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アスピリンが乳がんの予後の味方になる?

多くの研究は、アスピリンを服用している女性は乳癌のリスクが低い可能性があることを示唆しています。

しかし、この一般的な抗炎症剤は、すでに病気の治療を受けている女性の健康にはどのように影響するのでしょうか。

アスピリンは、多くの人が薬箱に入れている一般的な非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)です。

通常、アスピリンは頭痛のほか、軽度の風邪やインフルエンザの症状の治療に使用されます。しかし、研究により、このNSAIDには、血栓の形成を    防ぎ、脳卒中のリスクを減らすなど、他の有益な効果もあることが示されています。

これまでにMedical News Today(本誌)で取り上げた研究では、アスピリンが乳がんのリスクを最大20%低下させる可能性があり、乳がんを含む   すでに診断されているがんの治療にも役立つ可能性があることも示唆されています。

しかし、ノースカロライナ大学(UNC)のチャペルヒルのギリングス・グローバル・パブリック・ヘルス・スクールで行われた新しい研究では、アスピリンが乳がんの転帰にどのように影響するかについての証拠にはばらつきがあるということが強調されています。

ガン誌に掲載されている彼らの研究論文において、UNCの研究者は、

「乳がん後の予後と死亡率に関連するアスピリンの使用についての根本的な生物学的メカニズムと疫学的所見は限られており一貫性がない」

と述べています。

アスピリンは、乳がんを経験した一部の人の健康を維持するのに役立つかもしれませんが、他の人ではあまり好ましくない結果に関連しているかも  しれません。

それでは、このNSAIDを役立てることができるのはどういう人なのでしょうか。

これについては、UNCの研究チームが調査を開始しています。

 

DNAとの相互作用が重要

「慢性炎症は、乳がんを含む複数のタイプの癌を開発させる原因となっています。」

と、この研究の筆頭著者であるテンテング・ワン博士は述べています。

 

「アスピリンは抗炎症特性を持つ人気のある非ステロイド性抗炎症薬です。」

と彼女は付け加えます。

 「それを考慮すると、実験や集団研究からの実質的な証拠がアスピリンを服用することで、乳がんの発症リスクが低下する可能性があることを示しています。」

多くの研究は、アスピリンを服用している女性は乳癌のリスクが低い可能性があることを示唆しています。

しかし、この一般的な抗炎症剤は、すでに病気の治療を受けた女性の健康上の結果にどのように影響するのでしょうか。

 

研究者たちは、アスピリンの使用が、乳がんの診断後のさまざまな人々の結果のこのような大きな不一致に関係している理由の発見に         取り組んできました。

しかし、診断前にアスピリンを使用することと、乳癌治療後の結果との関係については状況がそれほど明確ではないため、ワン博士らは、その答えを持っているであろう人間のDNAについて詳しく調べることにしました。

より具体的には、科学者らは乳がんの診断前にアスピリンを使用すると、乳がんのメカニズムとがん治療の結果に関連する13個の遺伝子の  “DNAメチル化”と相互作用するかどうかを確認しました。

DNAメチル化は、外部要因に依存する化学反応によってDNA分子のスイッチがオン/オフになるプロセスです。

これにより遺伝子活性が変化し、がんを含むさまざまな健康上の問題を引き起こす可能性があります。

 

この研究で研究者が注目した13個の遺伝子は、APC、BRCA1、CDH1、CYCLIND2、DAPK1、ESR1、GSTP1、HIN、CDKN2A、PR、RAR-ベータ、RASSF1A、およびTWIST1です。

ワン博士と彼女のチームは、ロングアイランド乳がん研究に登録した乳がんの女性1,266人のデータを分析しました。

 

研究者らは、乳がんの診断を受ける前に、アスピリンを少なくとも週に1回6週間服用し、乳がん腫瘍を促進する遺伝子であるBRCA1のメチル化を示していた女性では、治療後の全死因死亡率が67%増加したことを発見しました。

同時に、非メチル化BRCA1およびPR遺伝子を有し、診断前の期間にアスピリンを服用していた女性では、がん関連死亡率が22〜40%減少していました。

研究者によると、これらの調査結果は、特定の遺伝子のメチル化状態と、アスピリンの使用が乳がんの診断後での、多かれ少なかれ好ましい結果に関連する可能性があるかどうか、ということに『確かな関連』があるということを示しています。

 

それでも、ワン博士と彼女のチームは、乳がんのリスクが高いことを知っている人は、アスピリンの服用を急に開始したり、医師に相談せずに現在の薬から変更しないように警告しています。

研究者らはアスピリンの使用と癌の転帰との関連性に関する現在の研究に関して、複雑な関係とその根底にあるメカニズムを真に理解できるようになるまでには、まだ長い道のりがあると指摘しています。

 

【以下のリンクより引用】

Aspirin: Friend or foe after breast cancer?

Medical News Today