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認知症は死因として見落とされることが多い

最近の研究によると、死因としての認知症は、死亡診断書でかなり過小報告されているといいます。

認知症を死因として挙げられているのは死亡証明書のわずか5%ですが、ボストン大学公衆衛生学部(BUSPH)の新しい研究では、より正確な計算を行うと、この数はほぼ3倍になるとの推がされています。

この研究では、認知症が死因として認識されるのを妨げる要因として、プライマリ・ケアにおける日常的な検査の欠如と、認知症に付随する偏見が挙げられています。

BUSPHの主任研究著者であるアンドリュー・ストークス氏は、「優先順位を決めリソースを割り当てるためには、人の死因を理解することが不可欠だ」と述べています。
研究の中で同氏は、「研究結果では、認知症の死亡率が認識されているよりも高い可能性があることが示されており、認知症の予防とケアを拡大することの重要性が強調されています。」

この最新研究は、JAMA Neurologyに掲載されています。


<データの分析>

健康と退職研究(The Health and Retirement Study)は、この新しい研究にデータを提供しました。
この全国的なデータは、養護施設に引っ越した70歳から99歳の米国の成人から収集されています。

7,342人を対象としたコホート研究では、女性が対象者の60.3%を占めていました。
これらの個人のデータは、まず2000年に収集され、その後2009年にも再び収集され、死亡した被験者が特定されました。

新しい研究の著者は、2018年11月から2020年5月までのデータを分析し、認知症と死の関連を調べました。
人々が住んでいた場所、その他健康状態、年齢、性別、人種、民族、教育レベルなど、さまざまな潜在的な影響要因も考慮されました。


<認知症が見落される理由>

この研究では、2019年、米国では推定560万人の65歳以上の成人が、アルツハイマー病および関連認知症(ADRD)を患っていたと述べられています。

米国の認知症症例の80%はアルツハイマー病が原因ですが、血管性認知症はさらに10%を占めています。
混合型認知症とは、アルツハイマー病と血管性認知症の組み合わせのことで、アルツハイマー病の患者の約半分は血管性認知症も併発しています。

さらに、米国の65歳以上の18.8%は認知症のない認知障害(CIND)を患っていますが、約3分の1は5年以内にADRDを発症します。
ADRDとCINDの発生率は、どちらも年齢とともに増加します。

ADRDは、死亡のリスクを倍増させます。
研究者は、すべての形態の認知症を合計すると、3番目に主要な死因になると推定しています。
現在米国では、認知症による死亡のランク付けにはアルツハイマー病のみが使用されており、6位にランク付けされています。
2017年、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、詳細不明の認知症、およびその他の神経系の未分類の疾患が、261,964件の死亡証明書において根本的な死因として記載されています。

研究著者は、認知症による健康状態の低下に起因する死亡が、単に肺炎や心血管疾患、敗血症などの直接的な原因による死亡とされていることを明らかにした別の研究についても引用しています。

この研究は、医療専門家が死因として認知症を見落とすいくつかの理由を挙げています。

   ・認知症の人は、主な原因としての認知症を覆い隠す、併存症を発症している可能性がある

   ・認知障害があることで、認知症の診断につながる症状の報告が困難になっている可能性がある

    ・認知症に付随するスティグマによって、診断が妨げられている可能性がある

    ・死因を記載した医療認証機関が、死者の認知症に気付いていない可能性がある

出典 2020年9月6日更新 Medical News Daily『Dementia is often overlooked as a cause of death』 (2020年9月8日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/dementia-is-often-overlooked-as-a-cause-of-death#Dementia-...