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特定の血液型は重度のマラリアを予防する

世界の人口のほぼ半分がマラリアのリスクにさらされています。
マラリアは、人類史上最も致命的な病気の1つです。
毎年40万人以上の命を奪っており、そのほとんどが5歳未満の子供です。

マラリアの予防接種は可能ですが、実際マラリア感染の大半がアフリカ地域で発生しています。
アフリカでは、マラリアに感染するか否かは運次第です。
最近行われた23件の論文の分析では、血液型がO型の人のみ、マラリアに対する遺伝的優位性があることが示されています。

熱帯熱マラリア原虫による重度のマラリアが蔓延するサハラ砂漠以南のアフリカの地域では、血液型Oを持つ人がヨーロッパやアメリカのどの地域よりもはるかに多く存在します。

国の97%がマラリアのリスクにさらされているナイジェリアだけでも、人口の半分以上がこの血液型に属しています。
エチオピアやその他多くの国でも、この割合は同様です。

この研究の共著者であり、フロリダ州にあるロバート・ステンペル・カレッジ・オブ・パブリックヘルス&ソーシャルワーク(Robert Stempel College of Public Health & Social Work)の疫学者であるAbraham Degarege Mengist氏は、
これは偶然の一致ではなく、「選択進化の証拠」であると主張しています。
彼の研究チームが行った最近の調査では、O型の人は他の血液型の人と比べ、重度のマラリアに対する予防効果が高いことが示されています。

23件の論文中15件のメタ・アナリシスでは、A型、B型、AB型または非O型(A/B/AB)の人において、重度の熱帯熱マラリア原虫の感染率が増加したことが示されました。

同時に、半数以上の研究において、非O型血液型を持つ人の重度のマラリア発症率が有意に高くなることが見出されました。
Mengist氏は、次のように述べています。
「血液型が病気の進行に与える影響のメカニズムが解明され始めており、将来的にマラリア蔓延地域の人々を助けることができる方法を模索しているところです。」

この方法の1つには、マラリア患者へのO型血液の輸血があります。
この方法は、この致命的な感染の進行を止める可能性があるとされています。

例えば、この分析に含まれている2015年の研究では、A型とB型の人には「ロゼット」がより一般的に見られることがわかっています。

ロゼットは、マラリアに感染した細胞の周りに非感染赤血球が密に集まり、10以上の壁を形成するときに起こります。
重症の場合、これらの成長する塊は血管を塞ぎ、昏睡、脳の損傷、さらには死亡を引き起こす可能性があります。

しかし、血液型がO型であると、予防効果があるようです。

抗原がAとBどちらであったとしても、O型は赤血球上に異なる受容体を有しており、これはマラリアには簡単には感染することはありません。
著者は、新しい調査の中で次のように述べています。
「それゆえ、O型(赤血球)で形成されるロゼットはより小さく、弱く、不安定になる傾向があります。」

これにより、この受容体が抗体として使用できるようになり、マラリアに感染した血管細胞を攻撃するだけでなく、既に存在する塊を破壊する免疫反応が継続します。

著者らは、「結果として、O型の人は、合併症のない熱帯熱マラリア原虫感染が重度のマラリア感染へ進行することが少ない」と結論付けています。

O型血液の輸血により、O型以外の血液型の人に対しても、この保護的な凝集防止効果を発揮することができれば、致命的となるマラリアの重症化に対抗する助けとなるかもしれません。

この研究はBlood Reviewsに掲載されています。

出典:2019年4月24日更新Science alert『Having This One Particular Blood Type Can Help Protect You From Severe Malaria』(2019年4月25日に利用)
https://www.sciencealert.com/having-a-particular-blood-type-can-shelter-you-from-severe-malaria?perp...