電話: (050) 5534-5772

平日09:30~18:30(日本時間)

JapanRx / いつも鼻詰まりがある?その「風邪」は副鼻腔感染症かもしれない

いつも鼻詰まりがある?その「風邪」は副鼻腔感染症かもしれない

クアラルンプールに雨が降るとある日、非常に疲れてストレスを感じているように見える30代前半の女性が私のクリニックを訪れ、2週間も鼻詰まりが続いているため日常生活に支障をきたしていると訴えました。

彼女は同時に、額と頬部分にひどい頭痛があるため、仕事に集中するのが難しいと訴えました。

彼女は鼻や喉の奥に濃い粘液がたくさんあり、除去するのが難しいと感じており、頻繁に痰を吐き出す必要がありました。

こうした症状は横たわった際や夜眠る時、日中のお祈りの時間に前にかがむ際に、より明らかになりました。

彼女は複数の病院で医師の意見や治療法を聞いて回りましたが、症状が完全になくなることはありませんでした。

彼女は過去にもこのような感染を起こしたことがありましたが、ここまで症状が持続し、重症になったことは今までありませんでした。

私は、鼻詰まりは仕事の妨げとなるため、個人的には大嫌いです。

鼻が詰まっていると集中できず、口で呼吸するはめになるため、喉が乾燥し不快になります。

丁度10日程続いた風邪が治った所ですが、今までで一番最悪な症状でした。

鼻詰まりのせいで、夜良く眠ることができませんでした。
私の症状は、上述の女性が経験したものと似ていました。

両親と私はどちらも、マレー語ではresedungと呼ばれる急性副鼻腔炎を患っていました。


<炎症が原因となる>
私たちの症状は、副鼻腔(鼻や鼻腔を囲む)および鼻粘膜の炎症によって鼻甲介(鼻壁から鼻腔に突出する軟部組織)の腫れが起こり、粘液産生が増加するものでした。

上記が、急性副鼻腔炎で起こる鼻詰まりや鼻水の原因です。

この炎症によって鼻粘液が変化し、副鼻腔のうっ血、および副鼻腔の排液や換気効率の低下を引き起こします。

治療しないままでいると、副鼻腔の粘液停滞が細菌感染につながる可能性があります。
これは頭痛や顔の痛み、濃い黄色や緑色の粘液分泌、発熱を引き起こすことがあります。

副鼻腔炎とは副鼻腔内の炎症を指す一方、鼻炎とは鼻粘膜の炎症を指します。

「鼻副鼻腔炎」という用語は、副鼻腔炎と鼻炎の組み合わせを意味し、副鼻腔の炎症に鼻粘膜の炎症が伴わないケースは稀であるため、「鼻炎」よりもよく使われます。

急性鼻副鼻腔炎の持続期間は4週間未満であるものの、12週間を超えて症状が持続する場合は、慢性鼻副鼻腔炎に分類されます。

患者が1年に4回以上鼻副鼻腔炎を起こし、各発症間隔の期間には症状が持続しない場合は、急性鼻副鼻腔炎の再発となります。

診断の時点で患者の炎症が副鼻腔の外側および鼻腔まで拡大している(例:神経や目、その他軟部組織にまで影響が及んでいる)と、複雑な鼻副鼻腔炎であるとみなされます。

患者によく「私はかなり頻繁に風邪をひきますが、今回の風邪はいつもよりもはるかに重症であることに、何かしら特別な理由はありますか?」と尋ねられます。

鼻副鼻腔炎の重症度に関係し得る特定の症状は存在します。

これには、鼻副鼻腔炎の家族歴、特に鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎がある場合の喘息、アレルギー、慢性気管支炎、慢性鼻炎、急性鼻副鼻腔炎の既往歴、胃食道逆流、睡眠時無呼吸、アデノイド扁桃炎が挙げられます。

