電話: (050) 5534-5772

平日09:30~18:30(日本時間)

JapanRx / 特定の前治療を受けた肺癌患者にはオシメルチニブにサボリチニブの併用が効果的

特定の前治療を受けた肺癌患者にはオシメルチニブにサボリチニブの併用が効果的

治験中のMET阻害剤「サボリチニブ」をEGFR阻害剤のオシメチチニブ(商品名タグリッソ)に追加すると、MET遺伝子の増幅によって
以前のEGFR標的治療薬に対して耐性を発現したEGFR変異型非小細胞肺癌(NSCLC)の患者において臨床応答が得られたと、
2019年3月29日から4月3日に開催されたAACR年次総会で発表された『フェーズIb臨床試験TATTON』での2つの拡大コホートからの中間結果として
報告されました。

「今日まで、EGFR変異を有する肺癌患者に対する標的療法は、さまざまなEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を用いた
単独療法のみで構成されており、チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)に対する耐性の割合は、METバイパス経路の活性化に起因することが
10年以上前からわかっています。」
と、マサチューセッツ総合病院がんセンターの胸部腫瘍内科医であり、早期癌発見イノベーションセンターの所長である、
レチアV.セキスト博士は述べました。

以前の研究では、MET遺伝子の増幅は、第一世代または第二世代のEGFR TKIによる治療後に疾患が進行した患者の約5~10%、
そして第三世代のEGFR TKIによる治療後に疾患が進行した患者の約25%で観察されるバイパス経路であることを示したことを、セキスト博士は説明しました。

EGFRとMETを標的とした治療薬の併用に関する以前の臨床試験は、研究された薬物の組み合わせや、主に患者が適切なバイオマーカーに
基づいて選択されなかったことにより、それは成功していないとセキスト博士は述べました。

「TATTON試験では、EGFRおよびMETに対する特異性を増加させた新しいTKIが使用され、EGFR変異型NSCLCの患者に対しては、
MET主導の耐性を証明することが求められています。」
と彼女は付け加えました。

2つの異なる拡大コホートからの中間結果がここに提示されています。
最初のコホートでは、オシメルチニブとサボリチニブの組み合わせが、第一世代または第二世代のEGFR TKIによる治療後にMET増幅によって
促進される後天的耐性を有する『EGFR変異型肺がん』の患者での治験が行われました。
これらの患者の腫瘍はT790M変異検査ではまた陰性でした。  

2番目のコホートでは、オシメルチニブまたは別の実験的な第三世代EGFR TKIによる治療後にMET増幅によって促進され、
耐性が見られたEGFR変異型肺癌の患者において、同じ組み合わせで試験を行いました。  

「TATTON試験のデータは、EGFR変異型NSCLC患者、およびMETに起因した後天的耐性を有する患者において、
MET阻害剤をEGFR阻害剤に添加する利点を初めて実証しました。」
とセキスト博士は述べました。

「この研究は、化学療法が現在の主な選択可能な治療法である患者集団においての併用療法の有効性を示しています。」
「この所見は標的療法の研究において、患者が慎重に治療選択を行う事の価値について示されており、これらの臨床的に意味のある
治療反応はまた、異なる異種耐性クローンが出現するにつれて、それらを順番に治療を行うように調整することで、制御ができるということを
示しています。」

第一世代または第二世代のEGFR TKIを受けた46人の患者の以前のコホートにおいては、オシメチニブとサボリチニブの併用による治療は、
24%の部分奏効率を含め、52%の全奏効率(ORR)をもたらしました。
奏功持続期間(DOR)の中央値は7.1ヵ月でした。

第三世代EGFR TKIを受けた48人の患者の以前のコホートにおいて、オシメチニブとサボリチニブの併用による治療では、
12%の部分奏効率を含め、28%の全奏効率(ORR)でした。
また、 DORの中央値は9.7ヶ月でした。

「オシメルチニブ単独投与と比較して、オシメルチニブとサボリチニブの併用では一部の患者は毒性のために治療を中止したことがわかったために、
毒性が追加されましたが、全体的にレジメンは許容範囲内でした。」
とセキスト博士は述べました。

最も発生頻度が高かった有害事象は、悪心、下痢、そして白血球数および血小板数の減少でした。

脳転移を起こしていた1人の患者は、併用治療を開始して数日後に腎不全で死亡しました。

治験責任医師は、この重篤な有害事象は治験薬との関連で評価するのが困難であると考えたとセキスト博士は述べました。
「オシメルチニブとサボリチニブの併用による有害事象プロファイルの理解、とその有害事象の管理方法についての理解は向上しています。」

TATTON試験が始まってから、オシメルチニブはEGFR変異型NSCLC患者の第一選択治療での治療が承認されました。
このため、治験中の一部の患者では、以前に第一選択薬であったオシメルチニブが投与され、そのためにMETに起因した耐性を示しました。

「新たに始まった第II相『SAVANNAH試験』では、オシメルチニブ単独で疾患が進行し、MET陽性であった患者において、オシメルチニブとサボリチニブを併用した場合の効果を更に調査します。」

また、セキスト博士は、これらは初期段階の試験であり、大規模な試験で確認する必要があると述べています。  

【以下のウェブサイトより引用】
https://medicalxpress.com/news/2019-03-adding-savolitinib-osimertinib-beneficial-pretreated.html