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JapanRx / 暴飲は男女の脳において異なる影響を示す。

暴飲は男女の脳において異なる影響を示す。

マウスを用いた研究では、繰り返しの暴飲によって男女の脳は異なる反応を示すことが明らかになりました。
また暴飲により影響を受ける百以上ある遺伝子の内、男女に共通するものは14個のみでした。

この調査結果は米国において、推定1,600万人のアルコール使用障害(AUD)患者の治療に影響すると言われています。

9月10日、Frontiers in Geneticsにて「暴飲は成体のC57BL/6Jマウスにおいて、側坐核シグナル伝達カスケードやパスにおいて性別により異なる個別の変化をもたらす」というタイトルの研究が発表されました。

オレゴン健康科学大学の行動脳科学教授であるデボラ・フィンは、「暴飲が繰り返されると、中毒に関連する脳の領域である側坐核の分子経路が著しく変化することが示されました。」と説明しています。

フィンと彼女の研究チームは、繰り返しの暴飲がマウスの脳に与える影響と、雄と雌においてその影響に違いがあるかどうかを調べることにしました。
チームは、側坐核において活性化された遺伝子、特に中毒や気分障害において重要であることが以前に確認されていた384個の遺伝子を調べました。

フィンは、次のように発表しました。「暴飲による影響を受けた計106個の遺伝子の内、雄と雌の共通遺伝子は14個のみでした。
また興味深いことに、これら14個の遺伝子の内同じ方向に制御を受けていたのは4個のみであり、暴飲による影響を受けた上位30個の遺伝子は、雄と雌において明らかに異なる結果となりました。」

調査結果によると、雌の脳内では、暴飲によってホルモンシグナル伝達や免疫機能に関連する遺伝子が影響を受けました。
一方雄の脳内では、神経伝達に関連する遺伝子が”標的”となったことが明らかになりました。

今年初め連邦防疫センター(CDC)により発表された報告では、米国において20%近くの成人が暴飲行為を行っていることが明らかになりました。
暴飲を長い間放置すると、アルコール依存症の初期兆候として診断を受けることが推奨されています。
暴飲の繰り返しによりアルコール耐性が高まることがありますが、これも合併症の発症に繋がります。

この新たな発見は、アルコール使用障害と診断された患者に治療を施す際、考慮に値する可能性がある、と著者は述べています。
患者の性別に合わせた治療や介入が行われることで、より効果的なものとなる可能性を秘めています。

フィンは、「暴飲により影響を受けたパスを薬理学的に操作した所、男性にのみ暴飲の減少が見られ、女性では暴飲が減少しませんでした。」と述べています。

また、「アルコール使用障害治療のための潜在的な薬理学的療法の開発において、性別が考慮されることが重要です。」と付け加えました。

チームさらに研究を重ね こうした遺伝子発現の変化が、行動および生理学的な相違にも関連するかどうかを調査したいと考えています。

Medical Daily, 2018年9月11日
https://www.medicaldaily.com/binge-drinking-affects-male-and-female-brains-differently-427435