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若い頃に膝を怪我すると、変形性関節症リスクが高まる

研究者は、若い頃に膝を負傷すると、変形性関節症リスクが劇的に増加すると述べています。

スウェーデンにあるルンド大学のBarbara Snoeker氏らは、12月11日にBritish Journal of Sports Medicineのオンライン版で発表された記事の中で、25~34歳の時に膝を怪我した人は、11年以内に変形性関節症を発症する可能性が6倍高くなったと報告しています。

変形性関節症リスクは、怪我の種類によって異なりました。
「あらゆる種類の怪我の内、十字靭帯損傷、半月板裂傷、および関節内骨折によるリスク増加の推定値が最も高くなりました。」

以前の研究では、青年期および若年成人期の膝の損傷が、変形関節症の重要な危険因子であることが確認されています。
しかしこれらの研究の殆どは遡及分析を用いており、患者の記憶に依存した分析は特に信憑性が低い可能性があると、研究者らは述べています。

リスクの大きさに関して信憑性のある推定値を得るには、若者を対象とした研究の数が少なすぎます。
加えて、既存の研究は主に十字靭帯と半月板裂傷に焦点を合わせており、他の種類の膝怪我については十分な調査がされていません。

この問題を解決するため、Snoeker氏らは、スウェーデンのスコーネに住む130万人の健康相談情報を含む、スコーネ健康登録簿のデータを分析しました。
彼らは、25~34歳の時、1999年から2007年の期間に初めて膝損傷の診断を受けた人が5,500人いることを特定しました。
この研究では、既に変形性関節症を患っていた人は除外されています。

研究者はこの集団を、同時期に膝を怪我していなかったものの、無関係の健康相談を行っていたためにこのデータベースに含まれていた、同じ年齢層の143,788人と比較しました。

19年後、膝を怪我した人の11.3%が変形性関節症と診断されましたが、膝を怪我していなかった人の発症率は4%でした。

年齢や性別、居住地域、教育歴、収入、糖尿病、肥満、高血圧といった要因を調整した後、負傷から11年後、膝負傷のあった人の変形性関節症のハザード比(HR)は、膝負傷の無かった人と比較して5.7でした。

30歳未満の場合、調節後のHRは7.6でしたが、30歳以上の場合、11年後のHRは4.7でした。
研究者らは、これは若者では変形性関節症のベースラインリスクが低いことを反映していると説明しています。

11年後の調節済みHRは、膝負傷の種類によって異なりました。
調節済みHRは、十字靭帯損傷の場合8.2、半月板裂傷は7.6、脛骨/膝蓋骨上端の骨折は7.0、複数構造の損傷は6.5、脱臼は5.9、軟骨裂傷/その他の損傷は5.2、側副靭帯損傷は4.9、打撲傷は3.2でした。

平均して、十字靭帯損傷のある人は、膝の怪我無しに変形性関節症を発症した人よりも、16カ月早く変形性関節症を発症していました。
半月板の裂傷の場合、差は12か月で、骨折の場合、8か月でした。

研究者らは、病気の無い期間には大きな差が無いことに驚きました。
怪我の経験無しで変形性関節症を発症した人たちは、遺伝的素因や肥満など、他の何らかの危険因子を有していたに違いないと推測しています。

「分かっている限り、私たちの研究は、若年成人で構成された一般集団のコホートを用い、臨床的に明らかな変形性関節症の発症における幅広い膝損傷のリスクを推測した最初の研究です。」と、研究者は記述しています。

この研究は、、スウェーデン研究評議会、グレタとヨハン・コック財団、スウェーデンリウマチ協会、エステルランド財団、および英国の国民健康サービスにおける臨床研究の政府資金によって資金提供されました。
研究著者は、関連する金銭関係は無いことを開示しています。

出典 2019年12月24日更新 Medscape『Knee Injury in Youth Increases Osteoarthritis Risk』(2020年1月2日に利用)
https://www.medscape.com/viewarticle/923108