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脳卒中:過剰な睡眠でリスクが85%上昇する可能性

脳卒中は世界中、特に米国で、死亡や障害につながる最も大きな原因の1つになっています。
新しい研究では、過剰な睡眠がこの心血管障害のリスクを上昇させることがわかりました。

世界では、毎年1500万人の人が脳卒中を発症しています。
内600万人近くが死亡し、500万人に障害が残っています。

米国では、毎年79万5000人以上が脳卒中を発症しています。

脳卒中の従来の危険因子リストは長く、喫煙などのライフスタイル要因から糖尿病などの既存疾患まで幅広くなっています。

より最近になって、研究者は別の危険因子の1つとして睡眠時間を研究し始めました。
一部の研究では、睡眠時間が長すぎても短すぎても、脳卒中を含む心血管イベントリスクが上昇し得ることがわかっています。

これらの調査結果によると、定期的に睡眠不足があること、および毎晩7時間を超えて寝ることは、どちらも高い脳卒中リスクと関連しているといいます。

現在、journal Neurologyに掲載されたとある研究では、日中の昼寝と過剰睡眠、脳卒中の間の関連がみつかりました。

中国武漢市にある華中科技大学のXiaomin Zhang博士は、この研究にまつわる詳細な論文の共同著者です。


<睡眠時間や昼寝時間が長い人は、85%リスクが高まる>
Zhang博士とチームは、中国に住む31,750人のデータを集めました。
研究開始時点では、平均62歳の被験者全てに、脳卒中やその他深刻な健康障害の既往歴はありませんでした。

被験者は自身の睡眠パターンや昼寝週間に関する質問に答え、研究者は平均6年間、この集団の臨床追跡調査を行いました。

チームは、被験者の8%が90分を超える昼寝をとる習慣があり、24%は毎晩最低9時間は眠ると報告したことを見出しました。

研究の期間、被験者の1,557人が脳卒中を発症しました。
9時間以上眠った人は、毎晩7~8時間しか眠らない人と比較して、脳卒中の発症リスクが23%高くなりました。

睡眠時間が7時間未満、もしくは8~9時間であった人は、7~8時間眠った人と比べて脳卒中リスクは高くなりませんでした。

重要な点は、1日9時間以上の睡眠をとった、および90分以上の昼寝をした人は、睡眠時間や昼寝時間が適量であった人と比較して、脳卒中リスクが85%高くなったことです。

最後に、睡眠の質も重要な役割を果たすように見えました。
睡眠の質が悪いと報告した人は、睡眠の質が良いと報告した人と比較して、脳卒中発症リスクが29%高くなりました。

上記の結果は、高血圧や糖尿病、喫煙などの潜在的な交絡因子を調節した後も、顕著に見られました。

Xiaomin Zhang博士は、以下のように述べています。
「この結果では、特に中年期の成人や高齢者において、昼寝時間および睡眠時間を適量にし、睡眠の質を良好に保つことの重要性が強調されました。」


<研究の限界および潜在的なメカニズム>
研究者は、彼らの研究にはいくつかの限界があること、またさらなる研究が必要である事実を認識しています。

まず、これは観察研究であったため、因果関係を証明することはできません。

次に、この研究は睡眠時無呼吸やその他睡眠障害を考慮していなかったため、これが結果に影響した可能性があります。

3点目として、自己報告データには、研究者が被験者の睡眠を観察して記録するデータ程の信ぴょう性はありません。

最後に、この結果は高齢の、健康的な中国人成人にのみ見られたものであり、他の人口集団は対象になっていません。

「長い昼寝や夜の長時間睡眠が脳卒中リスクの増加と関連する可能性のメカニズムを理解するためには、さらなる研究が必要です。しかし、過去の研究では、昼寝時間や睡眠時間が長い人は、コレステロール値やウエスト周囲に望ましくない変化が起こることが示されてます。これらはどちらも、脳卒中の危険因子となります。」と、Zhang博士は説明しています。

「加えて、長い昼寝や睡眠は全体的なライフスタイルが活動的でないことを示している場合があり、これも脳卒中リスクの増加につながる可能性があります。」

出典:2019年12月12日更新 Medical News Today『Stroke: Excessive sleep may raise risk by 85%』(2019年12月16日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/327280.php#6