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トラネキサム酸が全般的に救命の効果が有る

トラネキサム酸(Tranexamic acid)は, 外傷患者における治療前の死亡リスクにかかわらず生存に有益性を与えますが、CRASH-2試験の事前に指定された解析で明らかになっています。
外傷プロトコル(定められている医療規定、手順、計画のこと)はリスクの最も高い患者に焦点を当てる傾向があります。しかし、今回の調査結果からトラネキサム酸の場合は 「最も重度の外傷に限定されるべきではない。」ことが示されていると英国ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院の研究著者イーアン・ロバーツ(Ian Roberts)氏と彼のチームがイギリス医師会雑誌 (British Medical Journal)で報告しました。
トラネキサム酸は外傷性出血を緩和するために投与されますが、その有益性 が血栓症リスクの増加を伴うとは思われません。実際、今回の解析から、トラネキサム酸投与患者は、プラセボ投与患者と比較して、致死的・非致死的血栓症のリスクが31%有意に低下し、動脈血栓症リスクが42%低下した他、静脈血栓症リスクについて差はありませんでした。
「虚血性心疾患のリスク増加に関わる臨床上の懸念は、むしろトラネキサム酸を保留するよりも、投与する理由になると考えられます。」とロバーツ 氏らは言います。「注目に値するのは、心イベントのリスクが高いグループにおける心臓手術患者を対象としたトラネキサム酸の試験において、リスク増加の証拠 が認められないことです。」
同研究チームの解析は、CRASH-2(重症出血に対する抗線溶薬の臨床的無作為化試験2)からの外傷患者を含んでいました。それは、外傷の3 時間以内に治療を受けた外傷患者13,273人を対象としました。トラネキサム酸投与群に割り付けられた患者は、初期投与量1gを10分間点滴され、その後 1gを8時間点滴されました。
全体として、トラネキサム酸の治療ではプラセボと比較して、死亡リスクが15%低下しましたほか、試験前の患者死亡リスクに不均一性の証拠は認められませんでした(CRASH-2予後モデルで測定)。試験前のリスクレベルで、具体的には6%未満、 6~20%、21~50%、50%超に対して、死亡リスク低減の幅はそれぞれ22%、17%、20%、23%でした。
しかしながら、「”存在しない“という証拠と取り違えるべきではない。」と同チームは強調しています。また、リスクの最も低い群で信頼区間の幅が特に広かったことに注意しています。
一 方、ロバーツ氏らによると、一貫性の延命効果が事実であると仮定すれば、英国傷害の監査研究ネットワーク(UK Trauma and Audit Research Network )の13,000人以上の患者に対し、トラネキサム酸を外傷後3時間以内に投与したら、治療前の死亡リスクが6%未満または50%超の患者で死亡の17%を防止できたほか、中間リスク患者では死亡の約3分の1を防止できるかもしれません。
これらの患者の大部分は、治療前の死亡リスクが10%未満であったことから、トラネキサム酸の最大絶対利点は低リスク患者の間で生じていたことになります。また、最大絶対利点は高齢患者の間で起こることが予想されます。「誰が傷害の重症度の任意のレベルで、治療前の出血および血栓症による死亡リスクがより高いです。」と同研究者らは述べています。
(記事元)
http://www.news-medical.net/news/20120918/Tranexamic-acid-lifesaving-across-the-board.aspx