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砂糖はたった12日で脳内の化学成分を改変する

ブタを用いた新しい研究では、砂糖の摂取が、中毒性の薬物と同じ様に、脳の報酬処理回路を改変することがわかりました。


新しいことを学んだり、楽しいことを経験するたび、脳の報酬系が活性化されます。
脳内にある天然の化学成分の働きにより、異なる脳領域が互いに通信し、私たちの知識や幸福を高める行動を学び、それを繰り返します。

報酬システムは、神経伝達物質ドーパミンに大きく依存しており、恋に落ちる、性的な喜びを感じる、友人との時間を楽しむなど、人間の典型的な体験に関与しています。

しかし、薬物などの特定の物質は、脳の報酬システムをハイジャックし、「人工的に」活性化します。
快楽を求める行動を絶えず繰り返すように脳に伝えることで、中毒が起こります。

ですが、砂糖はそのような物質なのでしょうか?
もしそうだとすると、これが甘い食べ物が欲しくなる原因なのでしょうか?

米国の科学者セロン・ランドルフは、1950年代に牛乳や卵、ジャガイモなど特定の食品の摂取依存を指す「食物中毒」いう用語を作り出しました。

それ以来、この概念を探求するための研究では複雑な結果が示されており、一部の専門家は食物中毒の話題は少し飛躍しすぎであると主張しています。

デンマークにあるオーフス大学臨床医学部の准教授であるマイケル・ウィンターダール氏と同僚研究者が行った新しい研究では、ブタの脳の報酬回路に対する糖摂取の影響を調べ、この調査結果は上記の問題に光を投げかけています。

研究者らは、調査結果をJournal Scientific Reportsにて発表しています。


<12日後の「大幅な変化」>

科学者らは、メスのゲッティンゲンミニブタ7頭における糖摂取の影響を分析しました。
分析では複雑なPETイメージング技術の他、オピオイド受容体作動薬およびドーパミン受容体拮抗薬を用いて、動物の脳の報酬系を調査しました。

チームは連続した12日間、ミニブタがショ糖溶液に毎日1時間アクセスできるようにし、最後の糖投与から24時間後に再度スキャンを実施しました。

ミニブタ5頭の下位群に対して、チームは初回の糖投与後に追加のPET検査を行いました。

「わずか12日間糖を投与しただけで、脳のドーパミンおよびオピオイド系に大きな変化が見られました。」と、ウィンターダール氏は報告しています。

「事実、脳にある化学物質の一部であり健康や幸福に関連するオピオイド系が、最初の投与後に既に活性化されていました。」と、研究の筆頭著者は述べています。

具体的には、糖投与後「線条体、側坐核、視床、扁桃体、帯状皮質、および前頭前野」に変化がありました。


<砂糖に中毒性がある理由>

研究者の結論によると、この調査結果では「ショ糖が多く含まれる食物は、中毒性薬物を摂取した際に見られるのと同じように、脳の報酬回路に影響する」ことが示されているといいます。

筆頭研究者は、調査結果は彼の当初の予測とは反していたと述べています。
「砂糖にいくつかの生理学的効果があることは間違いありません。そして、これが健康に悪影響を及ぼす理由はたくさん存在します。」

「しかし、砂糖が脳や行動に及ぼす影響については疑問がありました。そして、砂糖にまつわる作り話を無くすことが出来れば良いと考えていました。」と彼は続け、砂糖摂取に習慣性の側面があることを強調しました。

「ブタのケースで見られたように、砂糖が脳の報酬系をたった12日で改変できるとすれば、学習や社交などの自然な刺激剤が払いのけられ、砂糖および/もしくは他の“人工的刺激剤“に置き換えられることが想像できるでしょう。」

「私たちはドーパミンの快楽を求めているため、より良いもしくは強力な何かがあれば、それを選択するのです。」と、彼は説明しています。


<ブタモデルはヒトにも関連があるか?>

研究者は、脳内の砂糖の影響を調べるにあたり、ミニブタをモデルとして選択した理由についても説明しています。

彼らは、以前の研究ではマウスを用いたものの、このようなげっ歯類が砂糖を好んだとしても、彼らの恒常性維持機構(体重増加や代謝の調節に役立つ)は人間のものとは大きく異なると述べています。

「もちろんヒトを対象とした実験ができれば理想的ですが、ヒトはコントロールが難しく、ドーパミンレベルも様々な要因によって変わる可能性があります。」おt、ウィンターダール氏は説明しています。

「ドーパミンレベルは、食べるものや、携帯電話のゲームをプレイするかどうかの他、調査の真っ最中に新しい恋愛関係が始まったりすると、データに大きな変動が生じる可能性があります。」

「ブタはげっ歯類よりも複雑で、ヒト用脳スキャンを使用して深部の脳構造をイメージングするのに十分な大きさがあるため、代替動物として優れています。」

出典 2020年1月18日更新 Medical News Today『Sugar alters brain chemistry after only 12 days』(2020年2月4日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/327512.php