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スタチン療法の内容

コレステロールを低下するスタチン薬は、数十年にわたって心血管疾患管理の最前線で使用されてきました。
これは、スタチンには心臓発作や脳卒中リスクを低下させる効果があることが、たくさんの研究で証明されていることが理由です。

今ではこの薬は非常に広く使用されており、まだ処方を受けていない場合でも、将来的に処方される可能性があります。

予防心臓専門医のルーク・ラフィン医師は、スタチンにはLDL(または「悪玉」)コレステロールを下げることで、アテローム動脈硬化性心血管疾患(動脈の「硬化」や「閉塞」として知られる、動脈の内壁におけるコレステロールや脂肪細胞、炎症性沈着物の蓄積)のリスクを低下させると言います。

「さらに、スタチンは炎症を軽減します。炎症は、アテローム性動脈硬化症と心血管疾患を引き起こす要因であることがわかっています。」とラフィン医師は言います。

このようにたくさんの効果があるにも関わらず、スタチンには(その他薬と同様に)、知っておくべき重要な副作用がいくつか存在します。
ですので、この重要な薬物のリスクと利点を医師と確認し、スタチン療法の必要性tについて話し合って下さい。


<スタチンの利点とは?>
スタチンは、肝臓でコレステロールが産生される原因となる酵素の作用を阻害します。
その過程で、スタチンはLDLおよび総コレステロール値を大幅に減少させる他、HDL(「善玉」)コレステロールやトリグリセリド、炎症に良い影響をもたらします。
また、高強度のスタチン療法が動脈を閉塞させる動脈硬化性プラークの成長を遅らせ、症状を改善できる可能性があることを示す証拠がいくつか存在します。
スタチンはまた、血管を破裂しにくくし、心臓発作や脳卒中を起こしにくくします。

「LDLを下げる程、脳卒中や心臓発作などの有害な心臓イベントリスクが低下することを示すデータが存在します。」と、ラフィン医師は説明しています。

スタチンは全て同じ薬物クラスに分類されますが、効力やLDLコレステロールの低下作用は薬によってことなります。

医師は米国心臓学会/アメリカ心臓協会のリスク計算機のようなツールを使用したり、その他要素を考慮することで、アテローム性動脈硬化性心血管疾患の長期リスクを測定してスタチン療法の必要性を判断し、必要な場合は適切な薬の種類を決定します。


【スタチンの種類】
高強度:平均して50%以上LDLを低下させる

・アトルバスタチン(リピトール)40~80mg
・ロスバスタチン(クレストール)20~40mg

中強度:平均して30~49%LDLを低下させる

・アトルバスタチン10~20mg
・ロスバスタチン5~10mg
・シンバスタチン(ゾコール)20~40mg
・プラバスタチン(プラバコール)40~80mg
・ロバスタチン(アルトプレブ/メバコール)40mg
・ピタバスタチン(リバロ)1~4mg

低強度:平均して30%未満のLDLを低下させる
・シンバスタチン10mg
・プラバスタチン10~20mg
・ロバスタチン20mg
・フルバスタチン20~40mg

(2018年11月10日ACC/AHA血中コレステロール管理ガイドラインより)


スタチンは通常1日1回服用し、ジェネリック薬も売られています。
「アトルバスタチンとロスバスタチンは、現状心臓病やスタチンにおける主力製品であることを知っておくことが重要です。」と、ラッフィン医師は付け加えています。
「多くの薬局では、通常高強度スタチンのいずれかを取り扱っています。安価で、容易に入手することができます。私の経験では、保険会社の99%が少なくとも1種類、75%以上が2種類とも保険対象としています。」


<スタチンの使用が適しているか?>
米国心臓病学会およびアメリカ心臓協会のガイドラインは、以下に当てはまる場合スタチン療法を推奨していまうs。

・アテローム性動脈硬化性心血管疾患患者の二次予防として

・遺伝的条件により、LDLコレステロール値が190ミリグラム毎デシリットル(mg/dL)以上である

・40〜75歳の糖尿病患者で、LDL値が70 mg/dLを超え、アテローム性動脈硬化性心血管疾患を患っていない

・40~75歳の糖尿病を患っていない成人で、今後10年間でアテローム性動脈硬化性心血管疾患を発症する確率が20%を超えている(高リスク患者)

・40~75歳の糖尿病を患っていない成人で、LDL値が70~89 mg/dLであり、今後10年間のアテローム性動脈硬化症リスクが7.5~20%(中程度のリスク)(リスクの推定値や既存のリスクを高める要因が治療に有意に働く場合)


