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流産や子宮外妊娠はPTSDやうつ病を引き起こすことがある

早期流産または子宮外妊娠を経験した女性の6人に1人が、9か月後に心的外傷ストレス障害の症状を発症しています。
PTSDの症状は数カ月続くことがあるため、女性が必要に応じて心理的サポートにアクセスできる状況にいることが重要だと、研究者は述べています。

女性は生涯の内、出産よりも流産を多く経験すると推定されています。
しかし、心理的な影響は「隠されている」と、ジェシカ・ファレン氏は言います。
彼女は、ロンドンにあるセントメアリーズ病院の産婦人科医です。

女性は、12週目の妊娠検査を終えるまで、友人や家族、同僚に妊娠を打ち明けられないことが良くあります。
検査で流産が明らかになった場合、周りの人に言いにくくなることがあり、支援を得られないことがあるとファレン氏は言います。

彼女と同僚研究者は、妊娠12週目までの流産、もしくは子宮外妊娠(胎芽が子宮外に付着し流産を引き起こす)を経験した女性737人に対し、メンタルヘルスアンケートに回答するよう依頼しました。
このアンケートは、不安やうつ、心的外傷後ストレス障害の診断用に作成されていました。
アンケートは流産を経験した1か月後に女性の元へ送られ、その後流産の3カ月および9カ月時点で再び送付されました。

流産の9か月後、女性の18%がPTSD診断条件に当てはまり、女性の17%が不安を報告し、女性の6%に中等度から重度のうつ症状がありました。

ファレン氏は、この数字は「恐ろしく高い」と述べています。
「これまでこの問題を適切に認識したり、治療しようとしてこなかったのは私たちの責任です。」

これは、昨年早期流産を経験したサマンサの体験談です。
「最初は、死別のように感じました。」と、彼女は語ります。
「(私の夫と私は)両者ともに赤ちゃんと非常に強い関係を構築できていると感じていましたし、それは今も変わりません。もう子供は持てないのではないかという喪失感、虚しさ、恐怖を感じました。(しかしある意味どうにか妊娠できた事実に安心してはいました。)私達二人には、未だに心が痛む瞬間があります。」

サマンサは、病院のスタッフがカウンセリングについて言及した時のことを思い出してこう言いました。
「しかし当時、私が流産の真っ最中にあったため、流産に対処するには早すぎると感じました。」と彼女は話します。
彼女は、夫が「何かしらの支援を受けたり、病院で診察を受ける対象にさえならなかった」と言います。
地元の病院がどれだけ忙しかったとしても、サマンサは医師の診察予約を取ろうとは考えませんでした。

英国の慈善団体である流産協会の局長を務めるルース・ベンダー・アティック氏も、同様の話を聞いたことがあると言います。
「私達の元へ連絡してくる人々は、必ず流産後に経験した困難な出来事や、感情的な苦労について話します。」と、彼女は言います。
「心理的支援が本当に必要な人が、支援にアクセルすることが非常に難しいのが現状です。」

現時点で、イギリスの国民健康サービスでは、妊娠中絶を経験した全ての人に対する定期的な心理サポートやカウンセリングが提供されていないと、ファレン氏は話します。
ベンダー・アティック氏によると、流産を経験した人が支援を見つけることは可能だといいます。
一般的なサポートについては、流産教会のような組織が役立つと、彼女は話します。
心理的サポートが必要な人は、かかりつけの医師を通じて支援を受けられるはずです。

流産後の不安や不眠症、自信喪失を経験したサマンサは現在、開業医によるカウンセリングを受けています。
「人に話すことが助けになります。」と彼女は話します。

出典 2020年1月15日更新 New Scientist『Miscarriage and ectopic pregnancy may trigger PTSD and depression』2020年1月16日に利用)
https://www.newscientist.com/article/2230073-miscarriage-and-ectopic-pregnancy-may-trigger-ptsd-and-...