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亜鉛はCOVID-19を予防できる?

亜鉛に関する証拠を再検討したところ、このミネラルが抗ウイルス免疫を高め、炎症を抑制することにより、COVID-19に対する保護効果をもたらす可能性があることが示唆されました。

食事と健康には免疫系機能を含む多くの関連があります。
良質な栄養は、病原体と戦う免疫システムをサポートし、感染後の慢性炎症予防に役立ちます。

ビタミンCは、免疫系に多大な影響を与えることが広く知られています。
ビタミン欠乏症は、肺炎のような感染症のリスクの上昇と関連しています。

COVID-19のパンデミックの最中、免疫システムの機能をサポートする栄養補助食品への関心が高まっています。
特定の食品やサプリメントがCOVID-19の発症を防ぐことはできませんが、特定の栄養素は免疫系の機能をサポートするのに役立ちます。

最近のレビューでは、COVID-19に対する亜鉛の利点に焦点が当てられています。
亜鉛は、さまざまな種類の食品に含まれるミネラルです。

調査結果では、亜鉛が抗ウイルス免疫をサポートし、炎症を軽減することにより、COVID-19に対する保護効果をもたらす可能性があることが示唆されています。

このレビューはロシアのモスクワにあるセチェノフ大学の研究者チームが主導し、国際分子医学ジャーナル(International Journal of Molecular Medicine)にて発表されました。


<必須ミネラル>

亜鉛は必須のミネラルであり、300以上の酵素の機能をサポートするなど、人体において幅広い役割を果たします。
正常な代謝を行い、生殖器系や循環器系、神経系の適切な機能を保つため、身体には亜鉛が必要です。

亜鉛を多く含む食品には、赤身肉や貝類、鶏肉などの動物性食品の他、栄養素の強化された朝食用シリアルが含まれます。
しかし、豆類やナッツ、種子にも亜鉛は含まれています。
野菜や穀物に含まれるフィチン酸は亜鉛の吸収を低下させる可能性があるため、菜食主義者や完全菜食主義者は、食事で摂取する亜鉛の量を50%増やす必要があることがあります。

亜鉛の欠乏には、子供の成長の遅れや、感染リスクの増加が伴います。
また、COVID-19の結果として発症する可能性がある肺炎の発症に関して、重要な危険因子ともなります。

「現在の推定によれば、亜鉛欠乏症のリスクは世界中で15億人以上に見られます。」と、同レビューの筆頭著者であるアントニー・スカルニー教授は説明しています。
彼は、セチェノフ大学の分子栄養学研究室長を務めています。

 「亜鉛は免疫の調節において重要な役割を果たすことを考慮すると、亜鉛不足は感染症の危険因子であると考えられるのではないでしょうか。」

スカルニー教授は、ロシアやドイツ、ギリシャ、ノルウェー、米国の同僚研究者とともに、COVID-19を含む、呼吸器感染症の予防と治療における亜鉛の役割に関する科学的証拠のレビューをまとめています。


<亜鉛と免疫系>

亜鉛は、免疫システムにおいて主要な役割を果たす白血球の生成と成熟をサポートします。
白血球には複数の種類があり、その一部は抗体を作り、病原体を捕獲して破壊し、感染後に免疫系を正常に戻します。

亜鉛はまた、炎症を調節するのに役立ちます。
感染と戦うには炎症反応が必要となりますが、感染初期の炎症誘発性サイトカイン過剰産生は、COVID-19における一部の深刻な症状の原因となっています。

このレビューでは、亜鉛が肺炎に対する抗炎症作用を発揮し、肺組織への損傷を抑える可能性があることを示す証拠について説明されています。

何十年もの間、科学者たちによって、亜鉛が風邪を含む人々の呼吸器感染症の原因となるライノウイルスの増殖を阻止できることが知られてきました。

細胞内の亜鉛濃度が高いと、ライノウイルスの増殖が阻止され、インターフェロンアルファの産生が刺激されます。
このシグナリング分子は、近くの細胞に対し、抗ウイルス防御を開始するよう促します。

また、同レビューでは、コロナウイルスに関する特有の証拠も見つかりました。
とある研究では、2002年のSARS流行を引き起こしたコロナウイルスの増殖に関与する酵素を、亜鉛が阻害することが示されました。


<クロロキンとのつながり>

興味深いことに、一部の人々がパンデミックの早い段階で治療法として提案したクロロキンは、亜鉛の細胞への取り込みを増加させ、このことがクロロキンに関する肯定的な効果の根底にある可能性があります。

2020年に行われたとある研究では、医師が亜鉛とヒドロキシクロロキンによって患者を治療したところ、より多くの患者が退院し、COVID-19による死者が減少したことが示されました。

しかし、ヒドロキシクロロキンまたはクロロキンがCOVID-19を治療できることを示唆する論文は、その後撤回されています。
食品医薬品局(FDA)が提示する最新の推奨事項では、これらの薬には深刻な副作用リスクがあるため、使用しないように警告されています。

また、亜鉛が呼吸器疾患やその合併症リスクを軽減するという証拠はあるものの、亜鉛の摂取とCOVID-19に関する推奨を行うのに十分なデータは存在しないことも、研究者たちは明らかにしています。

また、過剰に亜鉛を摂取すると、吐き気や食欲不振、胃けいれんなどの悪影響が生じる可能性があることにも注意してください。
長期的に亜鉛を過剰摂取すると、免疫力が低下します。
国立衛生研究所では、毎日の亜鉛の推奨摂取量が提供されています。

出典 2020年7月16日更新 Medical News Today『Could zinc protect against COVID-19?』 (2020年7月21日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/zinc-may-have-protective-effects-against-covid-19