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JapanRx / 動物実験では「悪玉」腸内細菌を減らす分子が動脈の狭窄を逆転させる

動物実験では「悪玉」腸内細菌を減らす分子が動脈の狭窄を逆転させる

非営利医療研究施設スクリプス研究所(Scripps Research)の科学者は、腸の細菌集団をより健康な状態に再構築できる分子を開発し、マウスでの実験を通じて、コレステロール値を低下させ、アテローム性動脈硬化症として知られる動脈が肥厚した状態を強く阻害すること示しました。

ネイチャー バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)誌での調査結果を報告する科学者たちは、望ましくない種の腸内細菌の成長を遅らせることができるペプチドと呼ばれる一連の分子を作成しました。

高脂肪食から高コレステロールとアテローム性動脈硬化を発症したマウスでは、ペプチドが消化管内に存在する何兆ものバクテリアを指す腸内マイクロバイオームの種のバランスを有利に変化させました。

この変化により、コレステロール値が低下し、動脈の脂肪性沈着物の蓄積が劇的に遅くなりました。脂肪性沈着物の蓄積は、アテローム性動脈硬化の特徴である症状です。

アテローム性動脈硬化症は、主な二つの死因である心臓発作や脳卒中を引き起こす病態です。

「腸のマイクロバイオームを単に改造するだけでこのような大きな効果が得られることは、私たちにとって驚くべきことでした。」

と、スクリップス研究所の化学部門の教授で研究の共同執筆者であるレザ・ガディリ博士は述べています。

 

腸内微生物は健康を形作る

何百もの細菌種がある腸内細菌叢は、根本的な共生の一部としてずっと前に進化しました。

細菌は、生息できたくさん食べることのできる場所に定着します。そして、その見返りに、彼らは食物を消化するのを助けることによって宿主を助けます。

この20年間、これらの共生細菌は世界中で熱心な研究の焦点になりました。

科学者は、微生物が代謝産物と呼ばれる分子の生成によって、食品の消化を助けるだけでなく、代謝、免疫、その他の重要な機能にも関与し役割を果たすことを発見したためです。

科学者たちはまた、この共生が微生物の人間の宿主にマイナスの影響を与える可能性があることも知っています。

人々が抗生物質を使いすぎたり、炭水化物、脂肪、砂糖が豊富な「西洋式」の食事を摂取したりすると、腸内微生物叢は病気を促進するように変化する可能性があります。

実際、西洋食によって与えられる肥満、糖尿病、高血圧およびアテローム性動脈硬化症のリスクの増加は、一部には微生物叢の有害な変化が原因であると思われます。

その認識により、研究者たちは、これらの有害な変化を調整して健康を回復することを目標に、細菌叢を改造する方法を探すようになりました。

ガディリ氏と彼のチームは、善玉腸内細菌に影響を与えることなく、悪玉腸内細菌を殺すか、その増殖を遅らせるために、小さな分子を送達することを含む方法に取り組んできました。

「環状ペプチドと呼ばれる小分子を使用する私たちのアプローチは、自然から着想を得ています。」

と、スクリプス研究所化学部門の助教授である共同著者のルーク・レマン博士は述べています。

「私たちの細胞は当然、抗菌ペプチドを含む分子の多様なコレクションを使用して、腸内微生物の個体数を調節しています。」

 

 

マイクロバイオームの改造者を認識するため検査システム

実験の前に、研究チームはすでに化学技術を使用して作られた環状ペプチドの小さなコレクションを持っていました。

研究では、これらのペプチドのいずれかが望ましくない腸内細菌種を抑制することによって哺乳類の腸内マイクロバイオームを、有利に再構築できるかどうかを判断するための検査システムを設定しました。

遺伝的に高コレステロールの影響を受けやすいマウスを使用して、腸内微生物叢の有害な変化

と同様に、高血中コレステロールとアテローム性動脈硬化症を迅速かつ確実に引き起こす、西洋型の食事を与えました。

その後、研究者は動物の腸内容物をサンプリングし、各サンプルに異なる環状ペプチドを適用しました。

 1日経ってから、彼らはサンプル中の細菌DNAの配列を決定し、どのペプチドが腸内細菌を望ましい方向にシフトさせたかを決定しました。

科学者たちはすぐに、望ましくない腸内細菌の増殖を大幅に遅らせた2つのペプチドを特定し、種のバランスを、より健康的な食餌を与えられたマウスで見られるものに近づけました。これらのペプチドを使用して、高脂肪の西洋食を食べていたアテローム性動脈硬化症になりやすいマウスを治療したところ、未治療のマウスと比較して、動物のコレステロールの血中濃度が著しく低下しました。

彼らはまた、10週間後、未治療のマウスと比較して、治療が施されたマウスの動脈の動脈硬化性プラークの面積が約40%減少したことを発見しました。

「これらは本当に驚くべき効果でした。」

とガディリ氏は言います。

研究で使用された環状ペプチドは、細胞の増殖を遅らせるか停止させる方法で、特定の細菌細胞の外膜と明らかに相互作用します。

ガディリ氏と彼の研究チームは長年、これらのペプチドを研究しており、哺乳類の細胞に毒性を示さない数十のセットをまとめてきました。

分子はまた、血流に入ることなく腸を通過します。

 この研究では、ペプチドは飲料水中のマウスに送達され、有害な副作用とは関連していませんでした。

原理実証の実演に後押しされ、研究者たちは現在、糖尿病をモデル化したマウスでペプチドをテストしています。

 

 

【以下のリンクより引用】

Molecules that reduce 'bad' gut bacteria reverse narrowing of arteries in animal study

Medical Xpress