上記いずれかの症状がある人は、再発性鼻副鼻腔炎も発症しやすくなります。


<一般的な感染>
副鼻腔炎は、重大な健康障害を引き起こします。
生活の質や生産性に影響し、経済状況にも相当な影響を及ぼします。

成人の8人に1人が罹患し、年間1600万回近くの診察要因となっています。

アジアにおいて、韓国と中国、シンガポールで報告された感染率はそれぞれ7%、8%、2.7%でした。

急性および慢性腹鼻腔炎の直接的な管理費用は年間110億米ドルを超えており、これには生産性の低下や仕事効率の低下、生活の質の悪化は含まれていません。

成人に抗生物質が処方される症例の5件に1件が鼻炎によるものであり、これは抗生物質療法が発生する診断の中で5番目に多くなっています。

適切な診断と管理により、治療予後が改善し、疾患による経済的負荷が減ります。

一般的な疾患ではありますが、医師が鼻副鼻腔炎の診断や管理を行う際には困難を伴います。

通常画像診断や鼻内視鏡検査によって確認された症状症状に基づいた診断が行われますが、プライマリケア・クリニックでは放射線および内視鏡検査設備が不足しているため、アクセスが容易ではありません。

急性鼻副鼻腔炎の最も一般的な原因は風邪に伴うウイルス感染であり、自己限定的な性質があります。(通常自然に治ります。)

治療の主な目的は、薬を使用した支持療法で症状を改善することになります。
抗生物質は必要ありません。

しかし多くの場合、プライマリケア医師や一般医(GP)にとって、風邪に関連した急性ウイルス性鼻副鼻腔炎と、細菌感染によるインフルエンザ様の疾患を区別することは困難となります。

診断を下すには、徹底した病歴の確認を行い、臨床検査を行うことが重要です。
一般的な目安として、症状の持続期間が10日未満である場合はウイルス性である可能性があります。

急性鼻副鼻腔炎の症状や兆候として緑がかった、もしくは黄味がかった分泌物や鼻詰まり、および/もしくは顔の痛み/圧迫/腫れといった症状があり、少なくとも10日間改善することなく持続した場合、急性細菌性鼻副鼻腔炎の診断が下されます。

急性鼻副鼻腔炎が疑われる時、プライマリケアにて前鼻鏡検査法が使用されることがあります。

しかし、見ることができる鼻腔内の範囲が限られるため、鼻内視鏡検査と比較すると、慢性鼻副鼻腔炎においては効果が限られます。

鼻内視鏡を使用することで、医師が解剖的変異や粘膜の炎症、ポリープ、鼻汁などの鼻の問題を見つけやすくなります。

再発性鼻副鼻腔炎がある場合、医師はアレルギーや免疫機能の検査を実施したり、鼻ポリープの有無を確認することがあります。

急性鼻副鼻腔炎の診断条件を満たせば、レントゲンは必要ありません。

副鼻腔炎を評価するために行われる最も一般的な画像検査としては、CT検査(コンピューター化されたトモグラフィー)の他、もし合併症が疑われる場合は補助的にMRI検査が使われます。


<症状の治療>
ほとんどの患者はGP(一般診療)クリニックで治療を求め、大部分が完治します。
治療の目的は症状の重症度を軽減し、合併症を防ぐことです。

ウイルス性鼻副鼻腔炎の場合、通常発熱や疼痛などの症状に応じた薬が使用されます。
抗生物質は、細菌性鼻副鼻腔炎の診断が下された場合にのみ使用すべきです。

症状が悪化した、もしくは診断後初期治療を開始してから7日経っても改善しない場合、初期治療中に悪化した場合は、医師が患者の再診断を行い、急性細菌性鼻鼻腔炎であることを確認し、疾患にその他の原因がある可能性を排除し、合併症を見つけます。

その他の原因や合併症が確認された、もしくは可能性が疑われた場合は、鼻内視鏡検査や画像診断などの追加の検査を実施する必要があります。

目や脳に影響が及んだ場合や、適切な治療が行われたにも関わらず上手くいかなかった場合など、合併症が起きた場合、特定の状況においては手術が必要となる可能性があります。

手術の目的は炎症を軽減し、鼻腔内薬物の送達と有効性を改善することです。

出典 2020年1月8日更新 asia one『Blocked nose all the time? That 'cold' may be a sinus infection』(2020年1月13日に利用)
https://www.asiaone.com/lifestyle/blocked-nose-all-time-cold-may-be-sinus-infection