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JapanRx / 固形腫瘍に抗がん剤を送達するジェルが開発される

固形腫瘍に抗がん剤を送達するジェルが開発される

腫瘍内療法とは、抗がん剤を腫瘍に直接注射する方法で、固形がんに対する有望な治療選択肢ですが、薬剤を正確に送達することができないことや、ほとんどの免疫療法は注射部位からすぐに消散してしまうため、臨床試験で成功が示された例は限られています。

マサチューセッツ・ジェネラル・ブリガムの研究者チームは、コッホ統合癌研究所の同僚と協力し、これらの課題を克服するゲル送達システムを開発しました。

CTスキャンを行った際の視覚化するための造影剤が含まれているゲルは注射が可能ですが、送達時に固まります。

CTスキャン下で視覚化するための造影剤が含まれています。 そして、高濃度の薬物を保持して、ゆっくりと制御されながら放出を行うことが可能です。

『Advanced Healthcare Materials』誌に掲載された論文の中で、研究チームは、免疫刺激薬である、ジェル送達型イミキモドをチェックポイント阻害剤療法と併用すると、通常はチェックポイントに耐性がある結腸癌および乳癌のマウスモデルにおいて、腫瘍の退縮が誘導され生存率が向上したと報告されています。

この治療法はまた、直接治療されなかった遠方の腫瘍を検出して攻撃するように免疫系を訓練すると思われ、これは転移性がんの治療法として役立つ可能性があることが示唆されています。

「このジェルは、腫瘍内がん免疫療法の既存の試みに伴う 2 つの問題に対処しています。それは、放射線治療医が送達を確認できるように治療を可視化して実用化することと、薬剤が実際に対象領域に留まるようにすることです。」

と、マサチューセッツ総合病院の放射線科のアビック・ソム医学博士は述べています。

「このジェルを腫瘍に注射すると、免疫システムにがんを認識させジェルを注射した部位だけでなく、同じがんが隠れている可能性のある体の他の領域をも攻撃するように教えることができます。」

エンジニアと医療専門家の両方で構成された研究チームは、まず研究室でジェルの化学構造を微調整することによってジェル送達システムを開発し最適化しました。

ジェル設計の重要な側面のひとつは、ジェルを注射可能にするために室温では液体であるものの、薬物放出デポーを形成するために腫瘍内で体温で固体になる必要があるということでした。同時に薬物のカプセル化と送達能力を保持し、十分な造影剤を保持します。

 

研究室でゲルを最適化した後、研究チームは通常免疫療法に抵抗性である結腸がんおよび乳がんのマウスモデルを治療する能力をテストしました。

これを行うために、研究者らは、チェックポイント阻害剤療法と組み合わせて、FDA 承認の免疫刺激薬であるイミキモドを送達するためにジェルを使用しました。

各マウスには同じ種類の腫瘍がふたつありましたが、研究者らは 1 匹のマウスにつきひとつの腫瘍のみを治療したため、局所免疫と全身免疫の両方を刺激するジェルの能力をテストすることができました。

彼らは、ジェル送達型イミキモドとチェックポイント阻害剤療法を組み合わせて治療すると、両方のがんモデルで生存率が向上することをつきとめました。

この治療は全か無かの反応という結果になりました。

治療に応答したマウスは、治療した腫瘍と離れた場所に位置する腫瘍(転移のモデル)の両方で完全な退縮を示しました。その一方で、応答しなかったマウスはどちらの部位でも退行を示しませんでした。

結腸癌モデルでは、チェックポイント阻害剤療法とジェル送達のイミキモドを組み合わせた場合、13匹中6匹に当たる46% が生存しました。

乳がんモデルでは、併用療法で治療した場合、15匹中3匹にあたる20% が生存しました。

「免疫療法による治療に対する私たちの考え方が変わりつつあるとしても、これら 2 つの腫瘍は今日でも治療が困難です。」

と共催著者であるブリガム アンド ウィメンズ病院内科およびMIT機械工学科の准教授であるジョバンニ トラヴェルソ医師は述べました。

「これらの結腸がんおよび乳がんモデルにおいて、離れた腫瘍でも反応を誘導できたという事実は、大きな収穫でした。」

研究者らはこの技術を臨床に導入したいと考えていますが、まずは安全性を確保するためにさらに多くの試験を行う必要があるとしています。

彼らはまた、より広範な薬剤を使用してその有効性をテストすることも計画しています。

「これは初期の概念実証ですが、これらの技術を患者に届けるために私たち全員が積極的に協力しています。」

とマサチューセッツ総合病院の放射線科の放射線科医助手でありこの研究の筆頭著者であるエリック・ヴェーレンバーグ・クレー医師は述べました。

「1回の注射で患者を治療できるではかなりのメリットが得られ、この技術は現在治療が困難ながんを助ける可能性があると考えています。」

 

 

【以下のリンクより引用】

Researchers develop gel to deliver cancer drugs for solid tumors

Medical Xpress

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