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食事の質はうつ病患者の重要な治療標的となり得る

Journal of Affective Disordersに掲載された研究データによると、うつ病の重症度は、食欲低下を報告した患者の食事の質と関連しているといいます。
食欲増加を報告したうつ病患者に、同様の傾向は見られませんでした。

オクラホマ州タルサにあるローリエット脳研究所のカイピング・バロウス博士と共同研究者らは、2012年8月から2017年5月にかけて、大うつ病性障害(MDD)を患う患者を募りました。
研究対象となった患者はうつ病の治療を受けておらず、自殺念慮や摂食障害、最近の薬物障害などの併存疾患を患っていませんでした。

研究では被験者を、食欲が増加したMDD患者(MDD-IN)、食欲が低下したMDD患者(MDD-DE)、うつ病のない健康的な対照群(HC)の3つ集団に分けました。
全ての被験者は24時間の)食事思い出し法調査に回答し、ハミルトンうつ病評価尺度を用いてうつと不安症状を評価されました。

被験者が研究に参加した際朝食が提供され、炎症関連のバイオマーカー分析のため、朝食を終えて3.5時間後の血漿サンプルが採取されました。
食事思い出し法調査結果から算出した健康食指数(HEI)と炎症能(DII)スコアでは、38の食品パラメーターが考慮されました。
その後、うつ症状の重症度、炎症バイオマーカーレベル、社会経済的地位およびHEIとDIIスコアが各集団間で比較されました。

健康的な対照群と比較すると、MDD-DE群はHEI総スコアが低くなりました。
MDD-IN群も、対照群と比較してHEI総スコアが低くなりました。
MDD-IN群と比較すると、MDD-DE群はタンパク質量、総脂質摂取量が少なくなりました。
HEIスコアの低下はMDD-DE群のうつ症状および不安スコア上昇と関連していたものの、MDD-IN群においては関連が見られませんでした。

食事性炎症に関しては、どちらのMDD群も、対照群と比べてDIIスコアが有意に上昇しました。
またこの患者群は、インターロイキン1受容体アンタゴニストおよびインターロイキン-6の値も上昇しました。
MDD-DE群において、DIIスコアの上昇は、より重度の不安症状と関連していました。
同様の傾向は、MDD-IN群においては明らかではありませんでした。
むしろ、DIIスコアの上昇は、不安尺度スコアの低下と関連していました。
うつ症状とDIIスコアの間には、どの患者群においても有意な関連が見られませんでした。

このデータは、MDD-DE患者における症状の重症度において、食事の質が重要な役割を果たしている可能性を示唆しています。
しかし、この研究は対照群の規模に限りがある横断研究であったため、調査結果の判断は慎重に行う必要があります。
研究者は、以下のように記述しています。
「これらの調査結果は、食欲の低下を報告した患者に大うつ病症状がある場合、食事の質が修正可能な治療標的となるという考えを裏付けています。」

出典 2020年1月14日更新 Psychiatry Advisor『Diet Quality Could Be a Key Treatment Target for Patients With Depression』(2020年1月20日に利用)
https://www.psychiatryadvisor.com/home/topics/mood-disorders/depressive-disorder/diet-quality-could-...