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神経科学者による自閉症の症状転換

自閉症の原因はまだ不明ですが、そのほとんどが多様な遺伝的原因によるものだと言われています。
自閉症を持つ人々の約1%が脳の発達に重要であるSHANK3と呼ばれる遺伝子が欠如しています。

この遺伝子がなければ、社会的相互作用の反復的な行動と回避を含む典型的な自閉症の症状を発症するのです。
MIT(マサチューセツ工科大学)の研究者たちによるマウスでの研究では、今、その後の人生において、遺伝子を遡ることにより、脳が適切に自分自身を再配線し、彼らの行動症状のいつくかを転換することができることを示しています。
「これがさらに成人脳において、我々はある程度深い可塑性を有することを示唆しています。 欠陥のいくつかは、我々が将来的には自閉症患者の治療を開発することができるという希望を与え、実際に可逆的であることを示す、より多くの証拠があります。」
と、MITの脳と認知科学の教授であるグオピン フェン氏は述べています。


フェン氏は、MITの脳研究を主に行うマクガバン研究所のメンバーであり、精神医学研究を行うスタンレーセンターブロード研究所の一員ですが、彼は2月17日のNatureに記載された研究の筆頭著者です。  

*ブーストコミュニケーション法 *
SHANK3タンパク質は、神経細胞が互いに通信することを可能にする接続部でもあるシナプスの中に あります。
SHANK3は、骨格タンパク質として、入力信号に対する神経細胞の反応を調整するために必要な何百もの他のタンパク質を整理するのに役立ちます。
欠陥のあるSHANK3のまれなケースを学ぶことで科学者は、自閉症の神経生物学的メカニズムへの洞察を得ることができます。
欠落しているかあるいは欠陥のあるSHANK3が、マウスにおいて、強迫行動、社会的相互作用の回避、および不安感を含む自閉症に似た症状を作り出す可能性があるシナプスの混乱につながっていることを、フェン氏は以前、発見しました。
彼はまた、特に線条体と呼ばれる脳の一部においてこれらのマウスにおけるいくつかのシナプスは、樹状突起棘(シナプス信号の伝達を助ける神経細胞の表面)の大幅な削減密度を有することが示されています。 

フェン氏と研究員たちは、新しい研究では、そのSHANK3遺伝子は胚発生時にオフになり、マウスの食事にタモキシフェンを追加することで、オンに戻すことができるように、遺伝的にマウスを開発しました。

研究者たちは、若い成体マウス(生後2〜4カ月半)においてSHANK3をオンにすることで、それらがマウスの反復的な行動や社会的相互作用を回避する傾向を排除することができました。

細胞レベルでは、樹状突起棘の密度が飛躍的に成人の脳の構造可塑性を実証し、治療したマウスの線条体において増加していることがわかりました。
しかし、マウスの不安や、いくつかの運動協調症状が消えることはありませんでした。

フェン氏は、これらの行動は、おそらく不可逆的に初期の開発の間に形成された回路に依存しているということを疑っています。
研究者たちの研究では、以前の生活の中でSHANK3をオンにした場合に、出生わずか20日後に、マウスの不安および運動協調が向上したことを発見しました。
研究者は今、彼らが介入しようとするのに最適な時間を決定するのに役立つ、これらの回路の形成のための臨界期の定義に取り組んでいます。

「いくつかの回路は他よりもプスチックなのです。」
とフェン氏は述べています。

「私たちはどの回路の抑制がそれぞれの行動に関連しているのか、そして、正確な構造的レベルでの変更とはどのようなものなのかを理解できればすぐに、これら永続的な欠陥につながるもの、そして、それが起こってからどのように防いでいくのかを学ぶことができます。」

ニューヨーク大学大学院で神経科学医学のゴードンフィシェル教授は、研究には関与していませんが、研究者達の「エレガントな手法」を賞賛し、そして、こう述べています。
「それは自閉症の根底にある回路および細胞生理を理解する上での大きな進歩を表しています。」
「行動、回路、生理学、および遺伝学の組み合わせは、芸術の域です。」

「その上、SHANK3機能が成体マウスにおいて自閉症の症状を回復させることで、その遺伝子治療は、 最終的にこの疾患に対する有効な治療を証明することができることを示しています。」
 

*Early Intervention(早期介入治療)
SHANK3の変異を有する人の小集団で行った調査結果は、新たなゲノム編集技術は理論的にはあっても、後の人生で、欠陥のあるSHANK3遺伝子を修復し、これらの個人の症状を改善するために使用することができることを示唆しています。
しかし、これらの技術は、まだヒトにおける使用のための準備ができていません。

フェン氏は科学者たちがまた、より大きな集団に適用される、より一般的な手法開発することができるということを信じています。
例えば、研究者たちはいくつかの自閉症患者の特定の行動異常に特異的な欠陥のある回路を特定し、これらの回路の活動を調節する方法を見つけ出すことができれば、たとえ、問題が異なる遺伝的変異から生じたとしても、それはまた、同じ回路に欠陥を有することができる他の人々を助けることができます。
「そのため、これらの神経細胞において、将来的に神経細胞のどのサブタイプが欠損し、どのような遺伝子が発現するのかを識別することが重要なのです。私達は、脳全体に影響を与えることなくそれを使えるようにすることを目標としています。」
とフェン氏は述べています。

出典:http://medicalxpress.com/news/2016-02