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犬のうっ血性心不全

ピモベンダンは、正の変力作用と血管拡張作用があるため、強心性血管拡張薬と呼ばれることの多い薬です。
この重要な心臓の薬はうっ血性心不全治療において主流となっており、ACVIM consensus statement(イヌおよびネコの全身性高血圧の識別、評価および管理に関するガイドライン)では、12時間毎に体重1kgあたり0.25~0.3mgの用量が急性および慢性疾患の管理に適していると考えられています。

ピモベンダンは、心筋収縮を改善し、全身の血管抵抗を減らすことにより、心拍出量を高めます。
また、心拍数を下げることがあります。
この薬は心臓弁膜症や拡張型心筋症による軽度、中等度、および重度のうっ血性心不全が適応とされており、治療の重要な要素となっています。
ピモベンダンは1日2回投与することで、1~3時間以内に急速な効果が表れ、8~12時間続きます。
ピモベンダンは、肺高血圧に伴う心拍出量低下の治療(ジゴキシンと併せて使用される)および心細動の治療に効果がありますが、これらの症状への使用は適用外です。

急性の場合、ピモベンダンの他に酸素補給、ニトロプルシドナトリウム、利尿薬、およびその他の緊急治療を用いて容体を安定させ、臨床徴候を緩和し、血行動態を改善します。
慢性治療目標としては血行動態の調整(心拍出量の改善、静脈および動脈の血圧正常化など)や疾患の進行遅延、臨床兆候の管理、生活の質の改善、延命があるため、犬のうっ血性心不全の長期治療には、ピモベンダンとACE阻害薬、フロセミド(単独もしくはその他利尿薬と併用して)を組み合わせて使用します。

研究では、ピモベンダンがうっ血性心不全を患う犬の寿命を改善、延長することが示されています。
無作為の多施設盲検研究では、うっ血性心不全を患うピモベンダンを投与された犬は、ピモベンダンを投与されなかった犬よりも遥かに長く生きました。(中央値267日に対し140日)

2017年に行われたうっ血性心不全を患う犬を対象とした多施設研究においても、ピモベンダンを摂取した犬は寿命が延び、肺水腫の再発が減少することが実証されました。
この後向き調査では、1群の犬は標準用量のピモベンダン(12時間毎に1kgあたり0.2~0.48mgを経口投与)を摂取し、2群の犬は低用量のピモベンダン(12時間毎に1kgあたり0.05~0.19mg)を摂取、3群の犬はピモベンダンを摂取しませんでした。
全ての犬は、利尿薬やACE阻害薬といった従来の薬を摂取していました。

この調査では、ピモベンダンを含まない従来の薬のみを投与された犬と比較して、通常用量もしくは低用量のピモベンダンを投与された犬の寿命は大幅に延び、肺水腫の再発率が低下したことがわかりました。
こうした臨床症状や寿命への良い作用は、うっ血性心不全を患う犬に対するピモベンダン治療の重要性を強調しています。

出典: 2019年10月16日更新 American Veterinarian『Tool Kit Essentials for Canine Congestive Heart Failure』一部抜粋(2019年11月18日に利用)
https://www.americanveterinarian.com/journals/amvet/2018/october2018/tool-kit-essentials-for-canine-...