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クローン病、大腸炎は認知症のリスクを高めるのか?

2020年6月23日(ヘルスデイ・ニュース)- 炎症性腸疾患のある人は認知症を発症しやすい可能性があると新しい研究が示唆しています。

炎症性腸疾患(IBD)は、潰瘍性大腸炎およびクローン病の包括的な呼称です。

どちらも消化管に慢性炎症を引き起こしますが、これは誤った免疫システムの攻撃によって引き起こされると考えられています。

19,000人以上の成人を対象とした新しい研究では、IBDの患者は16年間で認知症を発症する可能性がそうでない人と比べ2倍高いことがわかりました。

彼らはまた、平均で7年早く認知症と診断されました(IBDのない人での83歳に対して、76歳で発症)。

この調査結果はIBDが認知症に直接影響を与えるということを証明するものではないと研究者は強調しました。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校の主任研究員であるビング・チャン博士は、特定のライフスタイルの要因がこの関係を説明するのに役立つ可能性があると述べました。

彼は、将来の研究ではこれをさらに掘り下げるべきだと述べました。

例えば、IBDをより良く管理することが、より認知症リスクが低い事に結びついているかどうかを確認するということです。

チャン博士によると、より大きな問題となるのは、消化器系と中枢神経系の間の複雑なコミュニケーションを指す「腸脳軸」が役割をはたすのかどうかということです。

他の研究では、IBDの患者は別の脳に関連した疾患であるパー​​キンソン病のリスクが高い可能性があることがわかっています。

そして、腸内細菌によって排除された代謝副産物が脳機能に影響を与える可能性があるという実験からの証拠があります。

エメラン・メイヤー博士は、慢性的で断続的な腸の炎症自体が、IBDと認知症の関連の根底にある可能性もあると述べました。

彼は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部の教授で、書籍『マインドガットコネクション』の著者です。

「長年の慢性的な腸の炎症が脳の神経変性の変化の一因となっているという仮説は非常に興味深いと思います。」

とメイヤー博士は述べました。

一方、ライフスタイルの要因、特にダイエットは、IBD患者の認知症リスクの高さを説明する可能性があると付け加えました。

研究は食事や運動などのライフスタイルの要素に関する情報が不足していたため、チャン博士はこれに同意しました。

この6月23日に医療誌『Gut』で公開された調査結果は、45歳以上の台湾に住むIBD患者1,742人の医療記録に基づいています。

各患者は、IBDではないものの、年齢、性別、収入、認知症リスクに関連する他の健康状態(高血圧、糖尿病、脳卒中の病歴)など他の点で類似している10人と比較されました。

全体として、16年間の調査で認知症と診断されたのはIBD患者では5.5%、対照群では1.4%でした。

研究者が他の要因を比較検討した後でも、IBDはまだ認知症のリスクが2倍高いことに関連付けられていました。

チャン博士は、研究者がIBDと認知症を結びつける特定のメカニズムを発見できれば、いつか新しい治療法につながる可能性があると述べました。

現時点では、IBD患者に認知症のリスクを下げるための具体的なアドバイスを行うにはわからないことが多すぎます。

「この研究では、リスクの増加の根底にある生物製剤やその他の薬物の役割について特定することができませんでした。」

とメイヤー博士は述べました。

 「薬理療法に関する推奨を行うことできません。」

しかしながら、彼は人々が行うことができる一般的な方法について提案を行いました。

それは、定期的に運動し、慢性的なストレスの原因を解消し、健康的な食事を摂ることです。

「特に伝統的な地中海式ダイエットのように野菜中心の食事は、循環器系での炎症マーカーを減らすことが示されています。」

研究に参加しなかった別の専門家は、多くのIBD患者が微量栄養素とビタミン欠乏に苦しんでいると述べました。

「病気の炎症性と栄養素の吸収および(または)その保持においての腸の役割があるため、IBDの患者はB12および他のB複合体、ビタミンDを含む微量栄養素、ビタミンおよびミネラルの欠乏がしばし見られます。それだけでなく、タンパク質の欠乏も、脳の健康と認知症のリスクに役割を果たす可能性があります。」

とアレイン・チャラバティ博士は述べました。

彼女はワシントンD.C.にあるシブリー記念病院炎症性腸疾患(IBD)センターの所長です。

さらに、彼女は別の点を指摘しました。

「IBDのある患者は、多くの場合、症状を管理するために食事を制限したり、ある食品グループを他の食品グループよりも多く採用したりします。これもまた、栄養素の不足や不均衡につながり、脳の健康に影響を与える可能性があります。」

 

【以下のリンクより引用】

Could Crohn's, Colitis Raise Dementia Risk?

Healthday