ラパマイシンは有毒なβ-サラセミアタンパク質の蓄積を減らす可能性

臓器移植の患者の保護に広く使用されている薬剤であるラパマイシンが、マウスのβ-サラセミアの症状を緩和しました。

そしてそれは、遺伝性疾患を持つヒトの治療に有望であると研究者は報告しています。

この研究は、セントジュードチルドレンズリサーチホスピタルの調査員が主導し、Science Translational Medicine誌に掲載されています。

研究者たちは、ラパマイシンが細胞内のタンパク質の品質管理経路(オートファジー経路)を活性化させることで機能することを示しました。

これにより、β-サラセミアのある人の赤血球を破壊する毒性タンパク質の蓄積が減少しました。

これを治療しないまま蓄積すると、赤血球の減少、貧血、疲労、脾臓の肥大、心臓と肝臓、骨の脆弱などの他の症状を引き起こします。

「毎年、世界中でβサラセミアを持って生まれる何千人もの人々を治療するための、より良い薬物が緊急に必要です。」

と、セント・ジュードの血液学科のミッチェル・ワイス博士は言います。彼と、セント・ジュードの病理学科および細胞分子生物学科の            モンディラ・クンドゥ博士がこの研究の著者です。

「ラパマイシンは約20年前に規制当局の承認を得ました。」

とワイス博士は言います。

 「この薬は安全に投与でき比較的安価です。そのため、この研究の結果からの次の目的は、β-サラセミア疾患の治療におけるラパマイシンの   安全性と有効性をテストする小規模な臨床試験を行うことです。」

オートファジーを調節する追加の薬剤を特定するための研究も進行中です。

 

β-サラセミアとは

β-サラセミアは、世界で最も一般的な血液疾患の1つです。

標準的な治療である輸血は一般的に利用できるわけではなく、治療の副作用である鉄過剰を防ぐための投薬が必要です。

β-サラセミアの多くの患者は長生きし、より良質な生活を送ることができますが、疾患に関連した罹患率と死亡率は依然として多いとされています。

βサラセミアは、HBB遺伝子の突然変異によって引き起こされますが、これは、赤血球が体全体に酸素を運ぶために使用するタンパク質ヘモグロビンの産生を妨害します。

ヘモグロビンには、2つのαグロビンと2つのβグロビンという4つの鎖状のタンパク質があります。

β-サラセミア患者は、β-グロビンが正常レベルよりも低くなり、場合によってはゼロになります。そして遊離したα-グロビンが蓄積し、赤血球の生産を妨害します。

 

遊離α-グロビンのを減らす

研究者は、ラパマイシンが酵素ULK1を不活性化するタンパク質であるmTORを阻害することを知っていました。

この研究で、科学者は、ULK1遺伝子を欠くβ-サラセミアのマウスが、ULK1遺伝子をもつマウスと比較して、α-グロビン蓄積が約2倍増加したことを報告しました。

「ラパマイシンによるmTORの阻害によりULK1を活性化できます。」

と、第一著者であるヴァイス研究所(Weiss laboratory)のクリストフ・ルショーヴ博士は述べています。

 「ラパマイシンを投与したβ-サラセミアのマウスは、赤血球の寿命が長くなるとともに、α-グロビンの蓄積が著しく減少し、赤血球生成に影響を   及ぼさないことを示しました。」

ラパマイシンはまた、βサラセミアである人の幼年期での赤血球、赤芽球における遊離α-グロビンのレベルを減少させました。

 

【以下のウェブサイトより引用】

Rapamycin may reduce accumulation of a toxic β-thalassemia protein

Medical Xpress