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一部の医師が妊婦に低用量アスピリンを推奨する理由

  • テキサス大学健康科学センターの医師は現在、妊婦に81ミリグラムのアスピリンを処方しています。
  • 低用量のアスピリンは、子癇前症のリスクがある妊婦の標準的な治療法とされてきました。
  • 医療分野では、毎日投与すると出血のリスクが高まるため、すべての妊婦にアスピリンを処方すべきかどうかについて議論が行われています。

妊娠中の女性は、妊婦用ビタミン剤を毎日服用することに加えて、低用量のアスピリンも服用すべきなのでしょうか?

ヒューストンにあるテキサス大学(UT)健康科学センターでは、産婦人科医が妊娠中の患者に対して、上記を推奨しています。

これは、危険な高血圧を特徴とする、命に関わる可能性のある妊娠合併症である、子癇前症を予防するための強化プログラムの一部です。

一般に「ベビーアスピリン」と呼ばれる81ミリグラムという低用量の使用は、リスクのある女性の子癇前症予防に役立つ治療法として推奨されています。

しかし昨年、UTの医師は、一部の女性がスクリーニング中に見落とされたことが一つのきっかけとなり、全面的な処方を開始しました。

「低用量アスピリンの全面的な投与を開始した理由の主な要因の1つは、私たちの患者の中に投与に適した候補者がいたにも関わらず、薬を処方されていない人がいたためです。」と、ナナ・アマ・E・ベンタム医師は言いました。
彼女はUTのマクガヴァン医学校で母体胎児医学の専門家を務めています。

「患者の見落としがないように、私たちの部署では全ての患者に対する投与を推奨することにしました。」と、彼女はHealthlineへの取材に答えています。
「私たちが受け持つ患者のほとんどは、高リスクのカテゴリーに属しています。」


<推奨される標準治療>

米国産婦人科大学(ACOG)は、米国における子癇前症の割合が過去20年間で25%増加し、母体および胎児の病気と死亡の主な原因になっていると述べています。

ACOGと米国予防医学専門委員会は両者共に、少なくとも1つの高リスク因子または複数の中程度のリスク因子を有する妊婦に対して、低用量のアスピリン療法を受けることを推奨しています。

彼らは、子癇前症や過去の多胎出産経験、慢性高血圧、糖尿病、腎臓病、または狼瘡などの自己免疫疾患の既往歴を、高リスクと定義しています。

中程度のリスク要因は、以下の通りです。

  • 初産
  • 肥満
  • 子癇前症の家族歴
  • アフリカ系人種
  • 低い社会経済的地位
  • 35歳以上
  • 低体重児の出産経験
  • 妊娠間隔が10年開いている
  • 妊娠失敗経験

ACOGと米国予防医学専門委員会は、リスクを有する妊娠中の女性が、妊娠12週目から出産まで治療を受けることを推奨しています。


<標準治療とすべきか?>

「この介入法は低リスクです。アスピリンを服用できない患者はほとんどいません。服用できる患者にとっては、かなり安全です。」と、ベンタム氏は言います。

「現在ACOGと米国予防医学専門委員会は、全面的な投与を公式に推奨してはいませんが、今後最終的にはこの方法が推奨される可能性があると考えられます。」

香港中文大学産婦人科の教授であるライオナ・プーン博士は、全面的な投与は、一部の低所得の環境においては、効果的な戦略である可能性があると述べました。

しかし一般的に、彼女はこの方法を推奨してはいません。

理由の一つは、出血リスクがあるためです。

「アスピリンが全ての患者に適用されると、リスクに関するカウンセリングを受けた一部の集団にのみ推奨された場合よりも、コンプライアンスが悪化する可能性が高くなります。」と、プーン氏はHealthlineに対して述べています。

ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨークリニックの産婦人科医であるイボン・S・バトラー・トバ医師は、「彼ら(UTの医師)が思い切って全面的な投与を開始してというのは、興味深いことです。」と話しています。

「これは、多くの全国会議、および産婦人科で何年間も議論されてきたことです。」と、彼女はHealthlineに対して述べました。

「私たちは、妊娠中の高血圧性障害のリスクが高まることを考慮した上で、低用量のアスピリンを標準的な出生前予防ケアの一部とすべきかどうかについて話し合いました。」

バトラー・トバ氏は、次のように付け加えています。
「これは恐らく、現在私たちが葉酸サプリメントに対して行っていることと同様になるでしょう。葉酸不足の女性がたくさんいることは知られています。その場合、どうすれば良いでしょう?副作用の可能性は最小限に抑えられることを考慮すると、全ての人に推奨するでしょう。」

「何かを推奨したからといって、何かしらの変化が起こるとは限りません。」と彼女は言います。
「私は、低用量のアスピリンによって低リスクの女性の変化を特定することは難しいと思います。」

彼女は次のように付け加えました。「国の推奨事項にすることを検討する前に、この方法が本当に効果的であるというより多くの証拠が必要でしょう。」

子癇前症財団(PF)のスポークスマンは、「全面的な使用の安全性を調べるための研究は行われていない」とHealthlineに語りました。

ベンタム氏は、テキサス大学の医師によって出血率の増加は確認されていないと述べました。

テキサスチームの医師の1人は、有効性を評価するため、全面的な推奨を開始する前後にデータを収集する予定です。

PFのウェブサイトには、症状と治療に関する情報とサポートホットラインが掲載されています。

子癇前症の危険因子がある場合は、医師に知らせてください。

出典 2020年2月17日更新 healthline『Why Some Doctors Are Recommending Low Dose Aspirin for Pregnant Women』(2020年2月21日に利用)
https://www.healthline.com/health-news/should-pregnant-women-take-low-dose-aspirin#Should-it-be-stan...?