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認知症:食事や運動不足ではなく、肥満がリスクを上昇させる

新しい長期研究では、中年期の肥満が女性の認知症リスクを高めることがわかりました。
しかし、カロリーの摂取量や運動不足には、リスクの上昇が伴いませんでした。

英国オックスフォード大学のNuffield Population Health学部のサラ・フラウド博士は、この研究の主執筆者です。

論文でフラウド氏と同僚研究員が説明している通り、過去に行われた一部の研究では、肥満度指数(BMI)が低いことと、5~10年以内に認知症の診断を受ける可能性の間の関連が見つかっていました。

継続期間が10年以下であったその他研究でも、不健康な食生活および運動不足と認知症発症が関連付けられていました。

しかしこれらは全て、逆の因果関係の結果であった可能性があります。
すなわち、これは結果であって、認知症の原因ではないということです。
著者はこの理由として、認知症は通常正式に診断を受ける10年前から認知に影響が出るためであると説明しています。

発症前段階では、症状がゆっくりと、しかし着実に行動に影響を与え、精神的および身体的な活動を損ない、食物やカロリー摂取が減少し、体重低下を引き起こします。

著者はさらに、最近のメタ分析では、BMI値が低いことは、逆の因果関係の結果として短期的な認知症との関連が見られるものの、長期的には認知症に伴うのは肥満である可能性が指摘されていると説明しています。

どちらにせよ、BMUと認知症リスクの関係に関する問題を解決するには、長期間にわたる前向き研究が必要です。
フラウド氏と研究チームは、まさにこれを実行することを目指しました。

彼らの調査結果は、journal Neurologyに掲載されています。


<食事、運動不足、BMU,認知症の研究>
チームは、イギリスに住む1,136,846人の女性を調査しました。
被験者の平均年齢は56歳で、1996年から2001年にかけて行われた研究の開始時点では認知症を患っていませんでした。

女性は身長、体重、カロリー摂取量、身体活動量に関する情報を提供し、
研究者は2017年まで、国民保健サービスを通じて同被験者の追跡調査を行いました。
この記録には、認知症による入院記録も含まれていました。

研究で科学者は、科学者は20~24.9のBMIを「望ましい」、25~29.9を過体重、30以上を肥満とみなしました。
運動頻度が週1回未満の女性を不活発、週1回以上は運動する女性を活発と分類しました。

コックス比例モデルを用い、チームはBMIと、追跡期間の認知症発症率の間の関連を算出しました。
この際、年齢や身長、学歴、喫煙の有無、アルコール摂取量、更年期ホルモンの使用、移住地域、貧困地域に関する調節を行いました。

 

<中年期の肥満は21%のリスク上昇と関連した>
研究期間中、被験者の89%の健康記録には、認知症に関する記述がありませんでした。
研究開始から15年後、18,695人の女性が認知症診断を受けていました。

研究開始時点で肥満であった女性は、BMIが「望ましい」値であった女性と比較して、認知症発症率が21%高くなりました。

より具体的に言うと、肥満女性の2.2%が長期的に認知症を発症した一方、BMI値が健康的な女性においてこの割合は1.7%でした。

調査結果として、研究の最初の10年間では、カロリー摂取量が低く身体活動量が不足していることは
認知症リスク上昇と関連することが明らかになったものの、この関連はその後徐々に薄れ、結局カロリー摂取および運動不足どちらも、認知症リスクとは大きな関連が見られなくなりました。

フラウド氏はこの結果について、次のようにコメントしています。
「一部の過去の研究では、不健康な食生活や運動不足が認知症リスクを上昇させる可能性が示されていました。」

「しかし、私たちの研究では、これらの要因は長期的には認知症リスクと結びついていないことがわかりました。認知症、運動不足、少ないカロリー摂取の間に短期的に見られる関連は、症状が出始める前の疾患の初期兆候の結果である可能性が高いでしょう。」と、彼女は強調しています。

「一方中年期の肥満は、15年以上後の認知種と関連していました。肥満は、心血管疾患の危険因子として確立されています。心血管疾患は、高齢期の認知症につながります。」と、セラ・フラウド博士は述べています。

この研究は、女性のみを対象とした点で制限されています。
つまり調査結果は男性には当てはまらない可能性があるということです。

関連論説の著者はまた、「時間依存性のBMIの動的解析が欠如しており、食習慣の測定が粗く、残余交絡がある」ことが研究を制限していると述べています。

出典 2019年12月22日更新 Medical News Today『Dementia: Obesity, but not diet or inactivity, raises risk』(2019年12月24日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/327358.php#1