脳がどのようにかゆみを感知するのか・・・ちょっと触れてみよう

脊髄の神経細胞の1セットは、皮膚から脳への軽い接触による信号の伝達に役立ちます。

軽いタッチというのはは、グラスを手に取ったり、楽器を演奏したりといった日常生活での行動で重要な役割を果たします。

感覚は身体の保護防御システムの重要な部分でもあり、私たちを転倒させたり怪我をさせたりする可能性のある環境の中で、そのような物体に注意を促します。

さらに、それは、虫が皮膚についたときにかゆみの感覚を引き出すことにより、マラリアやライム病を引き起こす虫さされから私たちを保護するために進化した検出システムの一部でもあります。

アメリカのソーク研究所の研究者は、脊髄の神経細胞がそのようなかゆみの信号を脳に伝えるのにどのように役立つかを発見しました。

 2019年7月16日にCell Reports誌で発表されたそれらの発見は、かゆみをより良く理解することに役立ち、湿疹、糖尿病、さらには一部の癌などの状態で起こる慢性のかゆみを治療するための新薬の開発につながる可能性があります。

「重要なことは、この機械的なかゆみの感覚は他の接触形態とは異なり、脊髄内にこの特殊な経路があるということです。」

と、ソーク研究所の教授である著者のマーティン・ゴールディング博士は言います。

ゴールディング博士と彼の研究グループは、以前、細胞ブレーキのように作用し、脊髄の機械的かゆみ経路をほとんどオフに保つ脊髄の一連の抑制性神経細胞を発見しました。

神経伝達物質であるニューロペプチドY(NPY)を生成するこれらの神経細胞がないと、機械的なかゆみ経路が常にオンになってしまい慢性のかゆみを引き起こします。

研究者が探りあてたのは、通常の状況ではNPYニューロンによって抑制されるかゆみ信号が、かゆみ感覚を記録するために脳に伝達される方法でした。

ゴールディング博士の研究室のポスドクである、デビッド・アクトン博士は、NPY抑制性神経細胞が失われると、通常、光の接触を伝達する脊髄のニューロンが「オン」の位置にある加速器のように作用し始めると仮定しました。

アクトン氏は、これらの「ライトタッチニューロン」という、NPYの受容体、いわゆるY1脊髄ニューロンを発現する脊髄の興奮性ニューロンの集団の候補を特定しました。

これらの神経細胞が実際にアクセルのように動作しているかどうかをテストするために、アクトン氏はNPYの「ブレーキ」神経細胞とY1の「アクセル」神経細胞の両方を選択的に取り除く実験を行いました。

Y1神経細胞がないと、通常は傷を付ける程度の軽い接触による刺激に反応しても、マウスは自発的に掻くことはありませんでした。

さらに、アクトン氏がY1ニューロンを活性化する薬物を動物に与えると、接触刺激がない場合でも、マウスは自発的に掻きはじめました。

ゴールディング博士のチームは、NPY神経伝達物質がY1ニューロンの興奮性のレベルを制御していることを示すことができました。

言い換えれば、NPY信号の伝達は、軽い接触に対する感度を制御する一種のサーモスタットとして機能します。

他の研究室のデータでは、乾癬患者の中にはNPYのレベルが平均より低い人がいることがわかっています。

これは、機械的なかゆみに対する彼らのブレーキの効果が他の人より低いことを意味し、それが彼らのかゆみの潜在的な原因となっているのかもしれません。

Y1神経細胞は脊髄でかゆみ信号を伝達する一方で、他の神経細胞は脳の最終応答の媒介に関与すると考えられていますが、研究者によると、完全な経路を描くためにはさらなる研究が必要です。

これを理解することは、過度の反応があり、慢性のかゆみに対処する方法につながる可能性のある人々のかゆみの感覚を低下させる薬物の標的を示唆するのに役立ちます。

「通常の状態で、機械的なかゆみを知らせるメカニズムを解明することにより、慢性のかゆみには何が起っているのかについて知ることができるのかもしれません。」

とアクトン氏は述べています。

 

【以下のウェブサイトより引用】

Scratching the surface of how your brain senses an itch

Science Daily