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発酵食品が人間の脳の成長を促進してきた可能性を示す新たな進化論

オープンアクセスジャーナルのCommunications Biology誌に掲載されたレビューの中で、米国の研究者らは、ヒト科の脳の拡大を引き起こす際の外部発酵食品の潜在的な役割と利点について説明しました。

彼らはさらに、「外部発酵仮説」の説明力について議論し、人類の文化全体に渡り関連する食習慣について調査を行いました。

 

背景

人間の脳の体積は進化の過程で 3 倍に増加しました。

脳の拡大は、その範囲と時間軸に関して研究されてきましたが、この変化の根底にあるメカニズムはほとんど理解されていません。

これに関しては、さまざまな仮説が提案されています。

「高価な組織仮説」は、人間の脳の拡大には消化器系からのリソースの再割り当てが必要であることを示しています。

これは、人間の消化管が霊長類の消化管に比べて 60% 小さいという事実からも明らかです。

しかし、腸自体が栄養素の吸収に関与していることを考えると、他の研究では、肉や穀物類の摂取量を増やすなど、食事の変化によってエネルギー消費が調整された場合にのみ、脳のサイズが大きくなることで健康をサポートできることが示唆されています。

食事によるもう一つの修正は、脳のサイズの増加と腸のサイズの縮小をサポートする適切なカロリーと栄養を提供する料理によるものであった可能性があります。

しかし、火を制御して使用するためにはかなり高い認知能力が必要であり、脳と身体の比率が低い人類にはその能力が存在しない可能性があります。

上記の仮説の限界を考慮した場合、初期に大脳が成長した引き金についての理解には依然としてばらつきがあります。

このニーズに応えて、今回のレビューの研究者らは「外部発酵仮説」を提案し、それを裏付ける証拠について議論しました。

 

内部発酵

人間の消化管、特に結腸では、共生細菌が有機食品を短鎖脂肪酸などの栄養素に分解しますがこのプロセスは内部発酵と呼ばれます。

未消化の繊維からエネルギーが追加され、ビタミンやミネラルの吸収を改善し、食品に存在する抗栄養因子(ANFの分解も可能にします。

 

外部発酵と脳の拡大におけるその役割

一方、外部発酵とは、環境内または食品の表面の細菌によって食品の分解が引き起こされることです。

外部発酵には内部発酵と同様の利点があります。

宿主の微生物叢に貢献することで宿主の腸の健康、および栄養素の吸収を改善し、ANFを分解することで栄養素の生物学的な利用度を高め、有毒物質を食用物質に変換するのに役立ちます。

さらに、外部発酵は、摂取されたプロバイオティクス細菌が腸内に定着し、その領域での病原体の定着を防ぐため、宿主の免疫力を向上させます。

研究者らによると、進化の過程で結腸は 74% という大幅な減少があり、それは植物由来の食物を分解する必要性が減少したことを示しています。

外部発酵仮説においては、この変化は外部から発酵した食品を摂取した後に潜在的に適応される可能性があります。

外部発酵の実現の可能性についてはさらに議論され、初期の人類は、食物を運んで貯蔵し、意図することなく、食物の外部発酵が始まった可能性があるという仮説が立てられました。

時間とともに、この習慣は文化的に強化された現象に進化し、ヒトの脳の拡大と認知発達に貢献した可能性があります。

 

他の仮説に対するこの仮説の説明での利点

外部発酵仮説には、以前の仮説に比べていくつかの利点が説明されていることが確認されています。

穀物の収穫、肉食、調理などの食事の進化と比較して、外部で発酵させた食品の摂取のために必要な認知能力ははるかに低かったとされています。

発酵食品は、特別な計画、社会的調整、または注意を必要とせずとも、調理済み食品のすべてに利点をもたらします。

 「発酵」は、たとえば調理に必要な火よりも発見される可能性が高いようです。

さらに、火を使うことは積極的に維持しなければならないのに対し、発酵はそのまま保存しておけばよいのです。また、発酵は、他の集中的な食品保存技術に代わるより簡単な代替手段でもあります。

研究者らは、認知能力が低く、脳が小さい人類は、他の方法よりも発酵は簡単に成し遂げることができたのではないかと示唆しています。

 

現在の発酵習慣について

今日、発酵技術は高度に進化し、広く普及しています。

世界中の人々が、様々な気候条件や時間枠を設けて、さまざまな供給源からのあらゆる種類の食品を発酵させています。

研究者らはそのような例のリストを作成照合し、発酵の妥当性、文化的な受け入れやすさ、普遍性を裏付ける証拠として利用しました。

 

仮説の検証

研究者らは、外部発酵仮説を検証するために、外部発酵の影響を受けている代謝、消化、免疫プロセスにっ関連した遺伝子変化を調査し、発酵食品の検出に関連選択の可能性について嗅覚受容体遺伝子を分析したり、発酵食品の変化を調査、または、ヒトのマイクロバイオームを近縁種である類人猿のと比較するなど、さまざまな方法を提案しています。

彼らは、仮説を裏付けるか、もしくは、否定するために、微生物学的研究、比較分析、遺伝的およびゲノム調査などの実証的研究が必要であることを強調しています。

 

結論

今回の総説の研究者らは「外部発酵仮説」を提案し、初期の人類による発酵技術の導入が人間の脳を大きくし腸を縮小させた重要なメカニズムであったことを示唆しています。

 彼らは、腸内発酵を体外で実践転換したことが重要な革新であり、脳の拡大を選択するための代謝条件を決定づけた可能性があることを示しています。

このレビューは、人間の食事の進化と腸と脳の解剖学的構造についての新たな洞察を提供しています。また、この仮説をさらに検証するための解説と実験も求められています。

 

 

【以下のリンクより引用】

Fermented foods may have fueled human brain growth, new evolutionary theory proposes

News Medical Net

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