喫煙者は新型コロナウイルスに対する受容体がより多いかもしれない

喫煙する人の肺には、新しいコロナウイルスが細胞に侵入するために使用する受容体がより多い可能性があります。

COVID-19を引き起こすウイルスであるSARS-CoV-2に罹患した大多数は、軽度から中程度の症状であり病院で治療しなくても完全に回復します。

ただし、いくつかの研究では、重度の病気の発症は喫煙者の方がはるかに可能性が高いことが示唆されています。

たとえば、中国本土の病院でのCOVID-19症例の最近の研究によると、喫煙者の11.8％は重症ではありませんでしたが、16.9％は重度でした。

ウイルスは細胞に侵入し、自己複製始めるため、細胞膜に存在するアンジオテンシン変換酵素2（ACE2）と呼ばれるタンパク質受容体に留まります。

ニューヨークにある、コールドスプリングハーバーラボラトリーの研究者たちは、喫煙者が肺にこれらの受容体を多く持っているかどうかを調査しました。

彼らの結果は査読を受け、Developmental Cell誌に掲載されます。

「私たちは見つけることができるすべてのデータを収集し始めました。」

と上級研究著者のジェイソン・シェルツァー博士は言います。

「すべてをまとめて分析を開始すると、実験室で煙にさらされたマウスと現在、喫煙者である人間の両方で、ACE2の有意な増加があることがわかりました。」

用量依存関係

最初に、研究者らは5か月間、1日あたり2、3、または4時間、希釈されたタバコの煙に曝し、遺伝子研究データをレビューしました。

彼らは、マウスがタバコの煙にさらされている時間が長くなるほど、より多くのACE2受容体が肺で発現されることを発見しました。

科学者たちは、今後、喫煙とACE2との間の同じ「用量依存」関係が人間に適用されたかどうかを調査します。

彼らは2つの既存の遺伝的データセットを分析しました。

1つは胸部外科手術を受けている喫煙者の肺組織サンプルに基づくもので、もう1つは国立癌研究所（National Cancer Institute）の癌ゲノムアトラスプログラムの人々の肺組織に基づくものです。

研究者は、最も喫煙していた人の肺サンプルに最も高いレベルのACE2が現れたと報告しています。

参加者の年齢、性別、民族性、およびボディマスインデックス（BMI）を考慮した後でも、喫煙とACE2の間には強い関連性がありました。

彼らはまた、禁煙がACE2発現の増加を逆転させることを発見しました。

1年間喫煙していない人の中での調査では、禁煙が、現在、喫煙している人と比較して、ACE2の発現が約40％減少することに関連していました。

杯状細胞

シェルツァー博士と同僚らは、喫煙する人々に、杯状細胞での追加のACE2受容体を追跡することに成功しました。これらは粘液を分泌する肺細胞です。

喫煙は杯細胞の数を増やし、煙の中の刺激物から気道を保護します。

これの不幸な結果は、喫煙する人々がSARS-CoV-2感染に対して深刻により脆弱である可能性を示しています。

杯状細胞が多いということは、ウイルスが細胞に侵入するために使用するACE2受容体が多くあることを意味します。

しかし、COVID-19の状況においては喫煙が保護的であるか有害であるかについては議論があります。

たとえば、The Lancet Infectious Diseasesでの研究では、喫煙している人やインフルエンザや呼吸器感染症の症状がある人は、喫煙していない人よりもプライマリケアにおいてのSARS-CoV-2の検査で陽性となる可能性が低いことがわかりました。

しかし、この研究の著者は、これは喫煙する人は咳をする可能性が高く、他の人よりも自分で検査を提出する可能性が高い可能性があるためであることを指摘しています。

これにより、陽性と判定されるリスクが低くなります。

査読をまだ受けていない別の研究によると、中国でこの感染症で入院した患者の中では喫煙者の数が少なかったようです。

これに基づいて、著者らは、タバコのニコチンが喫煙者を保護していると推測しています。

この研究に関する彼のレビューで、シェルツァー博士は、科学者が結論を下すのに依存している中国での喫煙者の有病率の数値の妥当性に疑問を投げかけています。

「喫煙がCOVID-19を防ぐという主張は、主に直観に反するものであるため、多くの注目を集めましたが、それは間違いである可能性が非常に高いのです。」

とシェルツァー博士は述べました。

「高品質のメタ分析を含む豊富なデータは、喫煙者が非喫煙者よりもCOVID-19のより重篤な症例を経験する傾向があることを示しています。」

シェルツァー博士と同僚は、彼ら自身の研究にもいくつかの制限があったことを認めています。

たとえば、細胞膜内の受容体の量を直接測定するのではなく、ACE2を生成する遺伝子の発現データに依存していたことなどです。

【以下のリンクより引用】

Medical News Today