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JapanRx / 変形性膝関節症に対する人工膝関節全置換術で心血管疾患が減少

変形性膝関節症に対する人工膝関節全置換術で心血管疾患が減少

膝の痛みなどの症状を起こす変形性膝関節症の治療には、鎮痛薬で症状を抑えるほか、傷ついた関節を人工関節に置き換える人工膝関節全置換術(TKA)という手術があります。難しい手術ですが、痛みや歩く能力の改善が期待できます。台湾の研究から、TKAを受けた人は受けなかった人に比べて、その後心筋梗塞や脳卒中が少なかったことが報告されました。

研究班は、変形性膝関節症の患者22,931人を対象として3年間追跡し、TKAを受けた人と、手術以外の治療だけを受けた人で、深刻な心血管疾患(急性心筋梗塞または脳卒中)が起きる頻度に違いがあるかどうかを調べました。

解析から次の結果が得られました。

"計測されたリスクと交絡因子を調整したのち、傾向スコアはTKAを受けた患者で心血管疾患のリスクに対して調整オッズ比0.56(95%信頼区間0.51-0.61、P<0.001)を示した。"
TKAを受けた人では、受けなかった人と比べて心血管疾患を発症するリスクが少なくなっていました。

研究班は「この利益の原因として、TKAを受けたことによる身体運動の改善、心理社会的ストレスの減少および/またはNSAIDsの使用量減少が考えうる」と推測しています。

推測された要因は、いずれもTKAの効果として期待できるものです。ただし、この研究の方法では、TKAを受けられた理由のうちに、心血管疾患のリスク減少につながる要因があった可能性も否定できません。たとえばTKAを受けた人では、変形性膝関節症と同時にあった病気の総合評価であるCharlson Comorbidity Index Scoreが0(重要な病気がない)だった割合が多かったことがあわせて報告されています。
解釈には多少の注意が必要かもしれません。

記事元:http://medley.life/news/