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遺伝子操作された腸内細菌が高血圧を治療できることが研究で示される

日付:2023 年 10 月 24 日
情報ソース:トレド大学
概要:
新しく発表された研究では、特別に操作されたラクトバチルス・パラカゼイを使用して腸内でACE2と呼ばれるタンパク質を生成し、腸管アンジオテンシンIIを減少させ、血圧を下げることでひいては高血圧を治療できるということを証明しています。
この研究は、高血圧になりやすく、自然にACE2を産生できないように調整した実験用マウスを用いて行われ、私たちの体自身のマイクロバイオームを利用して血圧を調節するという新たな治療方法への道を開くものです。

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トレド大学の科学者らは、遺伝子操作された細菌が血圧を下げることができることを証明しており、この発見は私たちの体内にあるマイクロバイオームを高血圧の治療に利用するという追求において新たな道を開くものです。

査読誌「Pharmacological Research」に今月掲載されたこの研究は、パラダイムシフトを表しているとトレド大学(UTledo)の高血圧研究者で論文の主著者であるビナ・ジョー博士は述べました。

「私たちが常に考えている疑問は、微生物叢を健康を助けるために利用できないかということですが、それに最適な血圧はその重要なサインです。

これまで、私たちは微生物叢の変化が血圧上昇や高血圧に役割を果たしていると単純に述べてきました。これらは重要な発見ですが、すぐに応用できるとは限りません。」
と彼女は言いました。

「これが実際に可能であることが示されたのは初めてです。これは、微生物叢を利用して、目に見えて健康を改善する「製品」を作り出せるという原理を証明しています。」

ジョー博士は、UTledo College of Medicine and Life Sciences の著名な大学教授であり、生理学・薬理学科の学部長です。
また、腸内に生息する細菌と血圧調節との関係の研究においての先駆者です。

彼女の最新の研究で、ジョー博士と彼女のチームは、高血圧になりやすく自然にACE2を生成できない実験用マウスを使いACE2と呼ばれるタンパク質を生成するように特別に改変された有益な腸内細菌であるラクトバチルス・パラカゼイを試しました。

ACE2 タンパク質は、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) を引き起こすウイルスの重要な受容体としての役割を果たしているため、近年かなりの関心を集めています。

しかし、このタンパク質はまた、血管の収縮など、さまざまな方法で血圧を上昇させるホルモンであるアンジオテンシン II を生成するレニン - アンジオテンシン系への負の制御も行います。

研究者らは、プロバイオティクスとして遺伝子操作されたラクトバチルス・パラカゼイ菌をマウスに与えることで、腸内にヒトACE2を導入することができ、これにより腸内アンジオテンシンIIが特異的に減少し、その結果として血圧の低下を確認しました。

しかし興味深いことに、血圧低下効果は雌のマウスでのみ見られました。

雄のマウスと雌のマウスの間でACE2発現に差はなかったにもかかわらず、雌のマウスにのみ血圧の低下が見られたのです。

研究者らはなぜそうなったのか正確には分解らないものの、ジョー博士は、男性ではなく女性がACE2の機能的コピーを2つ持っているという事実と関係があるのではないかと推測しています。

ACE2 をコードする遺伝子は、X 不活化と呼ばれる遺伝現象を免れる X 染色体の領域に位置しています。

ジョー博士によると、ACE2の機能的なコピーを2つ持つことは女性にとって非常に重要であり、もし両方のコピーが失われると女性の血圧は男性に比べてはるかに高くなるからだといいます。

「したがって、女性はACEを供給する腸内細菌叢から得られるあらゆる助けを容易に受け入れるようです。」
と彼女は述べました。

「現時点では、これはさらなる実験的証明が必要な理論です。」

しかし、雄と雌のマウスで結果が異なったとしても、この発見は高血圧やその他の慢性疾患の治療に細菌を利用するという理論と、それを実際に臨床に導入できるかの間の重要な足がかりになるとジョー博士は述べました。

「マイクロバイオーム医学について、それは単に流行なのか、それとも本物なのかという疑問がありますが、これは、自分の細菌を利用して自分のために働くことができ、人口の大部分が罹患している高血圧にも効果があることを示した非常に興味深い実証です。」
と彼女は述べました。

「血圧を抑えるために従来の薬が必要なくなるかもしれないというのは希望の光です。」

米国疾病管理予防センターのデータによると、米国の成人のほぼ半数が高血圧を患っており、そのうち血圧調整がうまくできているのは4 人に1人のみです。

症状が現れることはほとんどありませんが、血圧が調整されていないと、心臓発作、脳卒中、腎臓病の主要な危険因子となります。

ジョー博士は、ACE2を産生する細菌が体内ですでにタンパク質を自然に生成している動物に導入された場合に何が起こるか、腸内のACE2レベルの上昇に伴う副作用についての研究も含め、さらなる研究が必要だと述べました。

しかし、UToledo によるこれまでに例のない研究は、私たちの腸内に生息する細菌を私たちの利益のために利用するといった、大きな可能性へ繋がります。

「細菌を使って高血圧を改善できる可能性は現実にあります。これは一大事でありこの概念は他の病気にも応用できる可能性があります。」
と彼女は述べました。

「たとえば、血糖値の調整がうまくできない場合、細菌に血糖値を下げるタンパク質を作らせることはできるでしょうか?
解決すべき疑問はまだたくさんありますが、パラダイムがうまく機能することはわかりました。」

 

 

【以下のリンクより引用】

Study shows engineered gut bacteria can treat hypertension

Sciencedaily

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