パンデミックが自閉症の人に与える影響

2020年5月28日（ヘルスディニュース）-　コロナウイルスのパンデミックは、自閉症の子供や大人、そして、その家族にとって特に難しいと専門家は述べています。

 

マイアミ大学聴覚研究およびコミュニケーション障害研究所の教授でディレクターを務めるアドリアン・エシュラギ博士は、自閉症でなくとも日常生活の混乱は誰にとっても困難なものですが、自閉症スペクトラム障害のある人を感情的に混乱させる可能性があると述べています。

 

この「COVID危機の中で自閉症の人とその家族が直面する可能性のある課題、および適切なケアを確保するために、医療提供者が知っておくべきこと（The challenges autism patients and their families might face during the COVID crisis, and what health care providers should know to ensure appropriate care）」

は、最近ランセット精神医学ジャーナルで概説されています。

「この論文の目的は、これらの人々がこのようなパンデミックで直面する課題を定義することです。これにより、医師、介護者、および全体的な医療システムは、これらの特定の患者のニーズをよりよく予測して満たすことができます。」

「COVID-19に罹患するのではないかと誰もがストレスを感じているとき、自閉症の患者を管理する方法についてよりよく教育されることで、患者と医療提供者を安全に増やし、同時にこれらの患者とその家族を適切に助けます。」

と、主著者であるエシュラギ博士は述べました。

米国疾病管理予防センターによると、自閉症の人は免疫障害やその他の健康問題を抱えていることが多いため、COVID-19の合併症のリスクが高くなります。

自閉症は、特に自閉症の子供たちとその家族にとっては困難です。

この報告によると、これらの子供たちは状況を理解し、自分自身を表現するのが難しい可能性があるからです。

多動や行動の問題、音や明るい光に対する極端な感受性は、自閉症の人々に見られる他の問題です。

自閉症の人が医療を必要とするならば、状況は彼らと彼らの家族にとっては耐えきれない可能性があります。

「特に救急治療室の医療環境は、おそらく人混み、音、光が原因となり自閉症スペクトラム障害のある人々にとっては困難で多大な刺激になる可能性があります。」

とエシュラギ氏は述べました。

現在、介護者は緊急治療室(ER) や病室への入室が許可されていませんが、自閉症の場合、患者は介護者が彼らを落ち着かせ、医療提供者とのコミュニケーションを促進するのを助ける必要があるとエシュラギ氏は説明しました。

エシュラギ氏は、ERの医療スタッフは自閉症の兆候を認識し、これらの患者の最善の管理方法を理解するように訓練されるべきであると述べました。

たとえば、患者が病院の待合室を走り回っている場合、それはおそらく規律の問題ではなく、その子供は環境に耐えられないのです。

「自閉症スペクトルの人々のもう一つの問題は、順番を待たなければならないという概念を持っていない人がおり、待たなければならないときにせっかちに動き回りがちです。」

とエシュラギ氏は述べました。

また、今はマスクを着用する必要がありますが、自閉症の子供は感覚的な問題のためにマスクを拒否または外してしまう可能性があります。

可能な解決策としては、待合室ではなく診察室で子供と親を待たせるということです。

子供がマスクを何度も外し続けている場合は、子供、両親、医療従事者の安全を確保するため、両親には追加のマスクを与えるように提案しています。

遠隔医療も選択肢のひとつかもしれませんが、特に自閉症の人向けの遠隔医療サービスが不足していると著者らは述べました。

 

【以下のリンクより引用】

Pandemic Can Overwhelm Those With Autism

Health Day