電話: (050) 5534-5772

平日09:30~18:30(日本時間)

JapanRx / トラウマ的な経験は子どもに留まり、PTSDにつながる

トラウマ的な経験は子どもに留まり、PTSDにつながる

新しい研究では、子供や10代の若者が自身のトラウマ的な出来事に対する反応が異常であると考えた場合、PTSD発症リスクが高まることが示されています。

ほとんどの子供は、自動車事故などのトラウマ的な経験から完全に回復します。
しかし、イギリスにあるイースト・アングリア大学の研究者によると、子供によっては数カ月や数年、あるいは成人期まで続くPTSDを発症する場合もあると言います。

研究チームのリーダーであり、メディカルスクールの教授を務めるリチャード・メイサー・ステッドマン氏は、次のように述べています。
「PTSDの症状は、子供や10代の若者のトラウマに対する一般的な反応です。これらの症状には、侵入性記憶や悪夢、フラッシュバックなどがあり、子供を悩ませます。
医療専門家は、トラウマ的出来事が起こった直後にこうした症状がでることは障害ではなく完全に通常の反応であるため、最初の1か月以内は診断を避けます。」

ステッドマン氏は、以下のように説明しています。
「トラウマ的な出来事の後、数日から数週間の間深刻な心的外傷後ストレス障害を発症する子供がいる一方、そうでない子供もいて、
また重要なことに治療無しで回復する子供もいれば、根強い問題として症状が残る子供もいるのは何故なのかを解明したいと考えました。」

研究は、自動車事故や暴行、犬による攻撃などのトラウマ的出来事を経験した後病院の救命センターで治療を受けた、8~17歳の200人以上の子供を対象としました。

被験者の子供は、出来事の発生後2~4週間後と2カ月後にインタビューとPTSD分析を受けました。

ステッドマン氏は、次のように述べました。
「PTSDの症状は、トラウマ後2〜4週間の時点ではかなり一般的に見られることがわかりました。これらの初期反応は、トラウマ的出来事の最中の強い恐怖や混乱によって引き起こされます。」

研究者らは、ほとんどの被験者は何の介入もなしに自然回復したことを確認しました。

ステッドマン氏は大学のニュースリリースで、次のように話しました。
「興味深いことに、身体損傷の重症度や、その他の生活ストレス要因、頼ることができた社会的支援の量、自己非難の度合はとPTSDは関連していませんでした。」

「回復がうまくいっておらず、トラウマ的出来事の2か月後に慢性的なPTSDの兆候が見られた若者たちは、自身のトラウマや反応について否定的に考えているケースがはるかに多い結果となりました。」
と、彼は説明しています。

ステッドマン氏は、以下のように付け加えています。
「彼らはこうした症状を、自身に深刻で永続的な問題がある兆候であると認識していました。また他人をあまり信用せず、自分では対処できない問題であると考えていました。」

「多くの場合、トラウマ的な出来事について考え抜いたり、友人や家族に話すなどのトラウマに対処するための意図的な試みは、実際にはPTSDの悪化と関連していました。」と彼は話します。

また彼は以下のような意見を述べています。
「トラウマを理解するための努力のいくつかには意味があるかもしれませんが、それはまた子どもたちをその事実から「動けなく」させ、起こった出来事や理由について長期的に集中しすぎる可能性があります。」

研究の著者らは、良好な回復がみられた子供たちは、自身の反応に過度に煩わされておらず、あまり注意を払っていないように見えたと結論付けました。

この研究は3月25日、児童心理学と児童精神医学ジャーナル(Journal of Child Psychology and Psychiatry)に掲載されました。

出典:2019年3月28日更新『Traumatic Event Can Stick for Kids, Lead to PTSD』Web MD(2019年4月5日に利用)
https://www.webmd.com/depression/news/20190328/traumatic-event-can-stick-for-kids-lead-to-ptsd#1