<スタチンの副作用とは?>
肝臓酵素の上昇:
頭痛や吐き気などのより一般的な副作用に加え、スタチンは時折肝臓酵素の増加を引き起こすことがあり、この酵素の増加は肝臓に炎症があることを示唆しています。
しかし、少なくともACC/AHAガイドラインでは、肝臓酵素検査は高リスク、もしくは肝毒性を示す可能性のある症状があるスタチン使用者にのみ推奨されています。
さらに、スタチンは血糖値をわずかに上昇させることがあり、一部の人にとっては、2型糖尿病の値まで上昇することがあります。
「しかし、ほとんどの人にとっては、わずかな血糖値の上昇よりもスタチン利用による利益が勝ることがわかっています。」


意識混濁:
一部の研究ではスタチンが認知機能に良い影響を与えることが確認されていますが、スタチン使用者の中には、頭がぼーっとしたり、忘れっぽくなる問題が起こると報告した人もいます。
このような症状は、薬の使用を止めれば無くなります。
しかし全体として、大規模な臨床試験では、スタチン使用に認知障害の増加が伴うことは示されていないと、ラフィン医師は言います。


筋肉痛:
スタチン療法に伴う最も注目すべき副作用の一つが、筋肉の痛みや硬直です。
これはスタチンの投与量や効果が増加するにつれてより深刻になり、一部の人は薬物不耐症を起こすことがあります。
特にアトルバスタチンやシンバスタチンなどの特定のスタチンは、ロスバスタチンやプラバスタチンなどの他のスタチンよりも、この副作用を引き起こしやすい薬です。


<副作用を最小限に抑えるには>
一部の治療可能な疾患(甲状腺機能不全や重度のビタミンD欠乏症など)があると、スタチン不耐性の一因となる場合があります。
グレープフルーツ(もしくはその果汁)を多量に摂取したり、特定の薬を服用する場合も同様です。
このような要因に対処することで、スタチンに関連した筋肉への影響を緩和したり、予防することができる可能性があります。
また、一部の人はコエンザイムQ10サプリメントを服用することで効果を感じることがありますが、ACC/AHAのガイドラインでは、このサプリメントの使用は推奨されていません。

スタチンの服用を止めず、筋肉の副作用が出た場合は医師に報告することが重要です。
医師により、強度の低いスタチンへの変更や、用量の調節が行われたり、代替薬が検討されることがあります。
これには、薬の服用を2日に1回にしたり、服用頻度を減らす方法も含まれます。
ある程度辛抱強く使用を続けていくことで、患者と医師が、適切なスタチン療法を見つけることができます。

「通常、週数回の服用となったとしても、少なくとも許容可能なスタチンの用量を見つけることは可能です。」と、ラフィン医師は言います。
「どの用量のスタチンであっても一切許容できなかった場合は、他の代替薬を使用することができます。」
これにはPCSK9阻害薬として知られる新薬のエゼチミブ(ゼティア)や、アリロクマブ(プラルエント)、エボロクマブ(レパーサ)があります。


<高齢者のスタチン使用について知っておくべきこと>
年齢は、アテローム性動脈硬化性心血管疾患の最も重要な危険因子です。
しかし、高齢者や、特に健康障害を患う人においては、スタチンのリスクと利益を慎重に検討する必要があります。

全体として、高齢者は若い人よりも、スタチンによる深刻な副作用を発症しやすくなります。
高齢者の多くは複数の薬を服用しているため、スタチンと薬物の相互作用が発生する可能性が高まります。
重要なのは、寿命を縮めるその他の疾患を患う高齢者は、スタチン療法による効果を得られない可能性があるということです。

したがって、75歳以上の場合、特に他の健康障害がある場合は、スタチン療法の長所と短所についてかかりつけの医師と話し合うよう、ラフィン医師はアドバイスしています。

「通常スタチンには、長期的な効果があります。この効果は、心血管のリスク減少効果についていえば、5~10年間持続します。」と、彼は説明しています。
「そのため、他の薬を服用するリスクと、この5~10年間の間に他の原因で死亡する可能性のバランスを考える必要があります。他の重大な併存疾患を患う人は、スタチンの使用停止について話し合うことは非常に合理的であると考えます。」

出典 2020年1月6日更新 healthessentials『What You Should Expect From Statin Therapy』(2020年1月8日に利用)
https://health.clevelandclinic.org/what-you-should-expect-from-statin-therapy/