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米国での最初の症例から7か月経ち、Covid-19についてわかったこと

米国でCovid-19のパンデミックが宣言されてから約6か月になります。
研究者によって明らかになったことはたくさんありますが、それでもまだ理解できていないことは膨大に存在します。

前進するための鍵は、この国のどこでCovid-19が拡大し、次に取るべき行動について科学者らが述べている内容を理解することです。
私たちが学んだことのなかで、学校や大学に適用できることとは何でしょう?
各都市や地方は、他の地域での事例から何を学ぶことができるのでしょうか。
治療法の研究とワクチン候補に関して、現在私たちはどの地点にいるのでしょうか。

本記事では、ウイルスに影響を受ける人、ウイルスの抑制方法、治療法とワクチンの世界競争の現状について、今のところ明らかになっていることを記載しています。


<影響を受ける人>

ウイルスの人的被害は、多くの人が想像もできなかった方法で増加しています。
パンデミック発生時、誰が影響を受け、どのような要因によって感染しやすくなるかについては、ほとんど知られていませんでした。
これらの疑問に対する答えは、時間とともに変化してゆきました。

現状:
ジョンズホプキンス大学がまとめたデータによると、月曜日の時点で、米国では少なくとも18万3千人が死亡し、600万人以上が感染しています。

CDCの最良推定値によると、平均的な人はコロナウイルスで死亡する可能性は、1%未満です。

パンデミック開始後数か月のうちに、公衆衛生の専門家によって、重症化する可能性が高い人物についていくつかのことが明らかになりました。

・感染した場合、85歳以上の人は50代の人と比較して死亡率が20倍、40代の人と比べると60倍高くなる

・重症例や死亡症例には、基礎疾患が多大な影響を与える

・糖尿病患者は入院率が3倍高くなる

・肥満の人は標準体重の人と比較すると死亡リスクが3~4倍高くなる

・COVID-19が原因で入院しやすい人は、少数民族(黒人、ヒスパニック系、ネイティブアメリカン)である

・若者はこの感染症に免疫はない。現在米国では、新規感染症例の60%以上が50歳未満の人によるものである。症例の22.3%を18~29歳、17.1%を30~39歳、15.7%を40~49歳の人が占めている。

・米国小児学会によると、7月の小児症例は90%増加した。多くの州の保健省では、若者が過度の炎症を発症する症例が報告されている。これは、コロナウイルス感染への反応である可能性がある。この稀な合併症はMIS-Cもしくは小児発症性多系統炎症症候群と呼ばれている。

このことが重要である理由:
各団体のリーダーは、保護する必要のある人は誰なのか、どのように保護するのが最善であるのかを知る必要があります。
国立アレルギー感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ博士は、ウイルスの蔓延を防ぐために人々ができる5つのことを繰り返し繰り返してきました。
これは、外出時およびウイルスにさらされる可能性のある時はマスクを常に着用し続ける;物理的距離を保ち、バーには行かない、もしくは出来るならバーを閉鎖する;人混みや渋滞を避ける;手の清潔を保つことです。

未だ症例の発症を封じ込めることに苦労している州が見られます。
一部の州ではウイルスの流行が抑制されていますが、症例数が増加している州もあります。
要因の一部は、適切な対策が取られているかどうか、人々がガイダンスに従っているかどうかです。


<検査状況>

現状:
米国は最初COVID-19の検査について苦戦し、長い道のりを歩んできましたが、まだゴールが近いという訳ではありません。
一部の主要なボトルネックは解消されましたが、多くの公衆衛生担当者がこのウイルスに対処するために必要であると言う、簡単で迅速な検査方法はいまだ存在しません。

Covid-19を診断するには、主に2種類の検査が利用可能です。

  • PCR検査
PCR検査とも呼ばれるこの分子診断テストは、米国で最も一般的なコロナウイルス検査です。
この検査では、ウイルスの遺伝物質(活動性感染の兆候)を探します。
一部のPCR検査構成要素が不足したことは、パンデミック初期から全体のプロセスにおけるボトルネックとなっており、患者や医師、公衆衛生の専門家にいら立ちを与えています。

