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マンモグラフイーで心不全リスクがわかる?

マンモグラフイーは、低出力の放射線で「スキャン」を行うことで、乳房組織のがんの徴候となり得る不規則性や異常を検出します。
これは、初期段階の乳がん診断において第一の選択肢になっています。

2016年、米国の予防医学特別委員会は50歳~74歳(女性の乳がんリスクが上昇する年齢層)の女性に対し、2年ごとに乳がん検査を受けるよう推奨を行いました。

マンモグラフィーは、がん性の可能性がある腫瘍だけでなく、乳病の動脈内にカルシウムが蓄積する乳房動脈石灰化形成も検出できることがわかっています。

これは少なくとも、サンディエゴにあるカリフォルニア大学のQuan Minh Bui博士と彼の研究チームが率いた最近の研究結果で示せ荒れています。
Bui博士とチームはこの調査結果を、先月フィラデルフィアで開催された今年度米国心臓協会の科学セッションで発表しました。


<一石二鳥?>
乳房動脈石灰化は多くの場合特に女性において、冠動脈カルシウムと関連しています。
冠動脈カルシウムとは、酸素が含まれた血液を心臓に運ぶ動脈内に蓄積する危険なカルシウム堆積物です。

冠動脈カルシウム自体は心血管疾患の強力な予測因子であり、
医師はリスクがあるとされる人に対し、CT検査を用いて蓄積の検査を行います。

Bui博士とチームは、乳房動脈石灰化の検出により、心血管疾患リスクのある女性の特定に役立つと主張しています。
疾患には心臓発作や脳卒中、心不全が含まれ、発症すると心臓が血液を効率的に送り出せなります。

特に研究者は、特定の年齢を超えた女性はどちらにせよ定期的に受けることとなるマンモグラフィーによって、医師ががんだけでなく、心疾患リスクも特定しやすくなると主張しています。
彼らは、マンモグラフィーは乳房の動脈に蓄積したカルシウムの存在を見つけ出すことで、こうしたリスクを特定することができると説明しています。

Quan Minh Bui博士は次のように述べています。
「マンモグラフィーは女性の2大死亡原因である乳がんと心疾患の流れを変える可能性があります。」

「私たちは、“百聞は一見にしかず”という言葉は一部その通りであり、乳房動脈にある石灰化を見ることで、患者が治療に参加しやすくなると考えています。」と、Bui博士は付け加えています。


<エビデンスの調査>
この研究で、研究者は平均約61歳の女性患者278人の医療記録データを分析しました。
記録は、2006年から2016年までのものでした。

全ての参加者がマンモグラフィーと冠動脈CT検査を同じ年に受けました。

研究者は、90人もの参加者(32%)に乳房動脈石灰化がみられ、19人(7%)に心不全がありました。
年齢や糖尿病、高血圧、心不全の危険因子といった交絡因子を調節した後、研究者は、乳房動脈石灰化のある女性患者は、カルシウム蓄積の無い女性と比べて、心不全がある、もしくは発症する確立が2.2倍高いことを発見しました。

女性の心不全は医師にとって診断や治療が困難となります。
これは、男性とは原因がわずかに異なり、また異なった方法で発症するためです。

一般的に女性は男性よりも心不全の発症が遅く、より多くの臨床症状が出る傾向にあります。
男性と比べると、心不全の女性は心筋の強張りが強いものの、血液循環機能は正常に維持されます。

「だから、まずはリスクのある個人を特定し、適切なライフスタイルの変更を行い、薬理戦略に従うことで、心不全の発症を防ぐことが大切なのです。」と、Erin Michos博士は説明します。
彼女は、ボルチモアにあるジョンズ・ホプキンズ大学医学部女性の心血管健康科のディレクターを務めています。

マンモグラフィーは、心不全リスクマーカーの存在を明らかにできるかもしれません。
これにより医師が早期に問題に着手できるようになる可能性があります。
しかし、Michos医師は、この場合医師がとるべき行動については未だ明らかになっていないことを指摘しています。

現状、Bui博士とチームは動脈のカルシウム蓄積に関連する心血管疾患の診断を受けた女性患者のマンモグラフィー結果をさらに分析することで、研究を進めています。

その間、研究者は医療従事者に対し、マンモグラフィーで動脈のカルシウム蓄積が報告された女性に対し、心臓の健康リスクに関するより多くの情報を含め始めることを推奨しています。

Bui博士は、次のように述べています。
「CT検査などのその他の診断研究でも、付随的な石灰化は報告されており、私たちは(乳房動脈石灰化も)例外ではないと考えます。報告には(乳房動脈石灰化と)心血管疾患との関連は無いと細字で記すことを提案します。」

出典: 2019年12月5更新 Medical News Today『Can mammograms show who is at risk of heart failure?』(2019年12月8日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/327216.php#2