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潜在的な新しい治療法により慢性的なかゆみを緩和

慢性的なかゆみの原因は長い間謎でした。一方で、その症状を持つ人は、絶え間なく襲う痒みの症状に苦しみ暫しかきむしる衝動に駆られます。

セントルイスにあるワシントン大学医学部においての新しい研究では、慢性のかゆみを引き起こすのは皮膚のニューロンを活性化するために不可欠な免疫シグナル伝達分子であると同定されています。  
小規模な研究において、研究者は、慢性特発性そう痒と呼ばれる疾患である未知の原因によるかゆみを持つタイプの人々が、関節リウマチの承認を受けた薬剤であるトファシチニブ(商品名ゼルヤンツ)を投与すると改善することを発見しました。

早期に他の抗炎症薬で痒みを治療しようとする試みは成功しませんでしたが、トファシチニブを服用してから1ヵ月以内に、5人の患者すべてが重度のかゆみから著しくかゆみを軽減させました。  
調査結果は9月8日の医療ジャーナル『Cell』に掲載されています。  

「これらの患者は昼夜を問わずしばしば痒みを難じることが多く、かきむしりたくなる衝動がおさまることがありません。」とワシントン大学のかゆみ研究センターの助教授であるブライアン・キム博士は語りました。  
「これは小規模な研究でしたが、トファシチニブを服用した患者は、かゆみの点で劇的な改善が見られ、良く眠れ、掻き傷を作ることもなくなり、より生産的な生活を送れるようになりました。 もちろん、我々がより大きな研究をする必要があることは明らかですが、この初動研究の結果は非常に奨励されるものです。」
 
この発見はまた、なぜ新薬デュピルマブ(商品名デュピクセント)で治療した湿疹患者において、かゆみが劇的に消散することを以前の研究が発見した理由をも説明しています。
湿疹患者には、かゆみがあり、また鱗状の発疹があります。
ワシントン大学の研究者らは、トファシチニブやデュピルマブなどの薬物は、免疫系だけでなく神経に直接作用するため、他の多くの薬物がうまく機能していることを発見しました。

慢性のかゆみは、人口の15%もの人々が罹患しており、湿疹および乾癬などの炎症疾患によって最も頻繁に引き起こされますが、腎不全や肝臓疾患および特定の癌、または、神経障害に関連するものもあります。
しかし、そういった既知の原因がない慢性の痒みの症例は、特に困惑させるものであり、最も治療が困難なのです。  

研究の一部では、研究者らは、マウスおよびヒトにおける感覚ニューロンが、インターロイキン-4(IL-4)と呼ばれる免疫シグナル伝達分子によって活性化されることを示しました。   「この免疫分子が直接神経細胞を刺激してかゆみを引き起こすことを示している、免疫系と神経系との関連が以前には認識されていないことがわかりました。」  

さらに、IL-4シグナル伝達は、炎症の設定において慢性のかゆみを発生させる可能性がありますが、炎症に直接関連する経路とは別に独立していることが示されました。
例えば、慢性特発性そう痒症は炎症に関連していないため、ステロイドクリームなどの抗炎症治療は有効ではありません。  

キム博士のチームは、研究の第一著者であるランドンK. オトジェン氏が率いてマウスに、IL-4に応答する能力を欠く感覚ニューロンを有するように設計しました。
これらのマウスはかゆみを感じるはずの刺激があった時にもかきむしる行為は見られませんでした。
これらの知見は、新薬デュピルマブが湿疹の患者のかゆみを改善するのに驚異的な成功を収めた理由を説明するのに役立ちます。  
研究者らは、IL-4が慢性のかゆみの重要な要素である神経細胞(JAK1)内の重要なタンパク質を刺激することを明らかにしました。
この発見により、JAK1が複数のタイプのかゆみ、特に原因不明のかゆみに対しても敏感な標的である可能性があると疑うようになりました。
既存の関節炎薬トファシチニブはこのタンパク質を阻害するため、慢性特発性そう痒患者の数人にこの薬剤を投与しました。  

「慢性特発性掻痒症の患者でトファシチニブが機能するかどうかはわかりませんでしたが、マウスでの研究ではそうしたことが示唆されました。」とキム博士は述べました。 
慢性特発性そう痒症の患者は、通常、皮膚には発疹がみられませんが、依然として重篤で猛烈なかゆみがありました。
しかし、トファシチニブを服用した場合、これらの患者は平均してかゆみの重症度がほぼ80%改善しました。  

「マウスがヒトの患者に見られるものを正確に予測するのはまれな状況です。 次は、患者の免疫システムに干渉することなく、かゆみを取り除くためにトファシチニブを改変できるかどうかを評価するため、慢性のかゆみを有する患者に対してのより大きな研究を実施したいと考えてます。」とキム博士は述べました。  

【以下のウェブサイトより引用】
https://medicine.wustl.edu/news/potential-new-therapy-relieves-chronic-itch/