  • 抗原検査
抗原検査は、複雑な化学物質、ウイルス輸送培地、RNA抽出キットを必要としません。
専門のラボでの予約や、高度な訓練を受けた技術者、特定の機械は必ずしも必要ありません。
また、検査に数時間や数日かかることはなく、数分で結果が出ます。
また、費用も安価であることが多くなっています。
この方法では、ウイルスの完全な遺伝情報を調べるのではなく、一部のみ検査します。
つまり、PCR検査よりは信頼性が低いということです。


このことが重要である理由:
都市や郡、州での大規模なウイルス流行や、スーパースプレッダーの症例がいまだ発生し続けています。
公衆衛生担当官がウイルスの感染を隔離、追跡、抑止するには、迅速かつ効果的な検査が必要です。

公衆衛生の専門家によると、多くのアメリカ人にとって、コロナウイルスの検査を受けるには数日待機する必要があり、日数が長すぎて価値がなくなっていたといいます。
待機時間が長すぎると、感染力がピークに達している時に感染者の隔離し、ウイルスの蔓延を止めるための機会が損なわれます。
迅速な検査は、韓国がウイルスの拡大を迅速に止めるために用いた重要なツールの一つです。


<治療とワクチン>

現状:
コロナウイルスの治療法は徐々に進歩しています。
FDAによれば、3つの治療法が既に承認されており、8月31日の時点で、治療法開発のために実施中の試験が少なくとも270件、計画段階の試験が570件あるといいます。

・レムデシビル
抗ウイルス薬であるレムデシビルは、Covid-19の重症例で入院している患者を治療するために、FDAによって承認されています。
薬は静脈内投与する必要があります。

・デキサメタゾン
広く入手可能なステロイドであるデキサメタゾンは、入院中のCovid患者に役立つことがわかっています。
ある研究では、人工呼吸器や酸素吸入を必要とする入院患者の治療に役立つ可能性があることがわかりました。
10日間低用量を投与したことで、人工呼吸器または酸素吸入を使用する患者の死亡リスクを3分の1減らせることがわかっています。

・復期患者からの血清療法
FDAによる緊急使用許可が付与された、Covid-19の最新の治療法です。
この方法では、コロナウイルス感染から回復した患者から寄付された血液を使用します。
この治療法は期待されており、その他の致命的なコロナウイルス感染症の治療にも治療されてきました。
しかし多くの医療専門家は、効果を証明するにはさらなる研究が必要であると述べています。
一般公開されているデータの多くには、研究のゴールドスタンダードであるランダム化比較試験が含まれていません。
共有されているデータでは、血漿治療を受けた人は他の薬物治療も受けていたケースが多く、血漿の影響を確かめづらくなっていることが示されています。

・モノクローナル抗体
現在、Covid-19感染患者の治療法および予防法として使用できる可能性があるとして、いくつかの企業が研究を行っています。
モノクローナル抗体は、単一の標的に特異的に到達する免疫系タンパク質です。
コロナウイルスでは、ウイルスの単一構造を標的とします。
感染を遅らせる、もしくは予防できるという期待がもたれています。
ただし、治療費は高価で、製造が困難となる可能性があります。


世界保健機関によると、ワクチンに関しては、8月31日現在、ヒトを対象にした治験が世界中で33件実施中であるといいます。

米国政府のワクチン開発努力として立ち上げられたオペレーション・ワープ・スピードは、8種類のワクチンを支援しており、うち6種類が公表されています。
オペレーション・ワープ・スピードの目標は、2021年1月までに安全で効果的な、3億回分のワクチンを生産することです。


