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乗り物酔いvsサイバー酔い: これらは同じ症状か?

これまでの研究とは対照的に、重度の乗り物酔いとサイバー酔い(バーチャルリアリティへ晒されることで起こる酔いの一種)は、研究者によると、同じ臨床状態と考えられる可能性があると言います。
応用生理学ジャーナル(Journal of Applied Physiology)で発表された調査結果では、まず同一の被験者における両方の症状についての研究が行われました。

乗り物酔いは、一般的に「感覚の不一致」によって生じます。
これは、空間内で身体の向きや位置を定義する感覚チャンネルの間に矛盾がある場合など、見るもの、感じるもの、感知するものが一致しない場合に起こります。
この断絶は目と、内耳の働きや全体のバランス、物理的な空間における身体の向きを制御する前庭系との間で起こります。
また、乗り物酔いは視覚のみによるものではないので、研究では、目の見えない人も「古典的な」乗り物酔いを経験し得ることを示しています。
一方サイバー酔いには前庭系が関連しておらず、視覚的な刺激のみで引き起こされるため、乗り物酔いの亜型であると考えられてきました。
しかしこれら二つの症状には、吐き気や発汗、めまい、疲労感といった多くの共通症状が見られます。

オーストラリアにあるニューキャッスル大学の研究者らは、30名の若年成人ボランティア被験者の運動酔いとサイバー酔い対する生理学的反応を研究しました。
2つの異なる試験は、それぞれ最低1週間は間隔を置いて実施されました。
内1つの試験は、前庭刺激を与えられるものであり、被験者は目隠しをされた後電動回転椅子に乗り、一定間隔で頭を傾けるよう指示されました。
もう1つの試験は視覚刺激を与えられるものであり、被験者はバーチャルリアリティーのジェットコースターに”乗る”体験をしました。
これらの試験は、どちらも最大15分の長さで設定され、また被験者は、不快な症状に耐えられる限り継続するように指示されました。
両試験の間、研究者は、被験者の額上に貼られたセンサーを介して被験者の発汗速度を測定しました。
被験者は研究前後に、試験後の不快指数を評価する質問を含めたアンケートに答えました。

全試験参加者の内、どちらの試験とも15分間完遂できたのは1名のみであり、これはグループの大多数が重度の乗り物酔いおよびサイバー酔いを経験したことを示しています。
試験後のアンケートでは、吐き気やめまい、暑さによる発汗症状が最も多く報告されました。
自己報告の不快指数と客観的な生理学的尺度において、乗り物酔いとサイバー酔いの間に差はありませんでした。
これについて、研究者は以下のように述べています。
「これは、それが純粋な視覚のみで引き起こされたか、前庭刺激により引き起こされたかは別として、重度の乗り物酔いの臨床像
(症状の範囲や深刻度で分析された)は酷似していることを示しています。この結論は、以前に発表された研究結果と矛盾するものです。」

研究チームは、これらの結果は、公衆安全に影響を及ぼし得る実用的な意義を持つ可能性があると指摘し、以下のように述べています。
「乗り物酔いが除外基準である、もしくは職業上の危険となる職業(公共交通機関の運転手、クレーン操縦者など)の事前選択試験に、
単純で比較的安価なバーチャルリアリティーテクノロジーを利用できるかもしれません。」

Sience Daily, Sience News (Source: American Physiological Society) 2018年10月22日
https://www.sciencedaily.com/releases/2018/10/181023085654.htm