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感謝することが健康に良い理由

医者として、重い病気や怪我によって人生が一変することになった、たくさんの患者や患者の家族を見てきました。

こうした悲劇の中、嘆くことしかできなくなってしまうこともあります。

しかし、サンクスギビングデーにには、最も健康的で、人生を肯定する効果があり、楽しい気持ちになる贈り物を授かることができます。
自分は恵まれていると感じ、恩恵に感謝する習慣です。


<感謝の効果>
研究では、感謝の気持ちを忘れない人は健康で幸福であることが示されています。
彼らは、ストレスが低く、うつ症状が少なく、困難を上手く対処することができ、睡眠の質も良いことが示されました。
こうした人々は、幸福度が高く、人生の満足度も大きい傾向にあります。
彼らの両親もまた、人間関係の満足度が高いことがわかりました。

人生で楽しいと感じるポジティブな物事に注目するれば、寿命も延び、お互いをより大事にあつかうことが出来るようになるのかもしれません。

研究者は、被験者に先週の事を思い出してもらい、いらいらした事、もしくは感謝を感じたことを書き出してもらいました。
良い出来事を思い出した人はより楽観的で、人生の満足度が高く、実際に医者にかかる頻度も低くなりました。

人に感謝されると嬉しい気持ちになるのは言うまでもありません。
ですが、感謝することも同じなのです。
被験者に感謝の手紙を書き、送ってもらう実験を行ったところ、報告される幸福レベルが大幅に上昇したことがわかりました。
この効果は、その月ずっと続きました。


<哲学的ルーツ>
西洋の歴史の中で最も偉大な人物の一人であるギリシャの哲学者アリストテレスは、習慣的に行うことが現実になると主張しています。
習慣を変えることで、より感謝できる人間になれるのです。

上手く行かなかった事や、将来の展望が悪いことに思いを巡らせながら日々を過ごせば、惨めで腹立たしい気持ちになるでしょう。

しかし、感謝を向けられる全ての事を見つけ、認識し、祝福できるような人に意識的になることもできるのです。

だからといって、皆がヴォルテールによる「カンディード」のマントラを絶え間なく唱えるポリアンナになる必要がある訳ではありません。
正されるべき不正も、治癒すべき傷もあり、これらを無視することは道徳的責任を負わないことになります。

しかし、世界をより良くするために、既にあるたくさんの良い物事から目を背ける必要は絶対にありません。
不足している物に目を向けていたら、思いやりのある寛大な人間にはなれません。
これが、偉大なローマの政治家であるキケロが、感謝は最大の美徳であるだけでなく、全ての美徳の「親」であると言った理由です。


<宗教的なルーツ>
感謝はあらゆる宗教的伝統と深く結びついています。
ユダヤ教では、朝のお祈りの最初の一言は「私は感謝する」と訳すことができます。
「豊かであるのは誰か」という問いに対しては、次の様な言葉があります。
「今あるものに喜びを感じられる人だ」

キリスト教の観点から見ても、感謝は不可欠です。
キリストが弟子と最後の食事をとった時、彼は感謝の意を示しています。
感謝はキリスト教徒の人生の一部と言えるほどに重要であり、著者および批評家であるG.K. チェスタートンは、これを「最も位の高い思考」と呼んでいます。

感謝は、イスラム教においても重要な役割を果たしています。
コーラン55章には、人間が感謝すべき全ての事が並べられています。
太陽、月、雲、雨、大気、草原、動物、植物、川、海などです。
そして、「神に感謝する以外に聡明なことがあるか?」という問いが投げかけられます。

他にも、伝統的に感謝を重要視するものは存在します。
ヒンドゥ教の祭典では、恩恵を祝福し、感謝します。
仏教では、感謝は忍耐力を向上させ、私達をむしばみ続ける悲しみから守る働きをします。


<苦しみのルーツ>
1994年に出版された「A Whole New Life」の中で、デューク大学で英語教授を務める著者のレイノルズ・プライスは、体の一部の麻痺を引き起こした脊髄腫瘍に苦しむ中で、生きることの本当の意味を大いに知ることになったと述べています。

手術の後、プライス氏は「驚く程の幸せ」を感じたと書いています。
腫瘍や治療によって多くの時間が失われたものの、周囲の世界や人々にもっと目を向けることを学んだと言います。

自身の執筆内容の変化について、プライスは、彼の現在の著書は、若い頃に書いた内容とはあらゆる面で違っているの述べています。
字体でさえも、彼は「診断を受けた時期に書いたものとは全く異なっている」と言います。

「風変りですが、字が大きく、読みやすく、幅が大きくとられています。感謝を感じている男性によって書かれているのです。」

死にかけたことで、目が覚めたのです。
一部の人は、貴重な毎日により深い感謝を覚え、本当の優先事項が明確になり、気を新たに人生を謳歌できるようになったといいます。

出典: 2019年11月28更新 CNN Health『Why being thankful is so good for your health』(2019年12月6日に利用)
https://edition.cnn.com/2019/11/28/health/thanksgiving-gratitude-conversation-wellness/index.html