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ピロリ菌と胃癌の関係

胃癌患者の胃の中に潜んでいるピロリ菌を除去することで、胃癌再発を防ぐことができると研究報告は示唆しています。

多くの胃潰瘍の原因であることが証明されているピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃癌とも関係しています。

胃癌の手術を受けた患者550人を対象とした研究では、ピロリ菌を除去するために抗生物質を投与することで、胃癌再発リスクが三分の二に抑えられました。
現在、ピロリ菌を根絶することによって、癌が抑えられるかどうかを検証するため、英国人56,000人を対象とする試験調査が実施されています。
ピロリ菌は、十二指腸潰瘍患者の90%、胃潰瘍患者の80%の胃の中に潜んでいます。

2005年のノーベル賞を受賞した二人のオーストラリア人研究者によって、ピロリ菌と胃潰瘍の関係が発見されたことはよく知られており、うち一人は自分の理論を証明するため、
ピロリ菌に意図的に感染しました。
また、世界保健機関(WHO)はピロリ菌を胃癌の主な原因として、分類しています。

予防
胃癌手術を受けた患者の癌の再発を防止する方法として、ピロリ菌を除去する試験研究を試しましたが、その結果は矛盾するものとなっています。
しかし日本で行われた最新の研究で、この方法がとても有用であることが判明しました。

早期胃癌の患者は、癌細胞とその周囲の組織を除去する手術を受けました。
その患者らのうち半分には、ピロリ菌を除去する治療薬剤-ランソプラゾール(胃からの酸の産生を抑制するプロトンポンプ阻害薬の一つ)、アモキシシリン (細菌感染症の治療に用いられる、近年開発されたβ-ラクタム系抗生物質の一つ)、及びクラリスロマイシン(ヘリコバクター・ピロリの除菌療法に使用)-を投与します。また残りの半分にはダミー錠剤(偽薬)を投与します。そして6、12、24、36カ月後、癌が異なる部位に再発しているか否かを検証しました。

3年後、癌が発症した患者数は、ピロリ菌除去群では9人、対象群では24人でした。
全体では、ピロリ菌除去という治療法によって、胃癌が再発リスクは65%抑えられました。

研究主任である北海道大学大学院医学研究科の加藤元嗣博士は、「我々の研究データは、ピロリ菌感染と胃癌との因果関係を示すことを信じて、これまでの研究データに付加し、また胃癌防止の目的のピロリ菌除去という治療法を支持します」と述べました。

アメリカ▪フロリダ州のジャクソンビルにあるメイヨー・クリニックのニコラス・タリー博士は、『ランセット』(週刊で刊行される査読制の医学雑誌)の同じ号に寄稿し、「胃癌予防で、リスクの高い部位にあるピロリ菌を除去することは優先事項の一つになるはず。」と述べました。

英国癌研究所の科学情報のマネージャーであるヘンリー・スコウクロフト氏は、「この研究結果は、ピロリ菌と胃癌との関係について、我々の理解が更に深く、また ピロリ菌に感染した患者さん達の治療法に関する議論にも寄与します。」と語りました。

「ピロリ菌除去治療法によって胃癌防止できるか否かを見きわめる研究は、慈善団体の基金によって助成されています。この治療法が英国全体で56,000人に採用されることを目指し、その中でピロリ菌感染の兆候を持つ人を治療の対象として、この治療が有効であるかどうかを確認するために、今後15年から20年にわたって調査が実施されます。」と付言しました。


(記事元)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/7535531.stm