電話: (050) 5534-5772

平日09:30~18:30(日本時間)

JapanRx / 遺伝子解析で抗精神病薬のより良い投与量を理解する

遺伝子解析で抗精神病薬のより良い投与量を理解する

患者が抗精神病薬リスペリドンおよびアリピプラゾールで治療されている場合、最初の遺伝子解析でより良い結果が得られる可能性があります。

スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究者らがノルウェーのオスロにあるDiakonhjemmet病院と共同で実施した、この新しい研究は、
医療総合サイト「The Lancet Psychiatry」に掲載されており、そこでは、このふたつの薬剤がどのように特定の酵素が活性され、
区別の程度はどの程度であるのかが示されています。

酵素『CYP2D6』は、抗精神病薬リスペリドンやアリピプラゾールを含む、体内のさまざまな薬物を代謝します。
酵素の活性は、CYP2D6遺伝子の変動により人によって広く異なります。

オスロのDiakonhjemmet病院のエスペン・モーデン博士のグループと共同で、カロリンスカ研究所の研究者らは、
リスペリドンまたはアリピプラゾールの投与を受けた精神病または統合失調症の2,622人の患者における治療結果にCYP2D6遺伝子変異が
どのように影響するかを調べました。

研究結果は、『低CYP2D6酵素活性』を有する患者では高すぎる用量で薬物を投与し、一方、『高酵素活性』を有する患者では低すぎる用量で
薬物を投与したことが示されました。

結果として、彼らの多くが投与量を切り替えました。
カロリンスカ研究所のポスドクであり、主任研究者であるマリン・ジック博士は、
「CYP2D6酵素の活性が低すぎるまたは高すぎるという原則では、おそらく副作用と効能の欠如を原因として治療の大部分は失敗しました。」
と述べました。

カロリンスカ研究所の同じ学科の教授で、研究の最後の著者であるマグナス・インゲルマン - スンドベリ博士は次のように述べています。
「興味深いことに、私たちは患者の遺伝子変異型を知らずに、精神科医が患者の臨床転帰に基づいて主に用量を変更したことを見出しました。
そして、これは患者の特定のCYP2D6遺伝子型の予想される効果と相関しました。」

「しかし、用量の変更は副作用の回避や効果を上げるまでには不十分でした。私たちが日常の臨床治療中の用量変化を患者の特定の遺伝子型と
遡及的に比較することができたのは今回が初めてです。」
研究者らは、リスペリドンまたはアリピプラゾールによる治療を開始する前に、遺伝子型判定、すなわち患者が保有する特定の遺伝子変異体を
同定することにより、世界中で何百万人もの患者にとってはるかに効果的な治療がもたらされると考えています。

「精神医学における新たな勧告を裏付ける追加的な科学的証拠を生み出すために、他の精神活性薬でも試験を行うさらなる研究が
今後必要となってきます。」
とインゲルマン - スンドベリ博士は言います。

「精神科医も、この分野でより多くの教育を必要としています。」
1990年代初頭に、インゲルマン - スンドベリ博士の研究グループは、世界で初めて、なぜ何人かの人々、
いわゆる超高い薬物代謝活性を持つ人々がCYP2D6遺伝子のいくつかの変異体の存在により他の人よりも高い投与量が必要であるかを
説明しています。  

【以下のウェブサイトより引用】
https://medicalxpress.com/news/2019-04-genetic-analysis-dosage-antipsychotic-drugs.html