熱波なら扇風機も害をもたらすものになる

2019年8月6日（HealthDay News）- 次の熱波が来たら、涼をとり、健康でいるために扇風機を使いますか？

よく考えてみてください。扇風機で涼しくなるかもしれませんが、実際には熱中症になり死んでしまうリスクを高める可能性があります。

最近のコクランレビューによると、屋外の気温が華氏95℃（摂氏35℃）を超えると、扇風機が潜在的に危険な体温の上昇に寄与する可能性があります。

「扇風機は、実際に私たちの体温よりも熱い空気を吹き込みます。」

と、北アイルランドにあるクイーンズ大学ベルファストの、北アイルランド臨床試験ユニットを指導し、共著者であるマイク・クラーク氏は述べています。

研究者は、電気オーブンについている対流ファンをオンにして調理プロセスを高速化するようなものだと言います。

一方、別の新しい研究では、扇風機は非常に暑く乾燥した環境では特に危険ですが、高温多湿の天候では中核温度と心臓の緊張を下げるのに役立つことがわかっています。

その研究は、『Annals of Internal Medicine』誌の8月5日号に掲載されています。

扇風機は、熱波が発生中の数日間の高温な状態を人々が対処するのを助ける安価な方法と思われているとコクランレビューで研究者は述べています。

地球温暖化により熱波がより頻繁に発生し、健康へ深刻な影響をもたらす可能性があることを意味します。

2003年8月に起きたヨーロッパの熱波では30,000人が死亡し、2010年のモスクワの熱波は11,000人近くの死者を出しました。

コクランレビューのチームは、電動ファンが1世紀以上も前から存在しているにもかかわらず、電動ファンの有効性に関する多くの研究がないことを見出しています。

扇風機と扇風機を直接比較するレビュー基準を満たしている実験を行う研究は全くと言っていいほどありませんでした。

しかし、彼らは熱波時に採用された冷却方法の有効性を調べたいくつかの研究を見つけました。

これらの研究にはさまざまな結果があり、その中には扇風機が熱波の時に、死亡するリスクを高める可能性があることを示唆するものもありました。

クラーク氏は、扇風機が冷たい空気を循環させることで私たちを冷やすことはないと述べました。扇風機を通過する空気は、周囲の環境と同じ温度なのです。

代わりに、汗の蒸発を速めることで私たちを冷やしてくれます。

それはまた、扇風機により私たちの体内の水分がより早く失われることを意味します。

アメリカ・ニューヨーク州フォレストヒルズにあるノースウェルヘルスロングアイランドジューイッシュフォレストヒルズ病院（Northwell Health's Long Island Jewish Forest Hills）の救急医学部長であるテレサ・アマト博士は次のように述べています。

「汗をかいてから、水分をすぐに補充しないと、理論上、脱水を起こす危険性が高くなります。そして、熱中症や熱に関連する病気のリスクが高くなる可能性があります。」

周囲の空気が人体よりも高温である場合、扇風機から吹き出される空気が実際に人の体温を上昇させる可能性があると研究者は説明しました。

この研究のために、オーストラリアの研究者は、2種類の熱波を模倣した条件の実験室に、ボランティア参加者を2時間滞在させました。

1つの条件は非常に高温で乾燥しており、それは、2018年7月のカリフォルニア熱波のピーク条件と同じ熱指数は華氏約115℃（摂氏約46℃）でした。

もう1つの条件は1995年7月のシカゴの熱波に似た、華氏133℃（摂氏56℃）の熱指数を持つ高温多湿の条件でした。

この実験は、扇風機が湿度の高い環境下ではボランティア被験者の体温と心臓の緊張を下げることを示しましたが、暑くなくとも非常に乾燥した環境では有害でした。

「結論を言えば、熱波の時に、最も安全なのはエアコンが効いた涼しい部屋にいることです。」と、アマト博士は言いました。

「自分の家でそれが不可能な場合は、コミュニティ全体で使用できる「涼しい場所」を探す必要があります。熱波が来るという警告が出たら、多くの地元の保健部門では、図書館や学校などのより安全な場所を特定しそこを使用します。」

家にいて涼をとるために扇風機に頼っている人は、吐き気、筋肉のけいれん、頭痛などの熱に関連した病気の兆候に注意を払うべきだと博士は述べました。

「扇風機に頼り、エアコンを使用していない可能性がある高齢者の隣人がいれば、注意してください。」

とアマト博士は付け加えました。

「彼らには、はるかに高いリスクがあり、重篤な状態になるまで熱中症の徴候を示さない可能性があります。」

【以下のウェブサイトより引用】

HealthDay