・モデルナ社
モデルナおよび国立アレルギー感染症研究所が開発したワクチンは、7月下旬に米国で第3相試験を開始しました。
mRNA-1273ワクチンの研究の初期の結果では、すべての年齢層で免疫応答とT細胞応答を引き起こすことが示されました。
これは、研究者が期待した通りの結果です。
投与量が多ければ多いほど、投与された人の免疫反応は高まりますが、副作用も悪化しました。
被験者の半数以上が疲労、悪寒、頭痛、筋肉痛、注射部位の痛みなどの副作用を訴えました。

・ファイザー社/バイオテック社
ファイザー社とバイオテック社が開発したワクチンも、7月下旬に米国で第3相試験を開始しています。
両社は、BNT162b2と呼ばれるワクチン候補を組み合わせた、第2/3相試験に移行しました。
第1/2相を組み合わせた試験で、このワクチンはT細胞と抗体両方の反応を引き起こしました。
これは、同社がより長い予防効果を発揮することを期待する、「双腕」効果です。
ファイザー社はニュースリリースで、第1/2相試験の予備データにより「全体的な忍容性プロファイルは良好」であることが示され、「深刻な副作用は起こらず、発熱や倦怠感、寒気といった比較的軽度から中等度の副作用が1~2日続いた」と述べています。

・アストラゼネカ社
アストラゼネカ社とオックスフォード大学が作成したワクチンは、月曜日に米国で第3相試験を開始しました。
以前にリリースされた初期の試験の結果では、このワクチンが28日以内に抗体応答を、14日以内にT細胞応答を引き起こしたことが示されました。
中和抗体(ウイルスを中和できるため一般にこう呼ばれる)は、ほとんどの被験者において1回の投与後に検出され、2回の投与後には、すべての被験者から検出されました。
ワクチンに関連する重大な副作用はありませんでした。
疲労と頭痛が最も一般的に報告された反応でした。

・さらなるワクチンの開発
ジョンソン&ジョンソン社のワクチンは、9月中旬に米国で第3相試験を開始する予定です。
ノババックス社のワクチンは、9月末までに米国で第3相試験を開始する予定であり、サノフィ社/グラクソ・スミスクライン社は、今年後半に第3相試験を開始する予定です。


このことが重要である理由:
ワクチンが承認されるまで、利用可能な治療法のほとんどは病院で感染者に使用されることに注意することが重要です。
この場合、重度の感染症を発症しているものの、最も深刻な重症例ではないと判断される、たくさんの人が除外されることになります。
理想的なシナリオとしては、医師はすべての状況で使用できる治療法を用意したいと考えています。
つまり、病院の患者のためだけでなく、自宅にいる人のための治療法も必要です。

インフルエンザシーズンと、検査で陽性となった人にタミフルのような治療選択しが与えられることを考えてみてください。
タミフルは自宅で服用することができ、症状を軽減し、通院の必要性を軽減するのに役立ちます。
そのような薬が出てくれば、アメリカ人が「通常の生活を再開する」ことについて、より前向きに考えられるようになるでしょう。

これらの治療は、ワクチンが開発されるまでの架け橋、または穴埋めです。
そして、ほとんどの公衆衛生専門家によると、ワクチン開発は2021年の春までかかる可能性が高いといいます。

ワクチンは何よりもまず安全である必要がありますが、それだけではなく、広範囲の集団のを保護できなければなりません。
だからこそ、高齢の患者や、少数派民族を対象とした試験を実施することが非常に重要です。
これらの集団を対象とした試験を実施することの重要性と、被験者採用の難しさの両方について、議論が続いています。
そして、これは懸念事項です。
ひとつ幸いなことに、モデルナ社のワクチンデータでは、すべての年齢層で免疫応答を示され、年齢による症状の違いもありませんでした。

出典 2020年8月28日更新 CNN Health『What we've learned about Covid-19 seven months after the first US case』 (2020年9月1日に利用)
https://edition.cnn.com/2020/08/31/health/covid-step-back-what-we-have-learned/index.html