電話: (050) 5534-5772

平日09:30~18:30(日本時間)

JapanRx / 人生の意味を見つければ、年を取っても健康を維持できる

人生の意味を見つければ、年を取っても健康を維持できる

新しい研究では、意味の感覚と、加齢に伴う身体的および精神的な健康状態との関連が見つかりました。

年を重ねるほどに、人生が変化します。
例えば、友人や親戚が亡くなったり、キャリアが衰え始める可能性があります。

Journal of Clinical Psychiatryに掲載された新しい研究論文によると、この入り口を超えると、人生で意味をみつけることの必要性が再認識されるといいます。

カリフォルニア大学サンディエゴ医学部の研究者が実施したこの研究では、意味感覚と、身体的、精神的、および認知機能の向上の間に関連が見つかりました。

「人生の意味を持つ人は、無い人よりも、幸福度や健康度が高くなります。」と、研究著者のディリップ・V・ジェスト氏は言います。


<新しい優先順位>
意味の探求は、人生のあらゆる時期において心に浮かぶかもしれませんが、新しい研究では、私たちの人生が家族や友人、キャリアで満たされている時、この探求心は背後に消えていく傾向があることが示唆されています。

「20代の頃など若い時は、キャリアや人生のパートナー、自分自身が何者であるのかが確立していません。人生の意味を探しているのです。」と、ジェスト氏は言います。

しかし、「30代、40代、そして50代に入ると、人間関係がより確立し、結婚したり家族を持ったり、キャリアが落ち着いてくるかもしれません。探求心は減り、人生の意味が増すのです。」

ジェスト氏は、以下のように続けています。
「60歳以降、物事は変わり始めます。仕事を退職し、アイデンティティを失い始めるかもしれません。健康上の問題が出始め、友人や家族の一部が亡くなるかもしれません。ここで、元々持っていた意味が変化したことにより、人生の意味を再び探し始めるのです。」

年を取るにつれ、残りの時間何をすべきか、何を感じるべきかを知ることが急務になるようです。

多くの人にとって、意味を見つけることは、人生のハッピーエンドを迎えるための前提条件となります。
研究では、人生の意味が無いと、体が衰え困難が増すことにストレスを感じ、体の健康にも悪影響を及ぼすことが示唆されています。


<研究に参加したのは誰?>
研究者は、2013年1月から2014年6月にかけて行われたSuccessful Aging Evaluationに参加した1,042人の成人から、相関関係を導き出しました。

被験者は、カリフォルニア州サンディエゴ郡に住む、21歳から100歳以上の成人でした。

研究者は、3つの調査をおこないました。

  • 各被験者の現状の人生の意味との関係性を「Search(探求)」もしくは「Presence(存在)」に分類する「A Meaning in Life Questionnaire(人生の意味に関するアンケート)」を実施。チームは被験者に、「人生の目的や使命を探している」もしくは「満足のいく人生の目的を見つけた」など、それぞれの言葉を使って分類を決めるよう求めました。
  • 各被験者は、自分の体調や精神状態を自己報告しました。
  • 各被験者は、認知状態を分析する手段として、電話インタビューに参加しました。


<研究が見つけたもの>
意味の探求と獲得に関しては、60歳時点で「存在」に分類した人が最も多く、「探求」に分類した人が最も少なくなりました。

この結果は、多くの人にとって、60歳になると既に意味を見つけており、探求し続ける必要性がなくなっていることを示唆しています。

研究者は統計モデルを用い、加齢に伴い健康状態が悪化したものの、「存在」に分類した人には改善が見られたことを見出しました。
事実、加齢に伴う健康状態の改善具合は、60歳を超えてより強力になりました。

精神的な健康状態は、「存在」に分類した人では加齢と共に改善し、「探求」に分類した人では悪化しました。
「探求」に分類した人では、認知機能も年齢に伴って悪化しました。

この研究では、人生の意味を見つけることは、高齢期に充実した人生を送ることにつながると結論付けられました。
理由の一つとして、身体的および精神的な健康状態の保護に役立つこと挙げられます。

研究の筆頭著者アワイス・アフタブ氏は、次のように説明しています。
「医療分野では、人生の意味には臨床的な関連があり、潜在的に修正可能な要素であることが認識され始めています。」

ジェスト氏は、以下のように話します。
「私たちは、人生におけるもっとも深い疑問に対する、証拠に基づいた答えを見つけようとしています。この分野を研究する身としては今、エキサイティングな時期です。」

彼の今後の研究では、知恵や孤独、思いやりなど、その他の個人的な属性と、それがどのように意味の探求に影響するかに焦点を当てる予定です。

「ストレスや老化のバイオマーカーが、人生の意味の探求や発見に関連しているかどうかも調査したいと考えています。」

出典 2019年12月22日更新 Medical News Today『Finding life's meaning can keep us healthy as we age』(2019年12月24日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/327345.php#1