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JapanRx / 「原発事故に備えてヨウ化カリウム」計画の現状

「原発事故に備えてヨウ化カリウム」計画の現状

Randy Dotinga 2004年11月10日 米連邦議会が昨年作成した報告書には、原子力発電所の近くで暮らす40歳未満の人は、全員ヨウ化カリウム錠を常備しておくことが望ましいと書かれている。

米政府は3年前からヨウ化カリウム剤の配布を開始しているが、普及は進んでいない。  
3年前、米連邦政府は、放射能の非常に危険な作用から人体を守る効能を持つとされる薬の配布を開始した。しかし、原子力発電所の近くに暮らす住民を抱える14の州では、現時点で政府による薬の提供を受け入れていない。  
この薬はヨウ化カリウム錠といい、医師の処方箋なしで買える上、原発事故が発生した際の放射能の影響、特に子供に対するものを防ぐ最も安価で簡単な方法だと専門家は訴えるが、これについて州により見解はまったく違うようだ。

連邦議会が昨年まとめた報告書には、原子力発電所の近くで暮らす40歳未満の人は、全員ヨウ化カリウム錠を常備しておくことが望ましいとの記載もある。  
原子力の安全対策を訴える団体や医師の団体が普及に努めているにもかかわらず、ヨウ化カリウム錠の認知度はいまだにかなり低い。
「大方は、そのあたりに腰かけて頭でもかきながら、『だったらそっちが配ってくれればいいじゃないか?』と呑気につぶやく、それが現状だ」
と語るのは、米国で唯一ヨウ化カリウム錠を製造している米アンベックス社のアラン・モリス社長だ。  

また州の職員が、連邦政府から無料支給される薬の受け入れに反対しているケースもある。
その言い分はこうだ。ヨウ化カリウム錠はおそらく非常時に役に立たず、人々にこれさえ飲んでおけば安全なのだという錯覚を与えかねない。住民たちを迅速に避難させることで安全を確保できるし、人々がすすんで避難してくれることを望んでもいる。

「率直に言って、わが国の政治家諸氏には、われわれの方針の賢明さに気づいてもらいたいと願っている。」と語るのは、ジョージア州の環境放射線プログラムの責任者、ジム・ハードマン氏だ。
同氏は、州当局へ働きかけ、薬の受け取りを拒否させた。  
いっぽう、薬の事前配布を支持する人々は、ヨウ化カリウム錠の製造工程は複雑で長い時間を要すると指摘する。
大規模な事故が発生した場合、必要とされる量を生産できない恐れがあるというのだ。

最後に、ヨウ素が人体に取りこまれる仕組みについて説明しておく。
喉の下の方に位置する甲状腺(大きさは成人で数センチメートル)には、ヨウ素を取り込む機能がある。ヨウ素を使って、代謝や体温調節などの身体機能の制御を助けるホルモンを生成しているのだ。

記事元:
https://www.wired.com/2004/11/rants-raves-19-468/