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骨粗鬆症治療に大きな進歩:骨量が800%増加

一連の研究により、脳内の特定の受容体を遮断すると、骨の強度が著しく増すことが明らかになりました。
新たな骨粗鬆症の治療法になる可能性があるのでしょうか?  

主に老年期の病気である骨粗鬆症では、骨が徐々に弱くなっていきます。
時間が経つにつれて、骨は非常に多孔質になるため、ほんのわずかな咳やくしゃみなどの、小さな衝撃でさえ骨折を引き起こす可能性があります。

疾病管理予防センター(CDC)によると、骨粗鬆症はアメリカ合衆国の65歳以上の女性のほぼ4人に1人が罹患しています。
現状では、完治することはありません。
治療法としては骨折のリスクを減らすことに焦点を当てていますが、病状の進行を遅らせることはできません。
健康な人であれば体は古い骨やダメージを受けた骨組織を分解し、それを新しい骨組織と置き換えます。 しかし、年をとるにつれて、このサイクルが歪んでしまい、体は新しい骨組織を作り直すよりも多くの骨組織を分解してしまいます。
これにより骨が徐々に弱くなり、最終的には骨粗鬆症になるのです。  

エストロゲンの新しい役割
エストロゲンは、特に生殖に関して人体に幅広い機能を持っています。
ホルモンは脳内でも作用しますが、現在その機能についてほとんどわかっていません。
最近、カリフォルニア大学サンフランシスコ校とロサンゼルス校の科学者たちが、脳内のエストロゲンについてより深く知るための一連の研究を行っています。
その過程で、彼らは骨粗鬆症研究の一面を変えることができるという思いがけない発見をしました。
主任研究者であるホリー・イングラハム博士が率いるこの研究者らは、脳内のエストロゲンの活性がさまざまな生活段階での代謝をどのように変化させるかについて、大変興味を持っていました。
特に、彼らは視床下部のエストロゲン感受性ニューロンの機能に注目していました。 これは、神経系を内分泌(ホルモン)系に結び付ける脳の一部です。  
視床下部は、体温、空腹感、睡眠、疲労、および概日リズムのコントロールを助けることで、代謝プロセスの調節に重要な役割を果たします。  

脳内のエストロゲンを遮断
科学者たちは動物の視床下部におけるエストロゲンの影響を阻止しました。彼らがこれを行ったとき、動物は体重が増えて活発に動きませんでした。
当初、科学者たちは、増加した体重は余分な脂肪や筋肉組織によるものだろうと仮定しました。
しかし、さらに調べてみると、彼らは余分な体重が骨量の増加によるものであることを発見しました。動物の中には総骨量を800%増加させたものもいました。

「私は効果の大きさを知り即座に驚きました。2つのグループはまったく重複しておらず、私はそれを見たことがありませんでした。
私たちはすぐにそれが大発見であり、そして、これが女性の健康を改善するために潜在的に期待できる方向性であることを悟りました。」(ステファニー・コレア研究員)

研究者たちは動物(マウス)の骨密度のテストを行い、またそれらが特に強いことを発見しました。
イングラハム博士は、「骨の勉強を生業としている我々の共同研究者は、これほど強い骨を見たことがないと言いました。」と述べています。

この発見は、現在、『Nature Communications』誌で紹介されています。
イングラハム博士は、また、「体が骨成長をどのように制御するかについての我々の現在の理解ではこれを説明することができません」とも述べています。
「[これ]というのは、私たちが年配の女性や脆弱な骨を持つ他の人の骨強度を改善するために使用することができる全く新しい方法を発見したということです。」と博士は付け加えます。

追跡調査では、この驚くべき骨への影響があると思われる視床下部の特定の領域、すなわち弓状の核に注目しました。
この領域のエストロゲン受容体の除去は骨の成長を引き起こすため、通常は、これらの細胞が骨の成長とは別に、エネルギーと資源を吸収して身体の他の場所で使われると信じられています。
この発見で面白くまた驚くべきことはメスのマウスにのみ現れたとこです。
「ほとんどの神経科学者は研究はオスのマウスに限定しており、エストロゲンの研究はほとんどないため、これがこれまでにこの現象を一度も見ることができなかった理由を説明するかもしれません。」と、イングラハム博士。
彼女は続けて、「私は性ホル​​モンが男性と女性の脳をどのように違わせるのかに常に興味を持っていました。そして、これは、それらの違いがどれほど劇的になり得るかについて知ることができる本当に素晴らしい一例です。」と述べています。  

研究を継続
研究者たちはマウスの一生の間に骨密度がどのように変化したかを理解するために実験範囲を拡張しました。
そして、これらのマウスの骨密度が老齢期を通じて維持されていることに気づきました。
このメカニズムの更なるテストとして、科学者たちは骨粗鬆症のマウスモデルにおいて弓状エストロゲン受容体を削除しました。
骨量の70%を失っていたマウスでは、わずか数週間で骨密度が50%回復しました。 血中では、エストロゲンが骨の成長を促進します。しかし視床下部においては反対の効果があるようです。
イングラハム博士は、「思春期を過ぎると、女性の脳内のエストロゲン系は活発に骨の成長から生殖用へとその資源をシフトさせる。」と仮定しています。
結果は驚くべきもので、また、斬新なものであるため、さらに多くの作業が必要になります。しかし、彼らはすでに骨粗鬆症の研究者にとって驚異的な新しい道を開いています。

「この結果については模索中です。」とイングラハム博士は言います。
「私たちの次の実験が、骨の成長を促進する新しい循環因子を放出することを示せるなら、私たちは骨粗鬆症の治療薬を開発する絶好の機会を得ることができるかもしれません。」  

【以下のウェブサイトより引用】
https://www.medicalnewstoday.com/articles/324162.php