストリオール (E3) のレベルの低下も観察されています。

胎盤血管新生、および子宮動脈血管拡張の促進においてのエストロゲンの重要な役割も、、また、エストロゲンレベルが子癇前症の病因に寄与している可能性があるという仮説を支持しています。

たとえば、E2 は一酸化窒素 (NO) の合成だけでなく、血管内皮増殖因子 (VEGF) や胎盤増殖因子 (PlGF) などのさまざまな血管新生因子のレベルを増加させます。

そのため、E2レベルが低下すろと、NOと血管新生因子の両方のレベルにおいて、下流での影響を及ぼし、子癇前症に寄与する可能性のある血管拡張、および血管新生プロセスを減少させる可能性があります。

 

妊娠糖尿病

妊娠のもう 1 つの一般的な合併症は、妊娠糖尿病 (GDM) であり、妊婦の約 7 人に 1 人が罹患します。

GDM の発症に関与する仮説の 1 つの要因は、E2 レベルの変化です。

これはこの形態のエストロゲンが β 細胞機能に寄与し、インスリンの合成を増加させるためです。

E2 はGDMで観察されるインスリン抵抗性にも寄与する可能性がある『インスリン感受性膜輸送体GLUT4』の発現の低下にも関与しています。

妊娠中はインスリンの感受性が低下し徐々に増加するエストロゲンのレベルを補うため、母親は追加でインスリンを分泌するのです。

追加分泌されたインスリンがインスリン抵抗性のバランスを十分に取れていない場合、血糖値が上昇し、母親はGDM のリスクが高まります。

 

 

【以下のリンクより引用】

The Role of Estrogen in Pregnancy

News Medical

当社関連商品カテゴリー:ウーマンズ・ヘルスホルモン