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主要な抗不安薬の不足について知っておくべきこと

ここ数年で、複数の薬物の不足がありました。

メンタルヘルス専門家が患者に適した治療法を検討する際、利用できる薬は多数存在します。
しかし時には、症状改善効果が証明された薬が必要なときに手に入らないこともあります。

現状不安障害の治療薬として最も一般的に処方される薬の一つであるブスピロン(過去にバスパーとして販売)が不足しています。

本記事執筆時点では、薬の製造業者は不足の理由として需要の増加を挙げおり、解決策が見えていない状況です。
これはまた、大手製薬会社が安全プロトコルに従わないことで起こっています。


- ブスピロンとは何ですか?
専門家らは、ブスピロンは、ザナックス(アルプラゾラム)やクロノピン(クロナゼパム)のようなベンゾジアゼピンと比較して副作用のリスクが低いため、定番の不安治療薬であると言います。
一般的にベンゾジアゼピン系薬物は高揚感をもたらす作用により誤用されることがあり、中毒症状や重度の離脱症状が出ることがあります。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、不安治療に使用されるもう1つの分類の薬で、
高揚感をもたらす作用はないものの、勃起不全を含む性機能障害を引き起こす可能性があります。

オクラホマシティの臨床心理療法士であるケボン・オウェン医師は、ブスピロンはベンゾジアゼピンではないため、推奨できるお気に入りの精神薬であると話します。これは、習慣性がなく、高揚感を求める人を惹きつけないということです。

「しかし、もし不安を解消するための何かを必要とする場合、ブスピロンを正しく服用すれば、効果は出るでしょう。」と彼は言います。
「中毒性は無く、ひどい離脱症状もありません。」

精神医学と睡眠医学の二重認定を受け、メンローパーク精神医&睡眠医(Menlo Park Psychiatry & Sleep Medicine)の創立者であるアレックス・ディミトリウ医師は、めまいや鎮静作用などの有害な副作用は限られており、「ブスピロンはすばらしい薬」であると述べています。

しかし、薬の不足により、現在抗不安薬を服用している人は、次に処方箋を受ける際に薬が無い可能性が高まっているため、より大きな不安を感じている可能性があります。

不足理由の一つとして、ある大手メーカーが生産工場の1つを閉鎖しなければならなかったことが挙げられます。
他の理由としては、他の国と比較してアメリカの不安障害患者が多いことがあります。


- 不足と高まる需要
世界保健機関(WHO)は、世界人口の4パーセント以下、すなわち約2億6,400万人が不安障害を抱えていると推定しています。

アメリカ大陸地域では、世界平均の2倍近くになります。

アメリカだけでも、不安障害の発生率は世界平均の約5倍です。

アメリカ国立衛生研究所の2000年代初頭のデータでは、過去1年間で全成人の約20%が不安障害を患っていたとされています。

それ以来、少なくともアメリカでは、自然災害や銃乱射事件などの不安を煽る大規模な事件が数多く発生しています。
こうした事件は、家賃や住宅ローンの支払いといった日々の心配事に加えて人々を不安にさせます。

TrueCostofHealthcare.comで米国の医療システムを追跡し、カリフォルニア州アラメダで内科医を営むデイビッド・ベルク医師は、
複数の製薬会社から販売されるジェネリック薬の有効成分を製造する業者は、1~2社のみであることは珍しくなく、ブスピロンもその一例であると話します。

「各有効成分は通常、全ての製薬会社への数週間分の供給に値する量が一度に製造されるため、
製造時のミスや汚染など何らかの問題が発生すると、しばらくの間不足がおこります。」とベルク医師は説明しています。

例えば、ハリケーン・マリアはプエルトリコだけでなく、主要な食塩水供給業者をも壊滅させ、主に救急医療で使用される液体の不足を引き起こしました。

ブスピロンのケースも、上記からハリケーンを除けば同じことです。

ニューヨークタイムズによると、国内に供給する薬の3分の1を製造するウェストバージニア州にあるマイラン製薬の工場は、
施設が汚れており、同社が品質管理施策に従わなかったため、閉鎖することとなったと言います。

米国食品医薬品局(FDA)のウェブサイトに掲載されているマイラン製薬からの情報によると、
ブスピロン7.5mgの100錠入りと500錠入りのボトルが今月中に販売を再開するようです。

しかし、医薬品販売有無の大部分は「未定」として記載されています。
またFDAのウェブサイトでは、不足の理由は「その他」または需要の増加として記載されています。

薬の不足自体や、こうした状況に対して患者がどのように反応するかについて心配する専門家もいます。

ディミトリウ医師は、「希少性の錯覚」が患者にパニックや不必要な不安感をもたらす可能性について危惧していると話します。

「精神病薬を突然開始したり中止したりするのは良くないことであり、現状の薬不足による明らかな弊害です。」と彼は言います。

ディミトリウ医師は、現在ブスピロンを服用中の人は、薬の服用量が徐々に減るように手元にある薬の分配を始め、
かかりつけの医師へスムーズに用量の変化を行うための代替法について相談することを推奨しています。

しかし専門家は、抗不安薬の需要増加には利点があると言います。
それは、人々がメンタルヘルスを意識し、治療を求めていることを意味するのです。

ディミトリウ医師が患者に良く言うように、人の心は高性能車のようなものであり、速いペースで進む現代社会では、必然的に微調整が必要となるのです。

彼は次のように話しています。
「精神医学の脱差別化は、より多くの人々が必要なサポートを得る助けとなりました。」

出典:2019年2月7日更新『There’s a Shortage of a Major Anxiety Med: Here’s What to Know』healthline(2019年4月2日に利用)
https://www.healthline.com/health-news/anxiety-medication-shortage-what-to-do