電話: (050) 5534-5772

平日09:30~18:30(日本時間)

JapanRx / 都市の緑地に寿命延長効果がある可能性

都市の緑地に寿命延長効果がある可能性

過去最大の世界規模のレビューでは、早期死亡を減らす上での都市緑地の重要性が確立されています。

米国では、63%もの人々が都市に暮らしています。

フィラデルフィア州は都市の緑地に関する長い歴史があり、緑地スペースをさらに20%増やす計画を立てています。
一方北部の都市では、南部に比べて緑地が比較的少ない傾向にあります。

現在世界保健機関(WHO)は、公衆衛生や心身の健康における緑地の重要性を強調しようとしています。

公園やスポーツグラウンド、木々、湖畔、庭などの都市緑地は、人々に身体活動の機会やリラクゼーション、安らぎを与え、また避暑地として活用されています。
複数の研究では、こうしたスペースがあることでストレスを減少し、精神的および身体的な健康を促進することが示されています。

緑地はまた、大気の改善や交通騒音の減少、気温の低下や多様性の向上とも関連しています。

さらに、最近の推測によると、世界的に見て、死亡の約3.3%が身体活動の不足によるものであるとされており、これは主にウォーカビリティ(日常生活の中に歩行を取り入れやすいこと)の低下や、気晴らしが出来るエリアへのアクセスが限られていることが原因となっています。

しかし、こうした研究の多くは特定の時間にのみ焦点を当てており、また人々の緑地利用に関する測定方法も統一されていません。

現在、史上最も包括的なレビューでは、7ヵ国にまたがる9件の縦断研究の分析が行われています。
これらの研究では、合計800万人を対象に、数年間の追跡調査が行われました。

The Lancet Planetary Healthに掲載されたメタ分析では、都市緑地が人々の寿命延長に役立つ可能性を示す強力なエビデンスが見つかりました。

スペインにあるバルセロナ世界健康研究所(ISGlobal)は、フォートコリンズにあるコロラド州立大学と共同で、このレビューを実施しました。


<公園が早期死亡を予防する>
「この研究では、都市緑地が早期死亡を減少させることが示されました。」と、Mark Nieuwenhuijsen博士は説明しています。
彼は、ISGlobalの都市計画、環境、健康イニシアチブのディレクターを務めています。

「一般的に都市にはあまり緑地がありません。」と、彼は付け加えました。
「緑地は都市のヒートアイランド効果を減少することで気候緩和にも役立ち、また大気汚染効果も減少させます。」

Nieuwenhuijsen博士は、次のように話しています。
「緑地は炭素隔離としても効果的であり、複数の利点があるのです。このため緑地を増やすことで、都市部の早期死亡者数を大幅に削減することができます。」

Nieuwenhuijsen博士は、この研究は、研究規模については別としても、WHOによる都市緑地が健康に与える影響の分析ツール開発要求に促される形で実施されたとMedicalNewsTodayへの取材の中で説明しています。

具体的に言うと、WHOは緑を増やすツールを計画するために、緑地と早期死亡における関連の揺るぎない事実が必要だったのです。

「私たちは、NDVIにあるすべてのコホート研究を含む体系的調査を行い、緑地測定値や早期死亡に関するデータを入手したことで、メタ分析を実施しました。」と、Nieuwenhuijsen博士は言いました。

研究チームは、同じ個人集団を数年間にわたって調査した研究から得たエビデンスを利用し、緑地(衛生画像から見た)のアベイラビリティおよびあらゆる原因による早期死亡を分析しました。

これらの研究は米国やカナダ、中国、イタリア、スペイン、スイス、オーストラリアに住む合計800万人を対象としていました。

研究者は、個人の自宅500メートル以内の緑地スコアが0.1増える毎に早期死亡率が4%減少することを見出しました。
調査の結果、公衆衛生戦略における緑地の重要性が示されました。


<都市は緑化に集中する必要がある>
「多くの都市では既に緑化が行われていますが、この研究は、緑化を継続していく必要性をさらに裏付けるものとなりました。また、緑地が少ない都市は、新しい公園や街路樹、芝生等を増やす必要があります。」と、Nieuwenhuijsen博士は述べています。

研究者は現在この調査結果を用いて、緑化目標を達成した場合に予防できる早期死亡者数を推定しようとしています。

次なる計画についてNieuwenhuijsen博士は、次のように述べています。
「私たちが用いた緑地測定法(NDVI)は多少おおざっぱな部分がありますが、それでも良く機能しています。しかし次の段階は、他の緑地よりも効果的な特定の緑地や、さらなる改善に何が必要なものを見つけることです。」

研究者は、緑地を増やし、持続可能で住みやすい都市に変えていくことで、公衆衛生や早期死亡予防の鍵となるだけでなく、生物多様性や気候変動緩和策の増加に繋がると述べています。

出典: 2019年12月2更新 Medical News Today『Green spaces in cities can help people live longer』(2019年12月9日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/327177.php#5