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JapanRx / 高血圧治療は一部の患者の認知症予防に役立つ可能性がある

高血圧治療は一部の患者の認知症予防に役立つ可能性がある

研究者は、50歳以上の人の血管の健康状態を改善すると、脳に良い影響を与える可能性があることを発見しました。
新しい研究によると、高血圧の集中治療を受けた患者は、
標準的治療を受けた患者と比較して、軽度の認知および記憶障害(高齢期に認知症に進行しやすい)を発症する確率が低くなるといいます。

この研究はSprintと呼ばれる広範な心血管研究の一部であり、2010年に開始され、米国全土102カ所に住む9,000人以上の高血圧患者を対象にしました。
高血圧があると心臓が血液を全身に送り出すことが困難になるため、危険です。
収縮期血圧が130~180の間になると高血圧の診断が下され、未診断のままでいると、動脈硬化や脳卒中、心不全、その他健康障害を引き起こすことがあります。

Sprintの主な目的は、集中治療を受け血圧が120に低下した患者は、標準治療を受け血圧が140付近まで低下した患者よりも、状態が遥かに良いかどうかを確認することでした。
これらの被験者は、同時に認知機能の検査も受けました。

研究後3年間に、血圧が120以下に低下した被験者は、標準治療を受けた被験者と比較して、軽度の認知障害を発症する確率が19%低くなりました。
Journal of the American Medical Association (JAMA)に報告された内容によると、上記に加え、血圧治療によって脳卒中および死亡リスクが大幅に低下したといいます。

認知症とは、認知機能(思考、記憶、論理)および行動能力が、生活の質に影響するレベルにまで失われた状態を指します。
認知症を引き起こす最も重要な疾患の一つにアルツハイマー病があり、この疾患は600万人のアメリカ人が罹患しています。

アルツハイマー病を治癒する方法は存在しませんが、この疾患を発症する前にはまず軽度の認知機能低下が起こるため、この新たな調査結果では、血圧を適切な範囲に維持することで、認知症を予防する、もしくは少なくとも発症をお幅に遅らせることができる可能性が示唆されました。
この可能性は、研究者が今後の研究で血圧治療を受けた患者を対象に長期的な追跡調査を行うことで、実証できる可能性があります。

それまでの間、血圧が130を超える患者は、血圧をさらに下げるために急いで医師に相談する必要はありません。
年齢や副作用が調査結果に及ぼす影響について調査すべきことはまだたくさんあります。
しかし、この結果は非常に有望であるため、アルツハイマー協会は、追跡調査の支援には800,000ドル以上の価値があると発表しています。
2019年には、他の研究チームが、歯周病が徐々にアルツハイマー病を引き起こす可能性があるという説得力のある証拠を発見しています。

出典 2020年1月8日更新 ZME Science『Hypertension treatment may stave off dementia in some patients』(2020年1月15日に利用)
https://www.zmescience.com/medicine/hypertension-treatment-dementia-0423/