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過度な空想は精神障害と関連している?

人はいつもその瞬間を生き、物事に感謝し、自分の経験とするべきであると言うでしょう。
しかし人の心は時々、退屈な時や仕事中でさえさまようことがあります。今この時でさえ、あなたの心は空想世界をさまよっているかもしれません。
日常生活における通常の要素であるこの空想行為は、どの程度から健康とはいえない状態であると言えるのでしょうか。

最近の研究では、空想は必ずしも悪いことではないことが分かっています。
多くの研究では、空想する人はより創造的かつ効率的である可能性が示されています。
ウィスコンシン大学マディソン校で行われた研究実験では、よく空想する被験者は、そうでない被験者よりも記憶力が良いことが確認されました。

しかし、空想が現実世界を妨げ、その人の生産性や社会生活、睡眠の質に影響し始めると、問題になりかねません。
”Maladaptive Daydreaming (過剰で不適正な空想)”という言葉がイスラエル人の教授であるエリ・ソーメル氏によって2002年に発表された論文の中で初めて使用され、
これは”人との関わりを置き換える、そして/または学問的、対人的、職業的な機能を妨げる広範囲な幻想活動”と定義されました。

ソーメル氏は少数の児童虐待被害者を対象にした調査を行った後、Maladaptive Daydreaming(MD)はトラウマを残す出来事を経験した人の
対処メカニズムとして、正確には、自分自身を現実から切り離すための方法として、使用されている可能性を示しました。

しかし、MDを経験する人の多くはトラウマを抱えていないため、MDの経験にトラウマが必要であるとは言えません。
ソーメル氏は、一部の人は単に”没入型の、鮮明な空想をする能力を持って生まれた”だけであると考えます。

他の研究者は、MDは特別な状態ではなく、注意欠陥多動性障害(ADHD)や強迫性障害(OCD)などの他の病気の潜在的な徴候であることを示唆しています。

ソーメル氏は、統合失調症はMDと同様の症状にも見えるが、これには現実と幻想を区別することができないという特徴がある点を指摘しています。
一方MDを経験する人は、空想が現実ではないことを認識しています。
問題点は、空想が強迫儀式となり、止めることができないことにあります。

最近はインターネットにより、このような症状に対する人々の関心がた高まっており、Wild Minds Networkのようなサーバーコミュニティは、強迫的な幻想に苦しむ人々のサポートを行っています。

MDそのものが精神障害として正式に認識されていないことを考えると、普遍的な診断方法や治療方法は存在しないと言えます。
空想は正常な精神活動であるという事実があり、またの空想がどこから過剰で不適応であるかの定義は非常に主観的なものであることから、MDの診断や治療方法の確立が困難なものになっているのです。

Healthlineによると、症状には、不眠症や仕事を完了できないなど、空想によって現実の生活が中断されることがあります。
中には、空想中に反復的かつ無意識の行動をとるケースもあります。

ソーメル氏は、アメリカ精神医学会により発行される「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)」にMDが含まれることを期待しています。
そうなれば、研究が改善され、精神医療従事者による正しい診断が促されるでしょう。

Medical Daily 2018年10月08日
https://www.medicaldaily.com/excessive-daydreaming-mental-health-problem-427908